報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「日帰り温泉旅行」

2024-01-11 22:50:14 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月23日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・愛原の部屋→3階ダイニング]

 枕元のスマホがアラームを鳴らす。
 私は手を伸ばして、アラームを止めた。

 愛原「ううーん……」

 今日は天皇誕生日で祝日であり、事務所も休みなのだが、明日は普通の平日という中途半端な祝日である。
 よって今日は、日帰り温泉を堪能することにした次第。
 私はベッドから這い出ると、寒い廊下を洗面所に向かった。
 4階にもトイレと洗面所が後付けで設置されている。
 その隣は中途半端な3畳くらいの納戸になっているが、殆ど使用していない。
 掃除用具入れ程度の用途しか無く、それなら3階にもあるからである。
 また、物置としての用途も、1階のガレージに倉庫があるので、そこを物置として活用している。
 元々はトイレや洗面所も無く、6畳間であったという。
 それを最初の家主が、住居部分のトイレと洗面所が3階にしか無いのは不便と思ったか、後で6畳間を潰し、半分の3畳部分をトイレと洗面所に改築した。
 噂では残りの3畳部分も潰してシャワールームに改築するつもりだったが、これ以上水回りを増築しようとすると、かなり大規模な工事になるらしく、それだけ予算も掛かるということで断念したそうである。
 ただ、それは改築を一気にやろうとした場合の値段。
 改めてシャワールームだけ造ろうとする場合は、そんなでもないらしい。
 恐らく、施工会社によって見積額が異なるのだろう。
 私も普段は3階の風呂を使用している為、特に不便は感じないのだが、来客などがあったりした場合、来客に遠慮せずに体が洗えるシャワールームはあった方が便利かなと思った。
 もしも今は証拠品として押収されている金塊や札束が私達の事務所に返ってきたなら、それを改築費用に充てられないかなと思っている。
 洗顔と歯磨きが終わり、私服に着替えて3階に下りる。

 パール「おはようございます」
 愛原「おー、おはよう」

 ダイニングに行くと、トーストを焼く匂いがした。
 基本的に平日は米食で、土休日はパン食にしている。
 なので、今日はトーストだ。
 こちらの方が調理が簡単なので、従業員達の負担も少ないというメリットがある。

 パール「厚切りトーストが焼けました」
 愛原「ありがとう」
 高橋「先生、今、ベーコンエッグ焼いてますんで」
 愛原「そうなの?後片付けとか、大変じゃない?」
 高橋「いや、大丈夫っスよ。ソッコーで片付けますんで」
 愛原「そうかい?」
 リサ「先生、おはよう!」

 リサが奥の洗面所から走って来た。
 さすがに今は私服に着替えている。
 白いTシャツに黒いスカートを穿いている。
 Tシャツには赤文字でBiohazardと書いており、☣のマークも入っていた。
 趣味が悪いが、学校でシルクスクリーン同好会なる物があり、そこでプリントしてもらったものだという。
 リサらしいと言えば、リサらしいが……。
 他にも、オリジナルのリサ・トレヴァーのイラストが入ったものまである。

 愛原「おはよう。今日は趣味に付き合わせて悪いな」
 リサ「いいよ!先生が連れて行ってくれる所ならどこでも!」
 高橋「っつーことで、研究所に行きたいそうです」
 リサ「だしゃぁーっ!」

 リサは一気に鬼形態になると、長い爪を振り上げた。

 愛原「こらこら、2人とも。リサが研究所に行くのは、3月の春休み、藤野に行くだけだ。さすがに背中から触手が出て来るのはカンベンだろう?」
 リサ「オリジナルの先輩と同じではあるんだけどね」

 その為、リサの背中には大きな赤紫色の痣がある。
 第2形態以降は、そこから触手が生えてくるからだ。
 第3形態になると、そこが瘤のように膨らんで、更に触手も長く、数も増える。
 が、そこが弱点であり、そこを集中攻撃すると、さすがのリサもダウンする。
 とはいえ、それでも倒せない。
 リサ曰く、向う脛を攻撃されるようなもので、痛みと痺れでしばらく動けなくなる感覚と似たようなものであるという。
 銃弾を何発も撃ち込んでも、向う脛を攻撃される程度の痛みでしかないという、正に化け物である。
 藤野では、その触手が出て来る『穴』をまずは塞ぐことに第1の目的がある。
 同時に弱点も無くなるわけだが、どのみち倒せないのでは、むしろ弱体化させる方が現実的だろうとの考えである。
 当初の目的、人間に戻す為の手術から大きく離れてしまった形だ。
 今はリサもだいぶ自分で制御できるようになっており、第2形態以降まで変化することは、ここ最近では無い。

[同日08時42分 天候:晴 同地区 菊川駅前バス停→都営バス業10系統車内]

 朝食が終わった私達は、住居兼事務所を出て、最寄りのバス停に向かった。

 高橋「バスだけで上野に向かうとは……」
 愛原「マニアックだろー?作者が帰省中で、手元に列車番号の分かる時刻表が無いからなんだ」
 高橋「ほおほお、そうでしたか」

 雲羽「くっ……!」

 リサ「あ、バス来たよ」
 愛原「よーし。俺についてこい」

 バスは私達の前で止まると、前扉を開けた。
 休日は賑わう東京スカイツリーまで行くバスとはいえ、まだ早い時間のせいか、バスは空いている。
 バスに乗り込むと、私達は空いている座席に腰かけた。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 バスは休日で空いている三ツ目通りを北上した。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは、とうきょうスカイツリー駅前行きでございます。次は立川、立川でございます。日蓮正宗妙縁寺へは本所吾妻橋で、日蓮正宗常泉寺と本行寺へおいでの方は、終点とうきょうスカイツリー駅前でお降りになられると便利です。次は、立川でございます〕

 愛原「レイチェルは起きたのかな?」

 私は隣の席に座るリサに話し掛けた。
 リサはTシャツの上から、グレーのパーカーを羽織っていた。
 フードが付いているが、今はフードは被っていない。
 一方、別の近くの席に座る高橋は派手なジャンパーを羽織っているし、パールはくすんだ緑色のジャンパーを羽織って、黒いキャップを目深に被っていた。

 リサ「LINEしてみたら、起きてるみたいだよ。『これから地下鉄で向かいます』だって」
 愛原「そうか。時間にルーズってわけじゃないみたいだな」
 リサ「そこは軍人さんだもんね」
 愛原「軍人さんというか、軍人の卵だな」

 私はあえて言い直した。

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