報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「戦うアリスの物語」

2018-03-11 20:36:06 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月13日14:17.天候:地下なので不明 場所:不明 視点:アリス敷島]

 黒いロボットの群体から辛くもゴンドラで逃げ切ったアリス。
 このゴンドラが行き着いた先は、再び素掘りの洞窟。
 しかし、それだけでは無かった。
 素掘りの洞窟には不釣合いの武骨な金属製のエレベーターがあったのだ。

 アリス:「動くかしら?」

 アリスがボタンを押すと、重い金属を引きずる音を立ててドアが開いた。

 アリス:「これからもっと地下深い所へ行こうというのかしら?」

 どうやらそのようだった。
 ギギギギ……ガコン!という音を立ててドアを閉めたエレベーターは、ゆっくりと更に高度を下げた。
 恐らくは先ほどの地下水脈よりも深い所まで下がっただろうか。

 アリス:「……!」

 何が現れてもいいように、アリスは右手に電動ドリル、左手にRデコイを持った。
 そしてエレベーターが止まると、再び重い金属を引きずる音を立ててドアが開いた。

 アリス:「……何も無いようね」

 そこは附室のような空間だった。
 その先に、更に金属製の扉が続いている。
 だがこの附室には、日本国内にはあってはならないものがあった。

 アリス:「おおっ、ショットガン!」

 それはショットガンだった。
 しかも、猟銃用ではない。
 軍事用のものだった。

 アリス:「モスバーグね。これならアタシも扱ったことがあるなぁ……」

 それはアリスが銃社会アメリカの出身だから言ったセリフなのだろうか。
 因みにちゃんと弾もあった。

 アリス:「あの黒いロボット相手に、シンディ無しじゃ不利だもの。ちょっと借りて行くか」

 アリスはショットガンを手にした。
 そして、その先の鉄扉を開けた。

 黒いロボットA:「ザビ?」
 黒いロボットB:「ザビィ!」
 アリス:「やっぱりいた!」

 黒いロボットはアリスを見つけると、すぐに向かって来た。
 が、アリスもすぐにショットガンを構えて発砲する。

 黒いロボットA:「ギャッ!」
 黒いロボットB:「ザビィ!?」

 アリスは黒いロボットの頭部や胸にショットガンを撃ち込んだ。
 この黒いロボット、外見に似合わず、そんなに耐久力は無いらしい。
 素直に被弾した所はダメージを受けている。
 ……受けてはいるのだが……。

 黒いロボットA:「ザビィ!……ザビィ!」

 右手が吹っ飛び、両足から火花が飛び散るほどのダメージを受けても黒いロボットは機能停止することなく、アリスを執拗に追った。
 這いずりしてまで追おうとしたのである。

 アリス:「とっとと壊れなさい!」

 頭部を破壊すれば、さすがにもう追って来ない。

 アリス:「……ハッ、いけないけない!弾の無駄になるわ。……あとそれと、手こずったら自爆攻撃されるんだったね。気をつけないと……」

 そんなアリス、時にはRデコイを使い……。

 アリス:「アタシの発明、食らえ!」

 ピコーン!ピコーン!ピコーン!

 黒いロボットC:「ザビ?」
 黒いロボットD:「ザビィ!」 

 特殊な光を発し、特殊な信号を発することで、性能の低いAIを搭載したロボット達を誘き寄せ……。

 ピ!ピ!ピ!ピ!

 黒いロボットE:「ザビィ!」
 黒いロボットC:「ザビ!」

 まもなく爆発するというのに、何故か黒いロボットはRデコイでキャッチボールを始める始末。
 で……。

 黒いロボットC:「ザビィーッ!?」

 爆発に巻き込まれた黒いロボット達は、見るも無残な鉄塊と化した。

 アリス:「上手くは行ったけど……何か、バージョン達とは違う反応ね」

 バージョンシリーズで実験した際、彼らは敵だと認識して闇雲に攻撃しようとした。
 もちろん爆弾に攻撃しても、爆発するだけである。
 ところが今の黒いロボット達は、まるで面白そうなオモチャを見つけたかのような反応をした。
 もちろん攻撃しなくたって、そこは時限爆弾。
 ちゃんとタイムリミットと同時に爆発するのだが。

 アリス:「搭載しているAIの性能は、もしかしたらバージョン達よりはいいのかも……。というか、より人間臭くなってない?」

 北海道に現れた黒いロボットは、普通に殺戮ロボットであった。
 ところが今の黒いロボット達には、あまり殺意は感じられない。
 もちろんだからといって、油断してはならない。
 相手はロボットなのだ。
 殺意をゼロにしたまま、普通に攻撃してくることはよくある。

 アリス:「まあいいわ」

 アリスが奥に進むにつれて、風景が素掘りの洞窟から、より人工的な建造物らしくなってきた。
 それこそ、近代的でメタリックな研究室の廊下のような感じである。

 アリス:「ここがドクター吉塚の、本当のラボなのかしら?」

 しかも、ちゃんと照明も点いていて、手持ちのライトも必要無い。
 それでも、所々に古い血の痕がべったりと壁に付いたりしていた。
 人間の死体は無いようだったが。

 アリス:「うっ……!」

 いや、あった。
 どこぞの特殊部隊の武装をした兵士らしき者が、壁を背に座り込んだ状態で死んでいた。
 但し、顔を見ると既に白骨化している。

 アリス:「ゾンビみたいな状態ならあれだけど、ここまでガイコツになっててくれれば、まあ何とか……」

 もちろん、油断してはいけない。
 昨今のホラー映画は腐乱死体が突然動き出したりするものだが、それより古くは白骨死体も突然動き出したりしたものだ。

 アリス:「……KR団か」

 特殊部隊員の服装をよく見ると、KR団のロゴマークが見えた。
 服に所々穴が開いていて、近くには錆びついた薬莢が落ちている。
 どうやら銃撃されて死んだようである。

 アリス:「黒いロボットって、銃持ってたっけ?」

 アリスは他に銃を持った敵がいることを予感した。
 それが人間なのか、ロボットなのかは分からない。
 前者であれば、恐らく大丈夫だろう。
 このKR団員の白骨化と薬莢の錆びつきぶりからして、既にこれは何年も前からこうなっていたようだ。
 この団員達を射殺した人間が何者なのかは分からぬが、何年もここに潜んでいるとは思えない。
 ロボットであるなら、それは分かるような気がした。
 だが、黒いロボットが銃火器で武装していた所など見たことが無い。
 彼らは殆ど素手で攻撃してきた。
 他に銃火器を武装できるロボットと言えばバージョンシリーズであるが、アリスはそんなバージョンシリーズの生みの親であるドクター・ウィリーの孫娘なのだ。
 その立場を利用して、彼らを制止させる自信はあった。

 アリス:「何が潜んでいるか分からないけど、先へ行くのみ!」

 アリスが廊下の向こうへ駆け出した時だった。

 アリス:「きゃっ!!」

 突然背後から銃声が聞こえ、それがアリスの頭の上を通過して行った。
 アリスの身長は171cmほど。
 もしも、もう少し高かったら、頭に直撃して死んでいたかもしれない。

 アリス:「……!!」

 アリスは冷や汗をかいて、後ろを振り向いた。
 何か、このまま全力で走り出したら、本当に蜂の巣にされそうな気がしたからだ。
 振り向いたアリスに銃口を向けていたのは誰だったと思う?

 1:人間だった。
 2:ロボットだった。

 この2択。
 つまり、あいにくと敷島やシンディではなかった。

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