Cape Fear、in JAPAN

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知らなくていいこと、なんてない。 その伍 ~2018総括(10)~

2018-12-06 00:10:00 | コラム
18年総括の「映画」篇、最終日は「総括」。

いくつかの項目に分けて、今年の映画界を振り返ってみよう。


(1)【カメ止め現象】…トップ画像

低予算の「しかも映画好きのする内容」の小品が、地方のシネコンでハリウッド大作以上に座席を埋めたというのは、もはや事件といえる。

出演したフレッシュな無名俳優たちには特需が起こり、次々にメディア出演を果たしたことも喜ばしい。

どことなくクドカンチックな雰囲気が漂う上田慎一郎監督の真価はきっと、このあとの第2作目にかかっていることでしょう。

(2)【パルムドールという「箔」】



もともとの評価も高く、興行面でも結果を残してきた是枝裕和・・・をしても、通らない企画は「多数」あったといわれている。

しかしカンヌの最高賞を取った監督だもの、これからは、撮りたいと思ったものはすべて撮ることが出来るようになるはず。

そのくらい、カンヌの箔ってすごい。
項目的には無関係だが、東京国際映画祭も、そのくらい価値があるものになってほしい。

(3)【「♯metoo」騒動の余波】

ワインスタイン印の映画がなくても。
クレジットにケビン・スペイシーの名がなくても。

それでも地球はまわる、世の中は動く、、、ということで。

優れたインディペンデント映画は生まれつづけているし、場面をさらうような演技巧者の男も居る。


ただ「居なかったことにする」というのは、さすがにちがうと思う。

人格者ではなかったが、才能のあるひとだった。
だから功績だけは、きちんと評価をつづけていくべきでしょう。

(4)【映画と音楽、その幸福な結婚】

個人的な選考基準としては「19年度公開映画」に入ってしまう、フレディ・マーキュリーおよびクィーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が異様な盛り上がりをみせている。

主演俳優が何度も交代したり、最後の最後でブライアン・シンガー監督が降板したり不安要素が多々あったものの、ライヴ・エイドの高揚感と、それを劇場で体感出来る「一粒で二度おいしい」効果によりクィーンを知らない世代にまで「映画館で観たい」という思いにさせたのが素晴らしい。

本来、映画と音楽は相性がいいもので。
作品的にはどうかと思った『グレイテスト・ショーマン』も、躍動する映像とノリのよい音楽で「細かいところにツッコむことを拒否する力技」の映画だった。

客を呼ぶ映画の大半が、音楽と幸福な結婚を果たしているな、それは時代が変わっても同じなんだな・・・と思った。

(5)【1位にした理由】

今年のベストワン映画は、『スリー・ビルボード』。

エッジと、目配りが効きまくった脚本に感心というか「おおいに」嫉妬したので。

すでに10回ほど観ているが、それでも新たな発見がいくつも出てくる。

登場人物が手にしている本とか、部屋に貼ってあるポスターにまで「細工」しているであろうことを想像すると、映画監督や脚本家にとって、この世で知らなくていいことなんかひとつもないのだな、、、と痛感させられたのだった。





第01位『スリー・ビルボード』
第02位『ニッポン国VS泉南石綿村』
第03位『ビューティフル・デイ』
第04位『カメラを止めるな!』
第05位『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』
第06位『斬、』
第07位『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』
第08位『ラッカは静かに虐殺されている』
第09位『勝手にふるえてろ』
第10位『シェイプ・オブ・ウォーター』
第11位『止められるか、俺たちを』
第12位『若おかみは小学生!』
第13位『万引き家族』
第14位『ファントム・スレッド』
第15位『リバーズ・エッジ』
第16位『花筐/HANAGATAMI』
第17位『寝ても覚めても』
第18位『アンダー・ザ・シルバーレイク』
第19位『デトロイト』
第20位『ちはやふる ―結び―』
第21位『素敵なダイナマイトスキャンダル』

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明日のコラムは・・・

『機種変更、ネット篇』
コメント
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