ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその310-光

2018年03月07日 | 邦画
河瀬監督らしい佳作。

健常者にとって、体のどこかに障害をもつ人達の心は分からない。
分かったつもりでいるだけで、本当にその人達の心は垣間見ることすらできない。
今回紹介する映画は「光」視覚障害者についての映画である。
ストーリーを紹介しておこう。

中森は弱視の元カメラマン。
水崎は盲目者に対して、映画などを副音声で解説する文書ライター。
彼らは、或る映画の解説文書の試聴会で出会う。
最初から、反抗的に水崎の文書を批判する中森。
既に、老年域に達しようとしていた中森のその態度に、自分の態度を露骨に出す水崎。
ある日、水崎は、試聴会の取り締まりをしている女性から、あるものを中森に届けるように依頼される。
水崎はその物を持って、中森の自宅を訪ねるのだが.........

「あん」では、河瀬監督色がかなり、なりを潜めていたが、今回の作品は、河瀬監督の作りが戻り、彼女jの匂いのする、良い映画に仕上がっている。
若く、感受性の浅い水崎は、中森と付き合うようになって、その感受性を磨かれていく。
中森も弱視から、やがて全盲へなってしまうが、このあたりのシークエンスがとても上手く作られている。
中森を演じた「永瀬正敏」も良い演技をしている。彼は全盲になったとき、あるものを投げ捨てるが、このシーンがとても良い。
河瀬監督は、独特の「色」と「匂い」を持った映画を作る。
前々作の「二番目の窓」など、とても河瀬色が濃い良い作品だった。
正直、くだらない邦画が蔓延する昨今、河瀬直美と言う監督は非常に貴重な存在である。
今後も「彼女らしさ」を出した映画作りに期待する。
この映画は、一人の女性の成長物語でもある。とても良い作品なので、まだ観ておられない方は、是非観ることをお勧めする。

2017年日本・フランス・ドイツ合作、カラー、102分、監督:河瀬直美。

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