石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(190)

2024-08-06 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

エピローグ(2

 

190 東と東の遭遇(2/4)

クウェイトとサウジアラビアの国境地帯で操業していた日本の石油開発会社で働く3人のアラブ人たちも決断を迫られた。ヨルダン人のカティーブはパレスチナ人のザハラを誘って、実家のあるアンマンに帰ることにした。出稼ぎ中に貯めた資金を元手にカティーブはアパート経営を、ザハラは自動車修理工場を立ち上げるつもりであった。残るもう一人のパレスチナ人シャティーラは米国で働く弟を頼って移り住むことにした。東へ東へと向かっていたパレスチナ人たちは、一転して西へと移動し始めた。

 

ある一夜、日本人の同僚が三人のために送別会を開いてくれた。日本人専用の社宅のためサウジアラビアでは御法度のアルコールもふるまわれ一同は思い出話にふけった。勤務年数は最も長いシャティーラで三十年、カティーブでも二十一年に達し人生の壮年期を日本企業で働いたことになる。出稼ぎ者の彼らがこれほど長く一つの会社に勤めることは珍しい。普通のクウェイトやサウジの企業であれば、オーナーの気まぐれで首になったり、或いはオーナーの横暴に耐えかねて転職していたに違いない。しかし日本人の会社は落ち着いて働ける会社であり、職場環境は居心地が良かった。政府と会社の利権契約が2000年までであり、彼らはできればその時まで働き続けたいと思っていた。しかし歴史に振り回されてきたパレスチナ人たちは今回の国外追放も運命の一つとして淡々と受け入れたのであった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(2)

2024-08-06 | 海外・国内石油企業の業績

II. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2024年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2024年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2024年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(前期比利益半減!)

2. Shell

プレスリリース:

https://www.shell.com/news-and-insights/newsroom/news-and-media-releases/2024/second-quarter-2024-results-announcement.html

(1)売上・利益・利益率

 Shellの2024年4-6月期は売上高745億ドル、利益35億ドルで売上高利益率は4.7%であった。前期(1-3月期)との比較では、売上高は3%増、利益は▲52%減であり、また前年同期(2023年4-6月期)比では売上高は横ばい、利益は12%増である。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは135億ドル、投資キャッシュフローは▲33億ドルであり、フリーキャッシュフローは102億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲118億ドルであり、この結果、6月末のキャッシュフロー残高は381億ドルとなっており、(残高が明示されていないChevronを除く)4社の中では最も多い。

 Shellの4-6月期設備投資は44億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 Shellの1-3月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油130万B/D、天然ガス28億立法フィート(cfd)であった。前期比では原油は▲3%減、天然ガスは▲10%減であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は178万B/Dである。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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