[7月3日18:00.魔界王国アルカディア王都アルカディアシティ1番街 魔王城 視点:稲生勇太]
今度は素直に魔王城に到着することができた。
だが、当たり前だが、城内は物々しい雰囲気に包まれていた。
ジル隊長:「アリス!無事だったか!」
アリス:「隊長!おかげさまで、いつでも戦列に復帰できます!」
ジル隊長:「そうか。今は人手が足りない。早急に本部に戻り、指示を待て」
アリス:「ははっ!」
魔王城の廊下で騎士団の一隊とすれ違った。
その隊はジル隊長率いる小隊であった。
アリス:「そういうわけだ。私は本部に戻る。今までありがとう」
エレーナ:「おい、報酬まだもらってないぜ?」
アリス:「私が家に連絡して、あなたに100万ゴッズを用意するよう、伝えておく」
エレーナ:「その言葉、信じてもいいんだな?」
アリス:「魔道士をナメた為に、痛い目に遭った傭兵の話を知っている。これは保証金だ」
アリスはワンスターホテルでのラフな格好をやめ、騎士の鎧を着込んでいる。
そして鎧の中から、金貨を1枚取り出した。
これだけで1万ゴッズの価値はある。
しかも、裏にはリンクス家の紋章が彫られていた。
アリス:「これを私の家に持って行けば、家の者は信じる」
エレーナ:「なるほど。これなら悪くないぜ。もらっておくぜ」
エレーナは金貨を帽子の中に入れた。
エレーナの帽子は四○元ポケ○トのようである。
ここでアリスと別れた稲生達は、ラウンジへ向かった。
エレーナ:「こんにちは、レクシー先輩」
レクシー:「エレーナか。馴れ馴れしいぞ。階級は私の方が上だ」
レクシーはエレーナに眉を潜めた。
イリーナ:「マルファに付いてなくていいの?」
レクシー:「イリーナ先生。いえ、マルファ先生からはこちらの魔王城に待機しているようにとのことです」
エレーナ:「ミドルマスターでも手に負えない事態ってことだな」
レクシー:「残念ながらこういう時、私は無力だ。……って、アンタもでしょ?」
エレーナ:「私は敵機に迎撃したぜ。おかげで、ここの被害は殆ど無かったはずだ」
レクシー:「その代わり、別の街が被害を受けた」
エレーナ:「まだ再開発地区だっただけマシだろうが」
レクシー:「そういう問題じゃない!」
イリーナ:「まあまあ。それよりエレーナは、リリィを迎えに来たのよ」
レクシー:「ああ、リリアンヌですか。それを先に言ってくたさいよ。今、呼んできます。それまで、お茶でもどうぞ」
レクシーは魔法使いの中でも、超能力に精通するエスパーである。
テレキネシスでポットとティーカップを浮遊させ、お茶を人数分入れた。
レクシー:「では、行ってきます」
レクシーは手持ちの魔法の杖を高く上げると、瞬間移動した。
ルゥ・ラの短距離版である。
この辺は魔道士よりもエスパーの方が得意である。
但し、MP消費量は多く、かなりの集中力を必要とするのだそうだ。
エレーナ:「エスパーも一人前になれりゃ、仕事は楽なんだろうけどなぁ……」
マリア:「ホウキを乗り回している時点で、かなり楽してるだろ」
エレーナ:「私の場合は実用的な理由だぜ?『魔女の宅急便』も、金稼ぎの為だぜ」
マリア:「ああ、分かってる」
イリーナ:「実はエレーナのタイプの方が、消費MPは最も低いのよね」
マリア:「確かにこいつがホウキ以外の魔法使ってる所なんて、あまり見たことないです」
エレーナ:「私は薬師のジャンルだからな。回復魔法よりはポーションを自分で作って使う方が安上がりだし、攻撃魔法よりも爆薬を自分で作って使った方がやっぱり安上がりってモンだぜ」
稲生:「一番現実的な魔法使いって感じだね」
エレーナ:「だから、すぐに人間社会に溶け込める。ホテルで働けているのも、その為だぜ」
稲生:「なるほど」
そんなことを話していると、レクシーがリリィを連れて戻って来た。
リリィ:「エレーナ先輩!」
エレーナ:「おーっ、リリィ!無事で良かったぜーっ!……コロナ対策の為にハグは無しな?」
リリィ:「フヒッ!?」
エレーナ:「魔界にそんなものは無いか。良し良し、さすが魔女だ。悪運の強さは抜群だな」
リリィ:「フフフ。ムッシュ鈴木の『祈り』が通じました~」
エレーナ:「その考えは捨てた方がいい」
稲生:「仏法の功徳、魔界にも届くんだねぇ」
リリィ:「学校はしばらく休校です」
エレーナ:「だろうな。魔界はまだ危ないから、しばらくうちのホテルに匿わせてやる。こっちへ来るんだぜ」
リリィは学校の制服を着ている。
デザインはセーラー服とブレザーを足して2で割ったような感じ。
夏なので、白を基調とした夏服であった。
リリィ:「はい、ありがとうございます」
学校と行っても魔法学校ではなく、普通の中学校。
リリアンヌみたいな魔女っ娘は、義務教育を終える前に人間を辞めてしまったので、難しい魔導書を読んで理解する為の知識が無い。
それを付ける為である。
義務教育を修了しないと、魔法を教わることはできない。
マリアはギリギリで高卒、稲生は文句なしの大卒なので、この課程は免除されている。
エレーナ:「それじゃ、サーセン。私はこれからリリィを送って行きますので」
イリーナ:「分かったわ。取りあえず、ここでお別れね」
エレーナ:「うちのホテルの部屋、良かったら確保しておきますぜ?」
イリーナ:「必要になったら連絡するわ。或いはもしかしたら、三星亭に泊まるかもね?」
エレーナ:「おお~!あのThree Stars Inn!……あそこの女将さん、怖くなかったですか?」
イリーナ:「別に。普通の女将さんだったわよ?」
稲生:「うん。日本の女将さんが、西洋の宿屋を経営してるって感じ」
エレーナ:「私には“極道の妻たち”のキャストにしか見えねーぜ」
マリア:「何だそれ?」
稲生:「Japanese mafiaのbossのmadamが活躍する映画シリーズです」
マリア:「Oh...」
イリーナ:「勇太君もエレーナも、よくそんな任侠映画を知ってるわねぇ……」
イリーナは目を細めたまま呆れた。
今度は素直に魔王城に到着することができた。
だが、当たり前だが、城内は物々しい雰囲気に包まれていた。
ジル隊長:「アリス!無事だったか!」
アリス:「隊長!おかげさまで、いつでも戦列に復帰できます!」
ジル隊長:「そうか。今は人手が足りない。早急に本部に戻り、指示を待て」
アリス:「ははっ!」
魔王城の廊下で騎士団の一隊とすれ違った。
その隊はジル隊長率いる小隊であった。
アリス:「そういうわけだ。私は本部に戻る。今までありがとう」
エレーナ:「おい、報酬まだもらってないぜ?」
アリス:「私が家に連絡して、あなたに100万ゴッズを用意するよう、伝えておく」
エレーナ:「その言葉、信じてもいいんだな?」
アリス:「魔道士をナメた為に、痛い目に遭った傭兵の話を知っている。これは保証金だ」
アリスはワンスターホテルでのラフな格好をやめ、騎士の鎧を着込んでいる。
そして鎧の中から、金貨を1枚取り出した。
これだけで1万ゴッズの価値はある。
しかも、裏にはリンクス家の紋章が彫られていた。
アリス:「これを私の家に持って行けば、家の者は信じる」
エレーナ:「なるほど。これなら悪くないぜ。もらっておくぜ」
エレーナは金貨を帽子の中に入れた。
エレーナの帽子は四○元ポケ○トのようである。
ここでアリスと別れた稲生達は、ラウンジへ向かった。
エレーナ:「こんにちは、レクシー先輩」
レクシー:「エレーナか。馴れ馴れしいぞ。階級は私の方が上だ」
レクシーはエレーナに眉を潜めた。
イリーナ:「マルファに付いてなくていいの?」
レクシー:「イリーナ先生。いえ、マルファ先生からはこちらの魔王城に待機しているようにとのことです」
エレーナ:「ミドルマスターでも手に負えない事態ってことだな」
レクシー:「残念ながらこういう時、私は無力だ。……って、アンタもでしょ?」
エレーナ:「私は敵機に迎撃したぜ。おかげで、ここの被害は殆ど無かったはずだ」
レクシー:「その代わり、別の街が被害を受けた」
エレーナ:「まだ再開発地区だっただけマシだろうが」
レクシー:「そういう問題じゃない!」
イリーナ:「まあまあ。それよりエレーナは、リリィを迎えに来たのよ」
レクシー:「ああ、リリアンヌですか。それを先に言ってくたさいよ。今、呼んできます。それまで、お茶でもどうぞ」
レクシーは魔法使いの中でも、超能力に精通するエスパーである。
テレキネシスでポットとティーカップを浮遊させ、お茶を人数分入れた。
レクシー:「では、行ってきます」
レクシーは手持ちの魔法の杖を高く上げると、瞬間移動した。
ルゥ・ラの短距離版である。
この辺は魔道士よりもエスパーの方が得意である。
但し、MP消費量は多く、かなりの集中力を必要とするのだそうだ。
エレーナ:「エスパーも一人前になれりゃ、仕事は楽なんだろうけどなぁ……」
マリア:「ホウキを乗り回している時点で、かなり楽してるだろ」
エレーナ:「私の場合は実用的な理由だぜ?『魔女の宅急便』も、金稼ぎの為だぜ」
マリア:「ああ、分かってる」
イリーナ:「実はエレーナのタイプの方が、消費MPは最も低いのよね」
マリア:「確かにこいつがホウキ以外の魔法使ってる所なんて、あまり見たことないです」
エレーナ:「私は薬師のジャンルだからな。回復魔法よりはポーションを自分で作って使う方が安上がりだし、攻撃魔法よりも爆薬を自分で作って使った方がやっぱり安上がりってモンだぜ」
稲生:「一番現実的な魔法使いって感じだね」
エレーナ:「だから、すぐに人間社会に溶け込める。ホテルで働けているのも、その為だぜ」
稲生:「なるほど」
そんなことを話していると、レクシーがリリィを連れて戻って来た。
リリィ:「エレーナ先輩!」
エレーナ:「おーっ、リリィ!無事で良かったぜーっ!……コロナ対策の為にハグは無しな?」
リリィ:「フヒッ!?」
エレーナ:「魔界にそんなものは無いか。良し良し、さすが魔女だ。悪運の強さは抜群だな」
リリィ:「フフフ。ムッシュ鈴木の『祈り』が通じました~」
エレーナ:「その考えは捨てた方がいい」
稲生:「仏法の功徳、魔界にも届くんだねぇ」
リリィ:「学校はしばらく休校です」
エレーナ:「だろうな。魔界はまだ危ないから、しばらくうちのホテルに匿わせてやる。こっちへ来るんだぜ」
リリィは学校の制服を着ている。
デザインはセーラー服とブレザーを足して2で割ったような感じ。
夏なので、白を基調とした夏服であった。
リリィ:「はい、ありがとうございます」
学校と行っても魔法学校ではなく、普通の中学校。
リリアンヌみたいな魔女っ娘は、義務教育を終える前に人間を辞めてしまったので、難しい魔導書を読んで理解する為の知識が無い。
それを付ける為である。
義務教育を修了しないと、魔法を教わることはできない。
マリアはギリギリで高卒、稲生は文句なしの大卒なので、この課程は免除されている。
エレーナ:「それじゃ、サーセン。私はこれからリリィを送って行きますので」
イリーナ:「分かったわ。取りあえず、ここでお別れね」
エレーナ:「うちのホテルの部屋、良かったら確保しておきますぜ?」
イリーナ:「必要になったら連絡するわ。或いはもしかしたら、三星亭に泊まるかもね?」
エレーナ:「おお~!あのThree Stars Inn!……あそこの女将さん、怖くなかったですか?」
イリーナ:「別に。普通の女将さんだったわよ?」
稲生:「うん。日本の女将さんが、西洋の宿屋を経営してるって感じ」
エレーナ:「私には“極道の妻たち”のキャストにしか見えねーぜ」
マリア:「何だそれ?」
稲生:「Japanese mafiaのbossのmadamが活躍する映画シリーズです」
マリア:「Oh...」
イリーナ:「勇太君もエレーナも、よくそんな任侠映画を知ってるわねぇ……」
イリーナは目を細めたまま呆れた。
大雨煙る大石ヶ原であります。
2回に1回は雨の御登山になる雲羽、大石寺よりの中継でした。