スペイン語で遊ぼう!みんなの広場_since2004

スペイン好き、ラテンアメリカ好き、スペイン語好き、スペイン語をやってみようかなぁと思っているヒト、寄っといで!

日本語では「物」も「人」も送るのか⁈ という素朴な疑問

2024-02-05 | ほうげん・ひょうげん

先日、日本語レッスンで面白いことを発見した。そしていままで気付かず、深く考えなかった自分が馬鹿だったと反省した。この例文を見て、気付いたのは生徒の方だった。

1) 母がセーターを送ってくれました。

2) 友達が駅まで(私を)送ってくれました。

英西バイリンガルの生徒は(1)の「送る」は 英語の "send"、スペイン語の "enviar" だと理解していたが(2)の「送る」は違うらしいと気が付いて質問した。私もハッとして(2)の意味を考えた。

 [人を] 送る:llevar a alguien, acompañar a alguien(スペイン語)

スペイン語では、人を派遣するとか他の土地に社員を赴任させるとかには "enviar" で良いのだが、(2)のようなときには違う動詞を使うわけだ。そして(1)のように物を送るときは "enviar" や、ラテンアメリカでは "mandar" もよく使う。

日本語で説明を試みた。「”連れて行く” によく似ています。たとえば、空港に行きたい人を空港まで連れて行って、その人にバイバイして自分は戻ってくる。幼稚園まで子供を連れて行って、バイバイして置いてくる。」え?置いてくるって、物じゃあるまいし。

私が「面白い」と思ったのは、日本語では「~があります(物)」「~がいます(人)」のように、物のときと人のときでは違う動詞を使うため、多くの英語圏・スペイン語圏の生徒を悩ませているから。「(物を)持って行く」「(人を)連れて行く」も然り。それがこんどは同じ「送る」というひとつの動詞で、「物」も「人」も運んでしまおうというのである。

生徒も、日本では物だけじゃなく人まで配達(delivery)するのか⁈ …と言って驚いた。う~ん。


ところで、最近私は英語アプリを使ってフレーズの練習をしているのだが、昨日はこんな例文がでてきた。

Can I give you a ride?:送りましょうか?

この「give 人 a ride」だと幼稚園まで歩いて子供を送るときには使えない。アメリカで子供を送るときに「歩いて」というのは考えられないが、車じゃなきゃいけないのかな。自転車に乗せるときは使えるのだろうか。でも「無料で乗せてあげる」の意味が強いなら、どっちみち子供を送るときに使うのは変じゃないか。…色々考えるところである。

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「なるほど」「確かに」は口コミで広がったのだろうか?

2023-09-05 | ほうげん・ひょうげん

私はだいたい2015年から2020年までメキシコに住んでいて、その間は日本のニュースをたまにネットで見るくらいで、日本語とはけっこう疎遠にしていました。その間、日本から赴任してきた駐在者やそのご家族にスペイン語を教える機会に恵まれていたので、もちろん日本語は使っていましたが、日本人の生徒さんの発する相槌にドキッとさせられたことがあります。

まず「確かに」という4文字ですが、文法説明をしているとき「確かに」と何度も言う生徒が1名いて、初めはドキッとしました。説明している先生に対して「はい、はい」と2回繰り返すのも失礼だし、「確かに」も失礼じゃないかと思いました。でも私は決して偉い先生じゃないので「まあいっか」と思って、そのうち慣れてしまいました。これが正しい日本語なのか、正しいけど相手によっては失礼なのか、様々な意見をネット上で見ることができます。本当のところはわかりませんが、自分はドキッというかカチンときたし、その後完全に慣れて自分でも使うようになるまでは、かなりモヤモヤしていました。

「確かにそうですね。」まで続くと、モヤモヤしない気がします。

メキシコに住む以前は関西に住んでいたのですが、関西でも聞いたことがなかったと思うんですよ。関西弁にはなさそうですね。

ではこの「確かに」って相槌としてはいつごろから、どのように広がっていったんでしょうねー。私にまで移ってしまったように、人から人へ、口コミで伝染してしまったんでしょうか。もちろんテレビ、SNSなど強力な媒介はありますけど。前述の生徒さんがどちらの出身かは忘れましたが、初めは地域差があったのかもしれませんよね。

同様にして、初めは違和感あった「なるほど」という4文字にもいつの間にか慣れてしまいましたが、使うたびに「はっ」とします。これも失礼なのか?失礼に聞こえるからと言って「です」をつければ「なるほどです。」になってもっと変です。口癖になるのがコワイですが、手遅れかもしれません。

「なるほど、そうだったんですか。」と続けると、モヤモヤしないんですが、長くて相槌には適しません。「そうなんですか」で良いんじゃないかと思うんですが。


この「なるほど」も、昔から相槌として使ってましたっけ? いつの間にか全国的に普及して定着してしまったんじゃないですか? この8月にALTとして日本にやってきたアメリカ人(私のオンラインの生徒)が、先日久しぶりのオンライン日本語レッスンで、私が文法説明しているとき「なるほど」と発して頷いてるのを見て愕然としましたよ。やはり人から人へ、簡単に伝染するようです。「郷に入れば郷の相槌」ですかね。

 

最後に、口癖になってしまい後悔しているのが「本当ですか⁉」です。これは日本語の生徒の話に「うっそー」「まじ~?」などと応えないように制御してたら出てしまった相槌です。

自分の生徒との雑談のとき言うのは良いんですが、、。実は先日、医師に検査結果の説明を受けているとき思わずこれが出てしまって、自分の頬をひっぱたきたくなりました。医師が「××は無いです」と説明しているのに対して「本当ですか⁉」はないでしょう。失礼な相槌が口癖になるのは恐ろしいです。

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単独の「ということで」に意味はあるのか?

2023-07-15 | ほうげん・ひょうげん

日本語プライベートレッスンの生徒に「ということで」はどんな意味か聞かれた。文と文をつなぐ意味があるのか?…と。

 

日本語ネイティブで日本語教師なのに、初中級レベルの生徒の質問に即答できないことは時々ある。この質問には「どんなときに使われていたのか?」と逆に生徒に質問してしまった。

ポッドキャストや YouTube で、二人の話し手が交互に話しているときだと言う。インタビューなのか、会話なのか、いまいち具体的にわからない。生徒は初中級レベルなので、話の内容が全部わかるわけじゃないが、時折唐突に発せられる「ということで」が強烈な印象で頭に残ったらしい。

「…ということ」を『教師と学習者のための日本語文型辞典』で引くと(以下、引用):

…ということ<内容>

(例)最初のオリンピックがアテネだったということは今まで知らなかった。

…ということ<意味>

(例)「灯台もと暗し」とは、身近なことはかえって気がつかないということである。

…ということだ<伝聞>

(例)山田さんは、近く会社をやめて留学するということだ。

など色々出ているがすべて文の中に組み込まれていて、唐突に発せられる「ということで」とは違うような気がする。「…ということ」から派生した独立用法みたいなのがあるんだろうか。

とにかく、私は生徒の聞きそうなポッドキャストや、YouTube、テレビ番組など、色々注意深く聞いてみた。すると、けっこう、本当に単独で「ということで」が使われているんだよね~。前置きのあと本題に入るときとか、ゲストに話を振るときとか、話題を変えるときなんかに。つまり文と文をつないでいる~というより、話題と話題をつないでいるのかもしれない。

私なんかは授業中に次のテーマに移るときなど「はい、では」と言ってしまう。口癖である。こうしたあまり意味のない掛け声みたいなものに、以前は「それでは」「ではここで」と言う人のほうが多かったのではないかと思う。いつの間にか「ということで」を使う人の割合が増えたのだろうか。

 

ということで、本日のスペイン語は「それでは」に使える ENTONCES を紹介します! ってな感じ。

ちなみに ENTONCES は幅広い状況で使える、ひとことでは和訳できない副詞だが、たとえば Y, ¿entonces? :それで? みたいなあいづちにも使える。気にになる方はぜひ一度、辞書に連なる例文を見てみてほしいと思う。

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留学生を悩ませる北海道弁「さる言葉」の活用

2023-04-08 | ほうげん・ひょうげん

札幌市の地下鉄のドアにこういう広告がありまして、北海道民は「にやり」とやり過ごせるんですが、これが日本語学習中の留学生を悩ませているようです。撮影してるワタシの亡霊が映り込んでいますが、まずは写真をアップします。

これは北海道米の広告なので「そんなにおいしいとついついお米が 食べらさる:自分の意向ではなくお米が口から胃に送り込まれる様」と言いたいのでしょう。

日本語の難解なフォーム「~される」「~られる」「~させられる」あたりを勉強中の留学生がこの広告を見て頭を抱えていたので、「これは実は北海道弁なんだわ」と説明すると、「そんな紛らわしい活用を方言にしないでほしい」と苦情がきました(笑)。

 

ブログ内を探したらなんと、ちょうど18年前に北海道弁「さる言葉」について投稿してたんですよね~(感慨深い)。

「~さる」言葉は否定文でよく使う→「~さらない」
使用例:
1)このペン書かさらない。─インク固まってるんでないの?
2)ファックス送らさってない。─切り替え式だべか?
3)シャッター押ささらない。─フイルム巻かさってないんでないかい?
(アナログな例文ですみません)

◆ブログ内ページ [~さる]言葉 2005年4月8日

当時は日本語文法がよくわからなかったので、動詞の活用(変化)という点で解説できませんでした。日本語教師になったいまならできるかな?と思い再挑戦します。

【動詞Ⅰグループ】("i" の音が "a" に変化します)
 書きます⇒書か ⇒⇒ 書か+さる
 送ります⇒送ら ⇒⇒ 送ら+さる
 押します⇒押さ ⇒⇒ 押さ+さる
 巻きます⇒巻か ⇒⇒ 巻か+さる

【動詞Ⅱグループ】
 食べます ⇒⇒⇒ 食べ+らさる
 見ます  ⇒⇒⇒ 見+らさる

【動詞Ⅲグループ】
 します  ⇒⇒⇒ ?
 来ます  ⇒⇒⇒ 来らさる

だ、だめでした。不規則グループの「します」の活用がわかりません。すべての動詞が「さる言葉」になるわけじゃないらしいんです。「します」の代わりに「やります」を使って「⇒やらさる」にはできると思います。

「さる言葉」を「ます形・食べらさります」で使用するのは稀であり、一般的に(北海道的に)「さる言葉動詞(Ⅰグループ)」となって普通形の活用、つまり「食べらさる/食べらさらない/食べらさった/食べらさらなかった」に変化したものが使われているのではないかと思います。ちなみに「て形」は「食べらさって」でしょうねー。

 

追記:
18年前の例文を見て気付いたんですが、否定文では「食べらさらない」「食べらさらなかった」のほかに「食べらさってない(て形+ない)」という言い方もけっこう使うようです。
例1:「写真映らさってないよ」(て形+ない)
例2:「メール送らさってなかったよ」(て形+なかった)

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「生真面目」の対義語

2023-03-12 | ほうげん・ひょうげん

「旅の指差し会話帳」シリーズの メキシコ-メキシコ(スペイン語)-は、メキシコ特有の表現、食べ物や飲み物の名前がイラスト入りで載っていて、見ているだけでも楽しい本で、私の愛読書?とも言えます。メキシコ滞在中5年間手元にあったし、スペイン語を教えているとき生徒に見せたり勧めたりもしていました。

 

最近、この本でメキシコ特有の形容詞を確認していて気付いたことがあります。「人の性格・特徴」という、二つの対照的な単語をセットで紹介しているページです。

 気まじめ:serio ⇔ 冗談好き:burlón

(記載は ↑ なぜか「生」じゃなくて「気」を使った真面目)

メキシコでは(ほかのスペイン語圏でも同様かも)日本人が美徳とする「真面目」はあまりポシティブな意味を持ちません。「serio/a な人」は「笑わない人」とか「堅苦しい人」みたいなイメージなので「生真面目」の対義語が「冗談好き」というのは納得のいく話です。

ですが「burlón」というスペイン語自体は、なんかちょっと違うかもしれませんねー。というのは、メキシコ人に言われたんですが、burlón は他人を馬鹿にして笑う人のことを指すらしいんです。。。確かに、元になる動詞 burlarse には「からかう」「嘲笑する」という意味がありますし、辞書には「burlón/a:ふざけた、からかうような」と記載があります。

 

では「serio/a:笑わない人/堅苦しい人」の対義語としてスペイン語ではどの形容詞があてはまるのかしら?と考えてみました。こういった「形容詞」は地域性もあるし、個人の感覚も違うし、時代とともに意味が変化したり、新語が生まれることも考えられます。日本語の「ヤバイ」や「ムズイ」のように、です。

 

メキシコ人の友達は「vaciadoというのもある」と言っていましたが、辞書に記載はなく、メキシコだけなのかもしれません。また「simpático/a」も「感じのいい」の他に「おもしろい、おかしな」という意味もあるので使えそうですが、serio/a の対義語としてはいまひとつ。

 

色々考えたあげくの候補3点。

候補1)bromista:冗談好きの、いたずら好きの

候補2)vacilón/a :[俗] 冗談好きの 

候補3)gracioso/a:おもしろい、おかしい、こっけいな etc.

 

「候補1:bromista」も良いですが、冗談好きに限定されるような気がするので、「ひょうきん」な感じが出せる「候補2:vacilón/a」が好きです。ただしこれは2007-8年のコスタリカで良い意味で多用されていたもののスペイン語圏の共通語ではないようなので、私の一番のお勧めは「候補3:gracioso/aですね!

ニュートラルな感じです。

 

※辞書は小学館「西和中辞典」を参照しました。

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