報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「事務処理」

2020-12-13 11:37:07 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月29日12:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所→マクドナルド菊川駅前店]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 高野君が“青いアンブレラ”の構成員だったことが善場主任達に発覚し、彼女は拘束されている。
 “青いアンブレラ”は、かつての悪名高い製薬企業アンブレラの旧関係者達によって結成された民間軍事会社なのだが、表看板と実際の活動内容はけしてテロ組織ではない。
 だが民間軍事企業が日本国内で堂々と活動できるわけがなく、表向きは国連組織BSAAから警備会社や探偵事務所の如く依頼を受けて、その後方支援に当たるのみという名目で活動できていたに過ぎない。
 BSAAには強大な権限が与えられており、一たびバイオハザードが発生すれば、例えそこの地元政府の了解を受けなくても迅速に介入して活動できることになっている。
 武漢ウィルス発生時においては、中国政府が受け入れを拒否したことで問題となった(が、日本では全く報道されなかった)。
 で、“青いアンブレラ”だ。
 かつての旧アンブレラ関係者達が、現役時代に犯した罪を贖罪する為、BSAAに協力してバイオテロ鎮圧に当たると宣言している。
 そうなると高野君もその関係者だったということになり、そこが善場主任達に目を付けられて拘束されたんだな。

 愛原:「明日は高野君の面会に行ってくる。お前も来るんだ」
 高橋:「分かりました。ついに俺が面会する側ですね」
 愛原:「ああ。お前も東京拘置所に入ったことがあるんだったな」
 高橋:「弁護士さんくらいしか面会に来てくれませんでしたけどね」
 愛原:「不良仲間とかは?そういう奴らは面会禁止だっけか?」
 高橋:「いや、何か俺が逮捕される時って、大抵仲間全員も一斉逮捕なんで」
 愛原:「何だよ、その組織犯罪的なヤツ」
 高橋:「何なんスかね」
 愛原:「でもオマエ、1人で逮捕された時もあったって言ってたじゃん?あれは?」
 高橋:「あれはムショに行く前に釈放されたパティーンです。要は不起訴とかですね。ケンカをして、その場でタイーホでも、必ずムショに行くとは限りませんよ?」
 愛原:「そっちか」

 暴走族でもやってた時に一斉逮捕されたのか、こいつ?

 愛原:「それにしても、年末近い時に高野君が取られたのはイタいな。色々と役所に提出するヤツとか結構あるからな」
 高橋:「一口に経費っつっても、色々あるんスね」
 愛原:「そうなんだよ。それを高野君が色々うまく捌いてくれてたんだけどなぁ……」
 高橋:「てか、先生。そろそろ昼飯の時間ス」
 愛原:「そうか。じゃあ、外に食いに行くか」
 高橋:「ういっス」

 私達は一旦事務所を閉め、外に出た。

 愛原:「昼間でもだいぶ寒くなってきたな」
 高橋:「でも陽に当たれば、まだ暖かいレベルっスよ」
 愛原:「若いねぇ!」
 高橋:「いえいえ、先生。まだアラフォーでしょ?」
 愛原:「もうアラフォーだよ」
 高橋:「あれ、先生?リサ達がいますよ」
 愛原:「ん?どこだ?」
 高橋:「交差点の先っス」
 愛原:「オマエも目がいいな。俺には見えんぞ」
 高橋:「マックにでも行くんスかね?俺達も行きましょうか?」
 愛原:「そうだな」

 私達は菊川駅前交差点のマクドナルドに向かった。
 昼時ということもあって、レジには列ができている。

 リサ:「あ、先生」
 愛原:「おーう、やっぱりリサ達だったか」
 リサ:「コジマ、この人は愛原学先生。私の保護者で、仕事は探偵さん」
 愛原:「どうも。愛原学です」
 小島:「こ、こんにちは。小島奈々と申します」
 愛原:「で、こいつは高橋正義。俺の助手」
 高橋:「高橋だ」
 小島:「よ、よろしく……お願いします……」

 小島さんは高橋を見て、ポーッと赤くなった。

 斉藤:「小島さん、この人、イケメンだけどゲイだから」
 高橋:「うるせっ!レズに言われたくねぇ!」
 愛原:「厳密に言えば、バイセクシャルか……」

 2階に行ってテーブル席に座る。

 小島:「何か、GTOに出て来る先生みたいですね?」
 高橋:「あ?そうか?」
 愛原:「鬼塚か……。ま、似てなくも無い」
 斉藤:「高橋さん、パールが『今日はいつ会えるのか?』って凄いうるさいんですけど?」
 高橋:「だったらオメーも事務処理手伝えって言ってくれや」
 斉藤:「はーい」
 高橋:「ば、バカ!マジレスすんな!」
 リサ:「事務所、そんなに忙しい?」
 愛原:「意外と事務仕事たまってたな。如何に高野君が優秀だったか分かるってもんだ」
 リサ:「私じゃ手伝えない?」
 愛原:「いやー、会計とかムリだろー。ちょっと事務処理して、ちょっと事務所の掃除だけして終わりと思っていたんだが、とんだ計算違いだった」
 リサ:「掃除だけなら、私も手伝うよ?」

 リサはチラッと友人2人を見た。

 斉藤:「わ、私も手伝います!」
 小島:「私もです!」

 リサには逆らえないのが見て分かった。
 時代が時代なら、リサは裏スケ番として学校に君臨していたのだろう。

 愛原:「皆、ありがとう」

 これで、事務作業にだけ集中すればいいわけだ。
 実は善場主任も、手伝うとは言ってくれているのだが、後で請求されるモノが高そうだからなぁ……。

[同日15:00.天候:晴 同地区内 愛原学探偵事務所]

 愛原:「やっと終わった!」
 高橋:「こっちもっス!」

 私達は大きく伸びをした。

 愛原:「よし、高橋。あとは霧崎さんとデートしてこい」
 高橋:「えっ?だってもうこの時間スよ?」
 愛原:「映画観て、夕食一緒に食べるくらいのことはできんだろ?こっちのことは気にするな。何だったら、ホテル泊まって来ていいぞ」
 高橋:「明日、仕事じゃないスか!そこまでは……。だいたい、あのJC達は何してるんスかね?掃除しに来るっつって、全然来ないじゃないスか」

 その時、エレベーターが到着する音がした。
 事務所の入口のドアは、新型コロナ対策の為に開放している。
 その為、エレベーターが到着するアナウンスやチャイムの音で誰か来たかが分かるのだ。
 小さなビルなので、1フロアにつき1テナントしか入っていない。

 霧崎:「お待たせー!早速デートに行こう!」
 リサ:「先生、お待たせ。掃除に来た」
 斉藤:「お掃除入ります」
 小島:「お掃除入ります」
 高橋:「わぁっ、出た!」

 霧崎さんは、どうしてこのタイミングだと分かったのだろう?
 さすがはストーカー。

 霧崎:「じゃあ愛原先生、ボクとマサはデートに行ってきます!」
 愛原:「あ、ああ。行ってらっしゃい」

 高橋は半ば拉致されるかのように、霧崎さんに連れて行かれた。
 さすがに、いつものメイド服ではなかった。
 それはいいのだが、私服に必ず迷彩柄が入るそのギャップさはある意味萌えポイントか?

 リサ:「サイトーは向こう。コジマはあっちから初めて」
 斉藤:「はい!」
 小島:「はい」

 掃除をするということで、3人とも学校のジャージ姿だった。
 リサだけが夏用のTシャツに短パンだったが。

 愛原:「何か2人とも、リサの言う事聞いてるね?」
 リサ:「さっきまで老廃物を根こそぎ吸っちゃったから、2人とも気持ち良くなっちゃって」
 愛原:「え?マッサージしてあけたの?」
 リサ:「ううん」

 リサは両手から少しだけ触手を出した。

 リサ:「膀胱と大腸の老廃物を根こそぎ吸い出して、ついでにウィルスも追加しておいた」
 愛原:「こらぁ!」

 リサのウィルスはリサの意思次第で休眠させることもできるし、活性化させることもできる。
 リサの場合、普段は休眠させておいて、もしも感染者がリサに危害を加えて来ようとした際に活性化させるという手を使っているようだ。
 これは後にアメリカのルイジアナ州で発生したバイオテロの首謀者、エブリンと似た手口なのだが、それを既に日本のリサ・トレヴァーは行っていたのである。
 

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