報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「日本アンブレラ沼津保養センター跡」

2024-03-11 16:13:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月8日16時30分 天候:晴 静岡県沼津市某所 日本アンブレラ沼津保養センター跡]

 愛原「……はい。そういうわけで、取りあえず中を探索します」

 私は一応、中に入る前に主任に連絡した。
 本来、民間の探偵業者なら、仕事はここまでで、後は警察やBSAAに任せるのが常である。
 しかし私達の場合、それまでの実績が買われて、中までの調査が許された。

 愛原「死体でも見つかったら、すぐに引き上げるぞ」
 高橋「分かりました」

 正直、私は車の男達が生きているとは思えなかった。
 恐らくは、栗原蓮華に食い殺され、死体がこの中に転がっているくらいは予想していた。
 それを見つけて通報するまでが、私達の仕事だと思っていた。
 ところが……。

 高橋「先生……何か呻き声が聞こえません?」
 愛原「聞こえるな……。多分、上の方……」

 私は吹き抜けエントランスの上を見上げた。
 2階まで吹き抜けになっていて、そこからゾンビのような呻き声が聞こえた。

 高橋「行ってみますか?」
 愛原「行ってみよう」

 私達は吹き抜け階段から2階へと上った。
 薄暗い廊下の奥には、客室の扉が続いている。

 高橋「ここから、声が聞こえますね」
 愛原「よし、開けてみよう」

 私は客室のドアを開けた。

 モールデッド「ギャアアアアア!」
 愛原「モールデッドじゃん!?」

 それは特異菌に感染したものの、適合できずに化け物と化した人間の成れの果てである。
 体全体を黒カビの塊に覆われた化け物であり、動きはTウィルスのゾンビよりやや早い。
 また、耐久力もそれより強い。
 更に壁の隙間や天井のダクトも自由に行き来できる。
 高橋が先手必勝で、手持ちのライトニングホークでモールデッドの頭を撃ち抜いた。
 人間ならそれだけで即死ものだが、モールデッドはそうはいかない。
 私も持って来たショットガンで、援護する。
 そして、ようやくモールデッドは体をバラバラにして絶命した。
 で、何かアイテムを落とす。
 ドロップアイテムというヤツだ。
 拾ってみると、それは車のキーだった。
 トヨタのマークが入っている。

 高橋「これ、外に止まってたクラウンのじゃないっスか?」
 愛原「なにっ?すると、こいつはあの車の持ち主か?」

 部屋の中を調べたが、他には誰もいないようだ。
 廃墟になってからそんなにまだ年数が経っていないこともあり、館内はそこまで荒れ果てている感じは無かった。 
 私達は一旦外に出て、手に入った車の鍵がそのクラウンなのか確認することにした。

 愛原「開いた!」

 すると、車のドアロックが外れた。
 この車の鍵で間違い無いようだ。
 車の中を見てみるが、中には誰もいない。
 どうやら、全員降りたようだ。
 この車の持ち主1人だけが中に入ったとは思えないので、他にも中にいるのだろう。

 高橋「何をしてるんです?」
 愛原「車検証を調べるんだよ。オーナーの住所や名前が書かれてるだろう?」
 高橋「それもそうっスね!」

 私は車検証を調べた。
 案の定、この車のオーナーは同じ沼津市内に自宅があることが分かった。
 一応、この車検証も写真に撮る。

 愛原「よし。ここまででいいだろう。あとはデイライトやBSAAに任せるとしよう」

 モールデッドが出た以上、他の同乗者達もホテルの中で同様の姿となっているだろう。
 確かに分類上はBOW(生物兵器)ではないクリーチャー(感染者)であり、そこまで取るに足る相手ではないのだが、積極的な交戦は避けるように言われている為、このくらいが潮時だと思った。
 3月に入って日が長くなっては来たが、夜を迎えた時に危険に巻き込まれる恐れがある。
 なので、さっさと帰った方が良い。
 ところが、だ。

 愛原「えっ?」

 ガッシャーンとガラスが割れる音がしたかと思うと、2階の窓から化け物が飛び出して来た。

 高橋「な、何だありゃ!?」
 愛原「す、スキャグデッドかな?」

 人間の体を2つ繋ぎ合わせたような姿をしているが、それ以外は最初に戦ったモールデッドと同じだ。
 2つの頭のうち、1つは 、『美味そう!』『今夜の飯ィィィィィッ!!』と喋っているが、もう1つの頭は、『俺は人間だぁ……!』『助けてくれぇぇぇ……!』と、うわ言のように呟いている。
 しかし人間の体を2つ繋ぎ合わせたような姿から、その体型は大きく、また、手足も太いのが2本、細いのが2本と、バランスの悪い姿をしている。

 高橋「ヤんのか、コラァッ!!」
 化け物「肉ゥゥゥゥゥ!食わせロォォォォッ!!」「メーデー、メーデー……」
 愛原「やるしかないか!」

 私は銃弾をリロードすると、化け物達に向かって撃った。

 愛原「お前達は、あの車に乗ってた連中か!?」

 私は化け物に向かって呼びかけたが、全く会話にならない。
 巨体に似合わず、突進してきたり、飛び掛かってきたりと、なかなか素早い動きをする。
 人数的に、私はあの化け物は、あの車に乗っていた残り2人が融合したものなのではないかと思った。

 高橋「先生!このままでは、弾が持ちません!」
 愛原「仕方が無い!一旦、退散するぞ!閃光手榴弾で、怯ませるんだ!」
 高橋「分かりました!」

 と、その時だった。
 上空にヘリコプターの音がしたと思って見上げてみたら、BSAAのヘリコプターであった。
 もう来たのか!?

〔「こちらはBSAA日本地区本部です!あとはこちらが引き受けます!一般人の方は、直ちに待避を!」〕

 高橋「おおっ!助かった!先生、あとはあいつらに任せて逃げましょう!」
 愛原「ま、待て。何か、ヘリの出てくるタイミングが何かおかしい」
 高橋「えっ?」
 愛原「こういう時、カプコン製のヘリは墜ちるって聞いたけども……」

 すると化け物、正面エントランス前のロータリーに植えられていた植木を引っこ抜いた。
 そしてそれをヘリに向かってぶん投げる。
 それだけじゃない。
 庭石まで持ち上げて、ぶん投げた。

〔「わぁぁぁぁっ!」〕

 植木は避けたものの、今度は庭石が直撃した。
 で、ヘリはコントロールを失って……。

 愛原「こっちに落ちて来たぁぁぁぁっ!」
 高橋「やばいっス!!」

 私達は屋内退避をせざるを得なかったのである。

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