10月21日
朝、窓の外に広がる景色は快晴。
早速お散歩に出る。
海辺の美術館と称する道沿いには原節子や笠智衆の写真がある。
これ、小津安二郎の「東京物語」からのスチルで、このお話の両親は尾道から上京したことになっていて尾道でロケもしたとか。はるか昔に一度見たことがあるが、原節子ができすぎた嫁を演じていたこと以外はほとんど覚えていない。
ついこの間、「原節子の真実」という本を読んだが、それによると原節子は従順な女ばかり演じさせる小津のことはあまり好きじゃなかったんだそうだ。
土曜日なので岸壁で釣りをする人がいっぱい。
尾道駅まで朝食がとれそうなカフェを探したが開いている所は見つからなくて
小さなパン屋さんでパンを買って宿に戻った。と、このパンがおいしくて、尾道、侮るべからず。
ゆっくりとチェックアウトをして、尾道駅の先にある駅前桟橋へ。
目の前の向島へ渡るフェリーはたくさんあるが、しまなみ海道のサイクリングロードにつながるここはチャリダーでいっぱい。
自分たちが乗るのはこちらの黄色い船。
週末だけ運行する尾道から鞆の浦へ行く船で片道2500円。十分な座席数で快適だけれど、外に出て潮風に当たれないのは残念。
10時に尾道を出港。
行き交うとんがり屋根の船は向島への渡船。
今日はよく見える千光寺を過ぎ、立派な市役所の前を通る。
浄土寺などお寺だらけの市街を出て、新尾道大橋と尾道大橋の下をくぐり、尾道水道を抜ける。
やがて船長が「今日はラッキーです」というのは赤いブイの向こうに「山波の洲」という砂洲が見えたから。
瀬戸内海にはこんな風に浅くなっている所がたくさん隠れているので座礁しやすいのだとか。
穏やかな海は島だらけで、この辺りには有名人の別荘もあちこちにあるらしい。
宮島の大鳥居を小さくしたような鳥居はこれも伊都岐島神社。
山の中腹に見えてきたのは「ベラビスタ」という高級リゾート。この下のマリーナから昨日見たガンツウが出発するのだ。
常石造船は日本有数の造船会社だそうで、巨大なタンカーもドックに入っている。
これを過ぎると内海大橋。
くの字に曲がった所で船長が速度を落としてくれる。
突端に観音堂の立つ阿伏兎岬をまわり、海苔養殖の杭など眺めているうちに
終点の鞆の浦が見えてきた。
11時に鞆港到着。
わずか1時間のクルーズだったけれど、ちょっと勘九郎に似た船長の説明はとても楽しかった。
ちなみに降り口の脇に立つ帽子の女性が社長なのだとか。
鞆の浦へこのクルーズを選んだのは大正解。
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