Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

applause

2018-06-22 00:10:00 | コラム
applause=拍手、の意。

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自分にとっての神映画『タクシードライバー』(76)が全米で公開されたとき、監督スコセッシは場末の劇場に観客として何度か潜り込んだそうである。

自作をあらためて鑑賞、、、ではなく、観客の反応を確かめに。

そうしたらば。
クライマックスの殺戮シーンで拍手が起き、一部の観客が「そうだ、やっちまえトラビス!」と声をあげて主人公を応援し始めた。

スコセッシは、たいへんなショックを受けたという。

留飲を下げたかのような観客が、理解出来なかった。

そんなつもりで、クライマックスを用意したわけじゃないのに・・・と。


複雑だろうなぁ。

真面目に発したことばだったのに、多くのひとが笑うみたいな、これは日常でも起こり得る話だと思う。


このテーマで論じていくと長くなるので方向転換し、きょうは「拍手」について。


米国人のリアクションは派手である―というのは、格闘技を観ていても分かること。

バチバチの殴り合いが展開されたときの歓声は日本だって大きいもの、ではあるが、
いわゆる塩試合(=つまらない、しょっぱい試合)が展開されたとき、日本の観客はそれでも最後の1秒まで試合を見届け、ゴングが鳴ったあとにブーイングをする。
しかし米国の観客は、塩が展開された「1秒後」から、方々でブーイングを始めるのだった。

焦んなさんな・・・と思うときもあるけれど、そのブーイングによってファイターが発奮し、試合が動くときも「ときどき」あるわけだから、どっちが正しいとかそういう話ではない。


つまり、日本の観客はマナーを守る「よき観客」であるかというと、そう断言は出来ないということ。

拍手や歓声、ブーイングを恥ずかしいと思っているだけかもしれない。

シャイであると。


そんなシャイな国民性であるからして、劇場で拍手が起こることは「あまり」ない。

「あまり」ない、つまり、「稀に」起こるってことで。


以下、自分が印象に残る「上映中に拍手が起こった映画5本」。


面白いのは、「映画的に優れているかどうか」というのは置いておいて・・・という作品が入っていること。


いいじゃない、そんなことは!!


(1)『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)

あとがつづくことがなかった笑、マサラムービーの代表作。

みんな、ノリノリで観ていた。




(2)『スター・ウォーズ ファントム・メナス』(99)

15年ぶりのシリーズ再開だったものだから、そりゃあ盛り上がるって。



(3)『スピード』(94)

先行オールナイト(=公開1週間前にオールナイトで上映される特別興行)が流行したのは一瞬だったが、そのころに観た映画のなかで最も劇場が沸いていた。

(4)『七人の侍』(54)

名画座などでアンコール上映されることが多いが、いつだって、どこからか拍手が聞こえてくる。

すんばらしいことだと思う。

(5)『この世界の片隅に』(2016)

こちらの拍手は、静かに、遠慮がちに。

しかし一瞬ではなく、しばらくつづく拍手。



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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(63)大政絢』
コメント (1)
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