Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

シリア周遊 5 国立博物館

2009-06-03 01:53:22 | 中近東/北アフリカ
5月1日

イスラム圏では日曜ではなく金曜日が安息日。
そのためいつもにぎやかなスークも今日はお休みの店が多い。
 
人通りの少ないアーケードには屋根の穴から差す日が水玉模様を作り、所在無げなマネキン達はちょっと不気味である。

そんなスークを足早に抜け、新市街にある国立博物館まで歩く。

途中にあるのは1917年に造られたというヒジャーズ駅。
 
正面にはかわいい蒸気機関車が飾られ 
 中もきれいなのだが、ここにはもう線路がひかれておらず、なぜか本が並んでいる。
駅として再開発するという話もあるようだが、確かにこのままではもったいない。

さらに歩いてダマスカス大学の門から中をちょっと覗いてみる。
 広々とした構内には女子大生も大勢いて、なかなか活気がある雰囲気。
この裏手には大学生のためのアパートもたくさん並んでいて、部屋代はとんでもなく安いんだそうだ。

ここから道を隔てた斜め前にあるのが今朝のお目当て、国立博物館。
 
門を入ると中庭があり、噴水の向こうに正面入り口がある。7世紀の砂漠の城砦の門を移築したこの入り口もよく見るととてもきれいだ。

ここから先は撮影禁止。古い順に展示品を見ていくと、紀元前6000年のものなんてのが普通の顔をして並んでいる。
一番有名なのはウガリットから出土した世界最古のアルファベットの粘土板で、これが紀元前1400年。大きな目玉が特徴的なマリ出土のメソポタミア文明のものは紀元前2000年。
その頃の日本は、なんて考えると歴史のスケールが違いすぎてくらくらする。

ぐるぐる見てまわっているうちにパルミラの部屋に迷い込んだ。地下に下りる階段の先には墓の内部を再建した部屋がある。我々の他には見物人がいなくなると監視員が写真を撮ってもいいと言う。「他の人が来る前に、早く、早く」
 
こんな時、国によっては「なんかくれ」というのが通例だが、ここはそういうわけではなく、純粋なサービス精神らしい。「絶対内緒だよ」と念を押されたが、ブログに書いちゃったよ、まずいかな。

それにしてもこの博物館、収蔵品の価値に比べて展示の仕方があまりにも古くさい。説明は小さな紙に書いてあるだけ、それもアラビア語だけだったり、フランス語だったり。ケースの中の並べ方にも工夫がなく、ライティングもされていない。
大体どこにどの時代のものがあるのかの表示も不親切で、そのためここで一番見たかったものを実は見逃してしまったことに後で気がつく。

だからだろう、現在博物館内は展示換え作業があちらこちらで進行中。そのため見られない部屋があったり、ものがごちゃごちゃに置かれた部屋があったり。

せっかくのお宝、見せ方によって何倍も興味あるものになるのは他の博物館が実証している。かなり抜本的な改善が必要そうだが、ダマスカス国立博物館にはがんばっていただきたい。まずは開館時間にミュージアムショップを閉めるなんてことのないところから 

もっとゆっくりしたかったところだが、午後の予定があるので博物館からは撤収。
のりのいいお兄さんたちからシュワルマを買って、ホテルの中庭で軽い昼食をすませた。
  


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4 コメント

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Unknown (いの)
2009-06-04 00:22:46
紀元前2000年やったら
キリストさんの誕生日を挟んで、
ちょうど反対側やな~と思ったら
紀元前6000年の展示物?!

・・・もうぼちぼち
飛ぶか喋るかしそうですね(笑)

せっかく立派な外見、所蔵品をもつ
国立博物館。
ここはいっちょ、国の威信をかけて
改装してもらいたいな。

あ。それから、
アーケードの穴が路上につくる模様。
写真1枚が、すんごい語ってますね~。
私だったら、マネキンだけを
撮りまくってるところ。

目の付け所が、さすがです!
返信する
いの様、 (lunta)
2009-06-04 14:26:34
1枚目の写真、実は自分でもとても気に入っているのでお褒めいただいて嬉しいです。
いのさんだったらあのマネキンだけで記事1本まちがいなく書けますね。その文才がうらやましい。

ところで古いものって8000年も経ったら飛んだり喋ったりするんですか。インド人ってもしかしたらみんな8000歳なんでしょうか。
返信する
「写真でイスラーム」さんから帰ってきました。 (うつせみ)
2009-06-08 18:36:56
お久しぶりです。
luntaさんのサラディーン廟の記事から「写真でイスラーム」さんに飛んで、すごい量のサラディーン関連記事をむさぼり読んで帰ってきました。
リンクを貼って下さって、ありごとうございます。
不肖私、アラウンド60ですが、サラディーンを知らずにシリアに行ってしまうところでした。
・・・今日、ついにヨルダン・シリアツアーに申し込みをしてきちゃいました。
熟年夫婦の「恐る恐る中東旅行」ですので、すっかりお任せパックツアー。
主人の夏休の都合で、ばっちりラマダン中です。
国立博物館の監視員さん、空腹でイライラしてないと良いのですが。
私も写真撮りた~い!
luntaさんのようにはいかないけれど、できるだけあちこち歩いてこようと思ってます。
「シリア周遊」の続きを読ませていただくのが楽しみです。
返信する
うつせみ様、 (lunta)
2009-06-09 13:52:03
コメント、ありがとうございます。
こんな記事でもシリア、サラディーンに興味を持っていただいてとてもうれしいです。
「写真でイスラーム」さんの記事は素晴らしいでしょう?あちらはイスラーム一筋、でも話題も知識もとても豊富なので、ご旅行の前に読まれると楽しさがずっと増すと思います。
ラマダン中のご旅行もイスラムらしさを満喫、と考えればプラスでは。ラマダン期間ならではの食事などもあるらしいですよ。
ヨルダン・シリアツアー、ぜひ楽しんでくださいね。きっとアラブ、イスラムに対するイメージが変わりますよ。
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