[11月22日18:43.天候:曇 東京都江東区豊洲 豊洲駅前バスターミナル]
退社してそのまま出発する敷島とシンディ。
あえてタクシーではなく、都営バスの乗り場へ向かう。
あくまでもこれからは会社の業務として行くのではなく、プライベートとして行くという形だからだ。
東京決戦の際、バージョン3.0の包囲網に突撃する為に使用した都営バスだが、当時はまだツーステップバスが残っていた時代だった。
今となっては、都営バスは全てノンステップバスになっている。
まさか敷島がバスで特攻してくるとは思わなかった上、ボーロカイド達の放つ電気信号の歌で大混乱に陥ったバージョン軍団は右往左往した。
敷島:「何だか急に冷えて来たなぁ……」
シンディ:「23日の夜から雪になるそうです」
敷島:「マジか。まあ、東北新幹線なら止まることは無いだろうが……」
〔「18時48分発、月島駅前回りの東京駅八重洲口行きです」〕
プシューとエアの音がして、前扉のグライドスライドドアが開く。
豊洲駅前始発のバスということもあって、既に乗車している客はいない。
乗り込むと、中間の1人席に敷島が座る。
その脇に旅行カバンが置けるし、シンディがそこに立った。
都営バスではWi-Fiが使えるので、敷島は手持ちのタブレットをそれに接続してネットを使用する。
平日の夕方ということもあり、乗車してくるのは通勤客が多かった。
発車の1分前くらいになると、バスにエンジンが掛かり、ようやく車内に暖房が入るようになる。
〔「月島駅前、リバーシティ21、住友ツインビル前経由、東京駅八重洲口行き、発車します」〕
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは時間通りに豊洲駅前のバスターミナルを発車した。
〔毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。この都営バスは月島駅前、リバーシティ21経由、東京駅八重洲口行きです。次は豊洲二丁目、豊洲二丁目。ららぽーと豊洲へおいでの方は、こちらでお降りください。……〕
尚、東京決戦の際にオシャカにしたバスは、後になってから1台新車で弁償している。
それが今、どこの営業所で運転されているかは不明だ。
少なくとも、この三菱ふそうのエアロスターでは無いようだが……。
都営バスではオートマ車であり、本来シフトレバーがある位置にはボタン式のシフトスイッチがある。
敷島:(なに?お正月特番の撮影、明日やる?さすがだ、井辺君)
敷島はLINEで井辺とやり取りをしている。
因みにテレビ局では、既に来年放送の番組を制作中である。
売れっ子の初音ミクやMEIKOも、既に番組出演が決まっていた。
あいにくと、今年もNHKからは紅白歌合戦に呼ばれなかったが。
敷島:「シンディ、うちの事務所、ちゃんと受信料払ってるよな?」
シンディ:「そのはずですけど?」
敷島:「何でうちのボカロは紅白呼ばれないかなぁ……」
シンディ:「何ででしょうねぇ……」
敷島:「何年か前、ミクはNHK特番に出たことはあるのになぁ……」
敷島は首を傾げた。
未だに芸能界には、人間のアイドルに代わってボーカロイドが活躍することに否定的な風潮は強い。
もし敷島エージェンシーが大手プロダクションたる四季エンタープライズの傘下でなければ、他の大手プロダクションからの圧力で潰されていた恐れがある。
敷島:「その代わり、民放の年末年始特番には出てるからいいけどさ」
[同日19:08.天候:曇 JR東京駅]
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、東京駅八重洲口です。お忘れ物、落し物にご注意ください」〕
バスは東京駅八重洲南口のバスターミナルに入る。
JRバスなどが発着しているターミナルの南寄りである。
降りると目の前には、JRバスの案内所や待合室がある。
敷島:「何か、さっきより寒くなってるなぁ……」
シンディ:「天気予報は当たるかもしれませんね」
敷島:「所長の葬式の時は……雪降ってなかったもんな」
シンディ:「ええ」
敷島達は足早に東京駅構内へと入る。
既に新幹線のキップは用意してあるので、そのまま改札口に入れば良い。
南里の葬式であるが、ボーカロイド達は参列しなかった。
仕事が忙しかったからではなく、まだボカロの存在が今ほど世間一般に受け入れられている状態ではなかったからである。
また、ボカロ自身が人間の死について理解を深めていなかったというのもある。
ミクは少なくとも悲しいことが起きたという認識と理解はしていたが、研究所近くの公園で歌っていたほどである。
そこへ前期型シンディがやってきたが、まだミクはシンディと会ったことが無かったし、シンディもまたボカロの破壊命令を受けていたわけではなかったので、普通に告別式の会場をミクに聞いて、ミクが素直にそれに答えるというやり取りで済んでいる。
〔JR東京駅をご利用くださいまして、ありがとうございます。19時30分発、特急“さざなみ”5号、君津行きをご利用のお客様は、京葉線地下ホーム1番線へお越しください〕
改札口からコンコースに入る。
シンディ:「社長、お弁当は何にしますか?」
敷島:「夕食が駅弁か。まあ、いいか。温かいお茶も併せて2000円以内の予算で買ってきてくれ」
シンディ:「了解しました」
シンディが駅弁売り場に向かっている間、敷島は新幹線のキップを確認した。
一応グリーン車にはなっている。
敷島:(“こまち”も連結されているような列車だったら、そっちが良かったかなぁ……)
シンディが駅弁売り場で予算ギリギリの弁当を選んでいる。
シンディ:(“宮川 うなぎ弁当”か。1800円で、お茶のペットボトルを入れれば予算ギリギリになるね)
シンディが弁当を手に取ると、隣の弁当を取る者がいた。
???:「失礼します」
シンディ:「! ああ」
シンディはそれがメイドロイドであることが分かった。
シンディ:「任務中?」
メイドロイド:「はい」
シンディ:「ご苦労さん」
メイドロイド:「ありがとうございます」
それだけを交わして、シンディは弁当とペットボトルを購入した。
シンディ:(あいつら自動スキャンに掛からないから、突然現れるとびっくりするわー)
メイドロイド達は武力を持たないからである。
シンディ:「社長、予算以内です」
敷島:「ああ、ありがとう。本当に予算ギリだなー。よし、あとはホームへ向かうか」
シンディ:「はい」
シンディは新幹線改札口に向かう敷島の後ろをついて行きながら、あのメイドロイドの向かった先を見た。
京葉線ホームの方に向かう年配の夫婦がおり、そちらに仕えているようだ。
構内自動放送で案内されている特急にでも乗るのだろう。
そう言えば、弁当を2つ買っていたような気がする。
復元されて再び破壊されたマルチタイプ7号機のレイチェルも、テロ活動に従事させられるよりも、介助ロボットでいいからそちらの用途で稼働させてくれることを望んでいた。
それは叶わず、DCJ旧・さいたま研究所(現・ロボット未来科学館)を半壊させた上、8号機のアルエットにとどめを刺されている。
ホームへのエスカレーターを上ると、寒風が敷島達を襲って来た。
もっともそれは、発着する新幹線が巻き起こしたものかもしれない。
退社してそのまま出発する敷島とシンディ。
あえてタクシーではなく、都営バスの乗り場へ向かう。
あくまでもこれからは会社の業務として行くのではなく、プライベートとして行くという形だからだ。
東京決戦の際、バージョン3.0の包囲網に突撃する為に使用した都営バスだが、当時はまだツーステップバスが残っていた時代だった。
今となっては、都営バスは全てノンステップバスになっている。
まさか敷島がバスで特攻してくるとは思わなかった上、ボーロカイド達の放つ電気信号の歌で大混乱に陥ったバージョン軍団は右往左往した。
敷島:「何だか急に冷えて来たなぁ……」
シンディ:「23日の夜から雪になるそうです」
敷島:「マジか。まあ、東北新幹線なら止まることは無いだろうが……」
〔「18時48分発、月島駅前回りの東京駅八重洲口行きです」〕
プシューとエアの音がして、前扉のグライドスライドドアが開く。
豊洲駅前始発のバスということもあって、既に乗車している客はいない。
乗り込むと、中間の1人席に敷島が座る。
その脇に旅行カバンが置けるし、シンディがそこに立った。
都営バスではWi-Fiが使えるので、敷島は手持ちのタブレットをそれに接続してネットを使用する。
平日の夕方ということもあり、乗車してくるのは通勤客が多かった。
発車の1分前くらいになると、バスにエンジンが掛かり、ようやく車内に暖房が入るようになる。
〔「月島駅前、リバーシティ21、住友ツインビル前経由、東京駅八重洲口行き、発車します」〕
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは時間通りに豊洲駅前のバスターミナルを発車した。
〔毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。この都営バスは月島駅前、リバーシティ21経由、東京駅八重洲口行きです。次は豊洲二丁目、豊洲二丁目。ららぽーと豊洲へおいでの方は、こちらでお降りください。……〕
尚、東京決戦の際にオシャカにしたバスは、後になってから1台新車で弁償している。
それが今、どこの営業所で運転されているかは不明だ。
少なくとも、この三菱ふそうのエアロスターでは無いようだが……。
都営バスではオートマ車であり、本来シフトレバーがある位置にはボタン式のシフトスイッチがある。
敷島:(なに?お正月特番の撮影、明日やる?さすがだ、井辺君)
敷島はLINEで井辺とやり取りをしている。
因みにテレビ局では、既に来年放送の番組を制作中である。
売れっ子の初音ミクやMEIKOも、既に番組出演が決まっていた。
あいにくと、今年もNHKからは紅白歌合戦に呼ばれなかったが。
敷島:「シンディ、うちの事務所、ちゃんと受信料払ってるよな?」
シンディ:「そのはずですけど?」
敷島:「何でうちのボカロは紅白呼ばれないかなぁ……」
シンディ:「何ででしょうねぇ……」
敷島:「何年か前、ミクはNHK特番に出たことはあるのになぁ……」
敷島は首を傾げた。
未だに芸能界には、人間のアイドルに代わってボーカロイドが活躍することに否定的な風潮は強い。
もし敷島エージェンシーが大手プロダクションたる四季エンタープライズの傘下でなければ、他の大手プロダクションからの圧力で潰されていた恐れがある。
敷島:「その代わり、民放の年末年始特番には出てるからいいけどさ」
[同日19:08.天候:曇 JR東京駅]
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、東京駅八重洲口です。お忘れ物、落し物にご注意ください」〕
バスは東京駅八重洲南口のバスターミナルに入る。
JRバスなどが発着しているターミナルの南寄りである。
降りると目の前には、JRバスの案内所や待合室がある。
敷島:「何か、さっきより寒くなってるなぁ……」
シンディ:「天気予報は当たるかもしれませんね」
敷島:「所長の葬式の時は……雪降ってなかったもんな」
シンディ:「ええ」
敷島達は足早に東京駅構内へと入る。
既に新幹線のキップは用意してあるので、そのまま改札口に入れば良い。
南里の葬式であるが、ボーカロイド達は参列しなかった。
仕事が忙しかったからではなく、まだボカロの存在が今ほど世間一般に受け入れられている状態ではなかったからである。
また、ボカロ自身が人間の死について理解を深めていなかったというのもある。
ミクは少なくとも悲しいことが起きたという認識と理解はしていたが、研究所近くの公園で歌っていたほどである。
そこへ前期型シンディがやってきたが、まだミクはシンディと会ったことが無かったし、シンディもまたボカロの破壊命令を受けていたわけではなかったので、普通に告別式の会場をミクに聞いて、ミクが素直にそれに答えるというやり取りで済んでいる。
〔JR東京駅をご利用くださいまして、ありがとうございます。19時30分発、特急“さざなみ”5号、君津行きをご利用のお客様は、京葉線地下ホーム1番線へお越しください〕
改札口からコンコースに入る。
シンディ:「社長、お弁当は何にしますか?」
敷島:「夕食が駅弁か。まあ、いいか。温かいお茶も併せて2000円以内の予算で買ってきてくれ」
シンディ:「了解しました」
シンディが駅弁売り場に向かっている間、敷島は新幹線のキップを確認した。
一応グリーン車にはなっている。
敷島:(“こまち”も連結されているような列車だったら、そっちが良かったかなぁ……)
シンディが駅弁売り場で予算ギリギリの弁当を選んでいる。
シンディ:(“宮川 うなぎ弁当”か。1800円で、お茶のペットボトルを入れれば予算ギリギリになるね)
シンディが弁当を手に取ると、隣の弁当を取る者がいた。
???:「失礼します」
シンディ:「! ああ」
シンディはそれがメイドロイドであることが分かった。
シンディ:「任務中?」
メイドロイド:「はい」
シンディ:「ご苦労さん」
メイドロイド:「ありがとうございます」
それだけを交わして、シンディは弁当とペットボトルを購入した。
シンディ:(あいつら自動スキャンに掛からないから、突然現れるとびっくりするわー)
メイドロイド達は武力を持たないからである。
シンディ:「社長、予算以内です」
敷島:「ああ、ありがとう。本当に予算ギリだなー。よし、あとはホームへ向かうか」
シンディ:「はい」
シンディは新幹線改札口に向かう敷島の後ろをついて行きながら、あのメイドロイドの向かった先を見た。
京葉線ホームの方に向かう年配の夫婦がおり、そちらに仕えているようだ。
構内自動放送で案内されている特急にでも乗るのだろう。
そう言えば、弁当を2つ買っていたような気がする。
復元されて再び破壊されたマルチタイプ7号機のレイチェルも、テロ活動に従事させられるよりも、介助ロボットでいいからそちらの用途で稼働させてくれることを望んでいた。
それは叶わず、DCJ旧・さいたま研究所(現・ロボット未来科学館)を半壊させた上、8号機のアルエットにとどめを刺されている。
ホームへのエスカレーターを上ると、寒風が敷島達を襲って来た。
もっともそれは、発着する新幹線が巻き起こしたものかもしれない。
それでいいと思いますよ。
人それぞれ考えがありますからね。
“あっつぁブログ”の面々が、ちょっと考えの違う人間相手に即座に潰そうとしていた姿勢に問題があったと思います。
漂流船と化したのも、罰の現証でしょう。
言いたい事が言えて、お蔭で少しスッキリしました。
今後
私に文句がある人は、直接対峙以外一切受け付け致しません。
どうしても、ネット上でしか私に言いたくないのならば、己の敗北を公に宣言したとみなします。
ネット上の発言を削除し、例え証拠を消したとしても、男が一度発言した過去は、一切消せません。
例えば、
殺人犯が今生で警察等から逃げおおせたとしても、己の所業は己が命に刻まれるのではないでしょうか?
↑「死ねばチャラになる」と言うのは、無宗教の私でもおかしいと思います。
宗教の信徒であれば、理解出来ると思います。
ちょっと過激な発言でしたかね?
先程の続きで、少し熱くなってしまいました。
とても有意義な時間を過ごせたと思います。
また機会がありましたら、是非よろしくお願いします。
“あっつぁブログ”で専用コーナーを持っていた方へ。
今でも怨念は消えていないので、誰かを攻撃した記憶のある方は悔い改めてください。
仏法などロクなものではないと広まった結果を作った責任は発生しておりますから。