石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(4)

2024-08-26 | 世界ランクシリーズ

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

2.FDIアウトバウンド(FDI Outflows, 対外直接投資)

(米国と日本で世界シェア4割!)

(1) 2023年のFDI outflows(FDIアウトバウンド) 

(表http://rank.maeda1.jp/9-T02.pdf 参照)

 2023年の世界のFDI Outflows(アウトバウンド)の総額は1兆5,500億ドルであった。対外直接投資額が最も多かったのは米国であり、金額ベースでは4,040億ドル、世界全体の26%を占めている。日本は米国に次いで多い1,840億ドルで世界に占めるシェアは12%である。第3位は中国(1,480億ドル)であり、4位、5位に1,040億ドルでスイスと香港が並んでいる。これら上位5か国がFDI Outflows全体に占める割合は61%に達しており、直接投資の資金供給源が一部の富裕国に集中していることがわかる。

 

これに続く6位はドイツの1,010億ドルであるが、6位のカナダ以降はFDIアウトバウンドが1千億ドル以下である。韓国は345億ドルで世界12位の資金供給国であり、またロシアとインドのFDI Outflows額はそれぞれ291億ドル及び133億ドルである。中東の主要国ではUAEが最も多い223億ドルであり、世界で17番目にOutflowsが大きい国である。またサウジアラビアのFDIアウトバウンドは161億ドルでインドを上回っている。UAE、サウジアラビア以外で中東の主要な対外投資資金の供給国はイスラエル(100億ドル)、トルコ(58億ドル)などである。これに対してエジプトのFDI Outflowsは4億ドルにとどまり、イランの場合は1億ドルを下回っている。イランは米国の経済制裁のため対外投資もままならないようである。

 

2023年のFDI Outflows総額は前年(2022年)とほぼ横ばいである。国別に見ると米国及び日本の2022年FDI Outflowsはそれぞれ3,660億ドル及び1,620億ドルであり、ともに2023年は10%強伸びている。一方、中国は前年より▲152億ドル減っており、その結果日本と順位が逆転した。韓国のFDI Outflowsは2022年の658億ドルから2023年は345億ドルに半減している。またロシアは2022年の115億ドルから2023年には2.5倍の291億ドルに増加している。

 

中東の主要国ではUAEのOutflowsは2年連続して200億ドルを超えて安定している。サウジアラビアは2022年の270億ドルから2023年は161億ドルと4割以上減少している。イスラエルは横ばいであり、トルコは対前年比で10億ドル(22%)増加している。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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