石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2018年版解説シリーズ:石油篇(18完)

2018-07-19 | BP統計

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0446BpOil2018.pdf

 

2018.7.19

前田 高行

 

5.世界の石油精製能力(続き)

(慢性的な設備不足のインド、2014年以降稼働率が改善する各国!)

(5)主要な国と地域の精製設備稼働率(2000~2017年)

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-5-G04.pdf 参照)

 精製能力に対して実際に処理された原油の量(通油量:Refinery throughputs)で割ったものが設備の稼働率である。ここでは日本、米国、中国、インド及び欧州について2000年から2017年の稼働率を比較検討する。

 

2000年には米国とインドが90%を超える高い稼働率を示し、日本及び欧州も83%を記録している。これに対し中国は75%にとどまっていた。インドはその後も高い稼働率を維持し2003年以降は稼働率100%を超える状況が続き、2017年の稼働率は101%であった。前項の精製能力の推移に見られるとおりインドは2000年以降精製能力を拡大しており、2017年には2000年の2.2倍の能力に達しているが、需要の伸びに追い付かず慢性的な精製能力不足であることがわかる。

 

 米国の稼働率は2000年の91%をピークに年々低下し2009年には82%まで下がった。その後稼働率は回復、2017年には89%まで戻っている。同国の精製能力は2000年の1,660万B/Dに対して2017年は1,857万B/Dに増加しており、近年経済が回復しガソリンなどの石油製品の需要が堅調であることを示している。

 

日本は設備能力の削減により漸く稼働率が上がりつつある。前項に示したとおり日本の精製能力は2000年の501万B/Dから2017年には334万B/Dへと3割強減少している。その間の稼働率は2000年の83%が2005年には91%に上昇し設備廃棄の効果が見られた。その後稼働率は再び低迷、2012年は80%に落ちたため、更なる設備削減が行なわれた結果、2017年にはこれまでで最高の96%になり、中国(80%)とは20ポイント近い差がついている。

 

 中国の精製能力は2000年の541万B/Dから2017年には2.7倍の1,451万B/Dに急拡大している。その間、2008年以降の稼働率は70%そこそこにとどまっており景気低迷の影響がうかがわれる。しかし2015年以降精製能力は削減又は横ばいの状態であり、その結果稼働率は2015年75%、2016年78%、2017年80%と上昇傾向にある。

 

欧州の精製能力は2000年の1,704万B/Dが2017年には1,518万B/Dに減少している。この間の稼働率は80%前後とほぼ横ばい状態であったが、ここ2-3年は上昇傾向にあり2017年の稼働率は85%である。

 

(石油篇完)

 

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