石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2018年版解説シリーズ:石油篇(10)

2018-07-02 | BP統計

 

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0446BpOil2018.pdf

 

2018.7.2

前田 高行

 

(1億バレルに近付く1日当たりの消費量!)

(3)1970年~2017年の地域別消費量の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G02.pdf 参照)

 1970年の全世界の石油消費量は4,523万B/Dであったが、5年後の1975年に5千万B/D台に、そして1980年には6千万B/D台と5年ごとに大台を超える急増ぶりであった。その後1980年代は横ばい状態であったが、1990年以降再び増加に勢いがつき、1995年には7千万B/Dを超えた。そして2000年代前半には8千万B/D、2013年に9千万B/Dを突破して2017年の消費量はついに9,819万B/Dに達し、1億バレルB/Dが目前である。

 

これを地域別にみると、1970年には北米及び欧州地域の消費量はそれぞれ1,662万B/D、1,333万B/Dとこの2つの地域だけで世界の石油消費の3分の2近くを占めていた。その他の地域ではアジア・大洋州は世界全体の15% (665万B/D)、ロシア・中央アジアは11% (483万B/D)にとどまり、中東、中南米、アフリカは合わせて9% (379万B/D)に過ぎなかった。しかしその後、アジア・大洋州の消費の伸びが著しく、1980年には1千万B/Dを突破、1990年代に欧州地域の消費が伸び悩む中で、1990年代前半にはついに同地域を追い抜き、2000年の消費量は2,118万B/Dに達した。さらに2007年には北米をも上回る世界最大の石油消費地域となり、2017年の消費量は世界全体の35%を占める3,457万B/Dとなっている。

 

欧州地域は1970年に1,333万B/Dであった消費量が1980年には1,565万B/Dまで増加している。しかしその後消費量は減少傾向をたどり1990年から2010年までの20年間はほぼ1,500万B/D前後で横ばい状態となり2010年代にはむしろ減少傾向を示し、2017年の石油の消費量は1,498万B/Dで世界全体に占める割合は1970年の29%から15%に半減している。

 

北米地域については1970年の1,662万B/Dから1980年には2千万B/Dまで伸び、1980年代は需要が停滞した後1990年代に再び増勢を続け2005年には2,510万B/Dに達した。その後は減少を続け2012年には2,300万B/Dを下回ったが、2017年は再び持ち直し2,422万B/Dとなっている。これはシェールオイルの生産が軌道に乗ったことにより石油の天然ガスに対する競争力が回復し、またシェール革命によりエネルギー価格全体が安くなり国内産業が活気を帯びたことが原因の一端であろう。 (天然ガスの生産・消費については後述)。

 

その他の中東、中南米、アフリカ地域は世界に占める割合は小さいものの、消費量は着実に増加している。特に中東地域は1970年の104万B/Dが2017年には929万B/Dと半世紀近くで9倍に膨張している。中東には石油の輸出国が多いが各国の国内消費の伸びが生産のそれを上回れば、その分輸出余力が減少することになる。この事実は将来の石油需給問題に影を投げかけていると言えよう。

 

(続く)

 

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