スペイン語で遊ぼう!みんなの広場_since2004

スペイン好き、ラテンアメリカ好き、スペイン語好き、スペイン語をやってみようかなぁと思っているヒト、寄っといで!

「わからない」という日本語がわからない!?

2023-08-20 | くらべて文法(西・英)

日本語学習者が、入門の段階で遭遇する動詞のひとつに「わかります」があります。レッスンのとき先生に「わかりますか?」と聞かれて「はい、わかります」「いいえ、わかりません」と答えるためです。そのときから英語圏の生徒には「わかります=understand」だとインプットされるわけですね。

ところが、初級文法も後半になって(『みんなの日本語』では40課)、「どうやって行くか わかりません」のような例文に遭遇して、生徒は「わからない」がわからなくなります。これはどうも「I don't understand」ではなく「I don't know」らしいと気づき「先生、どうして 知りません と言いませんか?」と質問します。「I don't know=知りません」というのもインプット済みだからです。

例文:電話があるかどうか わかりません

EX:I don't know if there is a phone

日本語の1単語が他の言語の1単語と100%同じ意味、ということはそんなに多くないと思うのですが、いまの学生はスマホで調べて一番上に出てきた意味しか見てないことが多く、それぞれの単語の守備範囲が違うこと、他の意味もあるということを色々な例文を交えて教えないとなかなか納得してくれません。

だいたい『みんなの日本語』でも、「わかります」の他の意味を改めて語彙導入するってこともないので、40課で講師は突然「先生、わかります知ります の違いは何ですか?」という質問に遭遇してしまうのではないでしょうか。

この質問は…相当難しいんです(汗)。これまでスペイン語圏の生徒にはこの質問を受けたことがなかったのですが、英語圏の生徒に対してはまず、インプットされている「わかります=understand」の ”=” を頭の中から削除してもらうことから始めました。

 

日本人でも、英語の辞書をひけば わかります には色々な意味が含まれていることに気づかされるでしょう。

わかる:理解する, 知る, 気づく, 識別する, 判明する, 了解する


参照した「ジーニアス6」という辞書アプリでは、それぞれの意味合いを多様な英語を使った例文で説明しています。日本語って、なんて複雑なんでしょうか。

 


>佐藤さんの電話番号知ってる?
>>うん。知ってる。でも、今わからない。家に帰ればわかるよ。

ところでこの会話文、英語に訳したらどうなると思いますか? まずわかりやすい日本語に意訳してみたんですが、ちょっと長いんですよ。

>>うん、データーとしては持ってるよ。でも暗記してるわけじゃないから今は言えない。家に帰ったら調べようか。

で、英語訳はというと、万年ビギナーのワタシにはやはり無理でした( ̄∇ ̄;)ハッハッハ


doesn't work は「働かない」じゃないことが多い?

2023-07-21 | くらべて文法(西・英)

英語圏の生徒(日本語勉強中)の話を聞いていると、ときどき あれっと思うところで「働かない」という日本語を使う。例えば「僕の国にも自動販売機はあるけどいつも働かない」。

なぜかな~と考えてみた。まず生徒に「働かない」をどういうときに使いたいのか聞いてみた。

①この薬は、彼には働くが私には働かない。✕

②このエアコンは働かない。✕

③このプロジェクトは働かない。✕

…などなど、おかしな日本語が続出したので、ゼッタイこれは doesn't work を頭に浮かべて直訳しているに違いないと思った。

 

日本語の「働かない」にも「機能しない」という意味はあるのが、せっかく労働するという意味を表すために「人」と「動」をくっつけて「働く」という漢字を作ったのだから、メインの意味は「人間が仕事をする/労働する」だと思う。上記の三例には「働く」以外の動詞をそれぞれ充てていかなきゃならない。

①この薬は、彼には効くが私には 効かない

②このエアコンは 動かない / 風が出ない / 故障している

③このプロジェクトはうまくいかない

試しに doesn't work の例文をネットで探したら、山ほどの例文の和訳それぞれに違う動詞が充てられていて驚いた。これほどとは思わなかった。電気なら「つかない」だし、ラジオなら「音が出ない」、シャワーなら「壊れている」「水が出ない」。では、冒頭の例はどういう日本語に直したらいいだろうか?

僕の国にも自動販売機はあるけどいつもはたらかない壊れている / 商品が出てこない / 故障中だ 色々考えられる?

幸いスペイン語には、trabajar(働く)のほかに funcionar(機能する)という動詞もあるので、上記の三例などは funcionar でまかなえる。だからと言って良いのか、スペイン語圏の生徒から「自動販売機がはたらきません!」というたぐいの間違いは聞いたことがない。

最後に、「故障中」の張り紙はどう書かかれるのか辞書で調べると…

■スペイン語【小学館和西辞典】 No funciona. または Fuera de servicio

■英語【ジーニアス6】 Out of order 

あれっ doesn't work じゃないんだ~!? 


スペイン語のHACERは二刀流だった! MAKE OR DO?

2023-03-19 | くらべて文法(西・英)

先日スペイン語のHACERの用法を教えていたんですが、英語の勉強で「MAKE OR DO?」というクイズをやっていて「スペイン語はたいていHACERだな」と気付いたことを思い出しました。

 

■英語ではMAKE スペイン語ではHACER

make a noise ⇒⇒ hacer ruido

make a phone call ⇒⇒ hacer una llamada

make friends ⇒⇒ hacer amigos

make plans ⇒⇒ hacer planes

 

■英語ではDO スペイン語ではHACER

do housework ⇒⇒ hacer las tareas de casa

do an exam ⇒⇒ hacer un examen

do an homework ⇒⇒ hacer una tarea

do sport ⇒⇒ hacer deporte

do a course ⇒⇒ hacer un curso

 

※英語ではMAKEだがスペイン語はどっちでもない…っていうのもありましたが。

make a mistake ⇒⇒ (cometer un error), equivocarse
make an excuse ⇒⇒ dar excusas

 

HACERは万能!…ではないけど少なくても二刀流ですよね!!

そのうえ、天気の表現にも使われるしー。
Hace buen tiempo hoy.(今日はいい天気です)🌞

さらに、時間表現にも使われるんですよー。
Hace dos años que estudio español.(スペイン語を勉強して二年になります)😊


Zero Conditional って何ですか? 英文を見て考えた。

2023-03-07 | くらべて文法(西・英)

英語の Zero Conditional っていうのを勉強しました。Zero の次は First、その次は Second、そして Third まであるそうです。道のりは長い…。

これは二つの節から成り立ち、条件節にIFがあっても「もし」という意味はないみたいですね。だからWHENを使っても同じです。現実的な話や習慣について話すので、帰結節は現在形。スペイン語でも似たような文型があります。ただし「ゼロ条件」なんて文法用語はスペイン語学習史上聞いたことがありません。

 

①天気が良けれ、自転車で通勤します。

英)If the weather is nice, I bike to work.

西)Si hace buen tiempo, voy en bicicleta al trabajo.

 

②たくさん食べたら太ります。

英)If you eat a lot, you put on weight.

西)Si comes mucho, engordas.

 

③ボタンを押す音量が上がります。

英)The volume increases if you push the button.

西)El volumen aumenta si presiona el botón.

 

④彼は本を読むとき眼鏡をかける。

英)He wears glasses when he reads.

西)Usa anteojos cuando lee.

ご覧のように、日本語文を見ても「もし」なんて使っていませんよね。仮定の話じゃないからです。

そしてお気づきかと思いますが、上記三つの言語の中で一番難しいのは日本語です。意識的に「~と、~ば、~たら、~とき」の4種類を使い分けてみました。これらは入れ替え可能なときもあるしダメなときもあるんですが、その説明はちょっと頭が痛いです💦


日本語から考えた「劣等比較」の文

2023-03-01 | くらべて文法(西・英)

スペイン語に、AはBより「~じゃない/~ない」というような、形容詞の否定を使う比較級があったかな~と考えていたら、実は参考書に出ていた。『劣等比較』というお名前だった。

劣等比較級の構文:A +SER動詞+「menos+形容詞」que B.

■AさんはBさんより背が高くない(低い)。

例文の日本語訳を見てちょっと考えこんだ。

うーん、スペイン語では menos alto(高くない) だけど、日本語ではここで形容詞を否定せず反意語「低い」と言っちゃうかなー?つまり括弧書きのほう「AさんはBさんより背が低い(bajo)」が言いやすい。

 

そこで、もっと形容詞を否定形にしたくなる例文を考えてみた。

 

■このケーキは、あのケーキより甘くない。

Este pastel es menos dulce que aquel.

これだと、「甘い」の反意語がみつからないし(「苦い」じゃないよね~)、甘すぎるケーキがあまり好まれない日本では「甘くない」と言うのはケチつけてるわけじゃないので、モヤモヤすることなく使える気がする。だけど上記より、もっと自然な言い方もある。

 

■このケーキは、あのケーキほど甘くない。

Este pastel no es tan dulce como aquel.(否定文)

 

実は上記は『同等比較』の文をまるごと否定した形である。参考までに:

■このケーキは、あのケーキと同じくらい甘い。(同等比較の肯定文)

Este pastel es tan dulce como aquel.(肯定文)

 

『優等比較』の文「Este pastel es más dulce que aquel.」をまるごと否定するのは、間違ってるわけじゃないけど珍しい(ちょっと変?)みたいだ。
△Este pastel no es más dulce que aquel.(優等比較の否定文)
〇Este pastel es menos dulce que aquel.(劣等比較の肯定文)
◎Este pastel no es tan dulce como aquel.(同等比較の否定文)