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にっぽん男優列伝(226)丹波哲郎

2014-04-19 00:30:00 | コラム
22年7月17日生まれ・2006年9月24日死去、享年84歳。
東京出身。

霊界サロン


たとえば個人的な映画ベスト30とワースト30を「それぞれ、いくつか」挙げてみると、奇妙なことに気づいて笑ってしまうのです。

ベストに『豚と軍艦』(61)と『切腹』(62)、『砂の器』(74)。
ワーストに『大霊界』(89)と『大霊界2』(90)。

この5つの映画に関係している俳優が、ひとりだけ存在します。
ベストとワーストに関わる俳優―それが、自分にとっての丹波哲郎(たんば・てつろう)さんです。

名優、であることは否定しようがありません。
『大霊界』のシリーズは、水野晴郎のケースと同様「好き過ぎて、創っちゃった」に過ぎず、本気で怒ることはないのかもしれません。
お金あるし、好きだし、いいっしょ? みたいな。

極端にいえば、お金をかけた冗談であると。

いまはそれを受け止めるくらいの「こころの余裕」はありますが、高校生のころの自分は「大」のつく真面目な映画少年だったから、「なんでこんなクソ映画のために、前橋まで行かなきゃならないんだ!!」と、怒りに怒ったのでした笑


高身長に英語堪能―というわけで外国映画にも出演し、日本人のイメージを変えたひとでもありますよね。

イマヘイや小林正樹が創る独特な映像空間で映えたひとですから、ぜひ黒澤演出を受ける丹波さんを見たかったです。
黒澤が脚本を担当した『ジャコ万と鉄』(49)には出演していたのだもの、その可能性はあったと思うのですけれど。


※『切腹』予告編…こんなにゾクゾクした時代劇って、ほかにない




<経歴>

父は日本画家の丹波緑川。

中央大学法学部に在学中、学徒出陣。整備士官としての技術を身につける。
戦後に復学、当時から英語が得意だったようでGHQ通訳のアルバイトをしていたのだとか。

卒業後に俳優を目指して新東宝に入社する。

映画俳優デビュー作は、52年の『殺人容疑者』。

出演作があまりにも多いので、ここでは代表作のみを取り上げます。

【50年代】

『戦艦大和』(53)
『叛乱』(54)
『人間魚雷回天』(55)
『阿波狸変化騒動』(57)
『ひばりの三役 競艶雪之丞変化』(57)
『明治天皇と日露大戦争』(57)
『天皇・皇后と日清戦争』(58)

【60年代】

※68年よりテレビドラマ『キイハンター』(68~73、TBS)にレギュラー出演。お茶の間でも人気者に。

『大阪城物語』(61)
『豚と軍艦』(61)…生命保険の看板に張り付く? 熱演で、作品のなかでいちばんのインパクトを残す
『太陽にかける橋』(61)…米国映画
『恋と太陽とギャング』(62)
『切腹』(62)…仲代・三國に負けていない怪演だと思う
『暗黒街最後の日』(62)
『暗黒街の顔役十一人のギャング』(63)
『丹下左膳』(63)
『十三人の刺客』(63)
『ジャコ萬と鉄』(64)…ジャコ万を好演
『三匹の侍』(64)
『暗殺』(64)
『仇討』(64)
『怪談』(65)
『網走番外地』(65)
『組織暴力』(67)
『脱獄者』(67)
『007は二度死ぬ』(67)…悪役「タイガー田中」を楽しそうに演じている
『やくざ番外地』(69)

【70年代】

『戦争と人間』(70)
『激動の昭和史 沖縄決戦』(71)
『沈黙』(71)…現在、スコセッシが米国版を制作中。その日本版は傑作であり、丹波さんはクリストファン・フェレイラを演じている。
『軍旗はためく下に』(72)
『山口組三代目』(73)…二代目組長・山口登を演じる
『人間革命』(73)
『日本沈没』(73)
『ノストラダムスの大予言』(74)
『砂の器』(74)…今西刑事を好演、作品を引き締める
『少林寺拳法』(75)
『新幹線大爆破』(75)
『ひとごろし』(76)
『暴力教室』(76)
『不毛地帯』(76)
『八甲田山』(77)
『柳生一族の陰謀』(78)
『事件』(78)
『皇帝のいない八月』(78)
『野性の証明』(78)
『白昼の死角』(79)
『真田幸村の謀略』(79)

【80年代~】

※霊界の研究を本気で始め、多数の著書を出版する。
映画での役回りは、たとえていえば「ドナルド・サザーランドっぽく」なっていく。

『二百三高地』(80)
『武士道ブレード』(81)
『魔界転生』(81)
『野菊の墓』(81)
『連合艦隊』(81)
『鬼龍院花子の生涯』(82)
『疑惑』(82)
『空海』(84)
『零戦燃ゆ』(84)…山本五十六を演じる
『愛・旅立ち』(85)
『キャバレー』(86)
『首都消失』(87)
『マルサの女2』(88)
『226』(89)
『丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる』(89)…なんと出演・脚本・製作・総監督の4役。そうして、なぜか? ヒットした笑
『将軍家光の乱心 激突』(89)
『善人の条件』(89)

『丹波哲郎の大霊界2 死んだらおどろいた!!』(90)
『民暴の帝王』(93)
『とられてたまるか!?』(94)
『ねじ式』(98)
『地獄』(99)
『金融腐食列島 呪縛』(99)

『盲獣vs一寸法師』(2001)
『カタクリ家の幸福』(2002)
『たそがれ清兵衛』(2002)
『極道恐怖大劇場 牛頭GOZU』(2003)


2006年―肺炎により、9月24日に死去。
享年84歳、映画の遺作は「写真での友情出演」となった『日本沈没』(2006)。

スケールの大きな俳優さんでしたねぇ。


次回のにっぽん男優列伝は、千秋実さんから。

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コメント (2)
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