[9月26日08:26.天候:晴 JR東海道新幹線“こだま”639号1号車内 敷島孝夫、平賀太一、1号機のエミリー、3号機のシンディ]
〔「レピーター、点灯です!」〕
ホームに、かつて“のぞみ”号で使われていた車内チャイムが、発車メロディとして鳴り響く。
〔18番線、“こだま”639号、名古屋行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、安全柵の内側までお下がりください〕
〔「乗降よし!ITVよし!18番線、ドアが閉まります!」〕
ドアが閉まって、敷島達を乗せた列車が走り出した。
“のぞみ”や“ひかり”は先頭車でも満席に近い状態で発車していったが、“こだま”はガラガラだった。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、“こだま”号、名古屋行きです。終点、名古屋までの各駅に止まります。次は、品川です〕
敷島は東京駅で買った朝食の駅弁を食べていた。
テーブルを使う関係で、あえて座席は向い合せにしていない。
自由席に座っているのは、ミク達と違い、何の確証も無い旅だから贅沢はできないからである。
平賀達も“はやぶさ”は全車指定だから指定席で来たものの、普通車で来たとのこと。
シンディは通路側ながら、コンセントを通して充電している。
元々が軍事用として開発されたマルチタイプは、どうしても維持費が高くなりがちで、バッテリーの充電による電気代もその1つである。
その為、敷島エージェンシーではあえて深夜電力の契約をしていて、ロイド達の充電は(予備バッテリーも含めて)専ら夜に行っている。
で、合法的にタダで充電できる所も活用すると。
エミリーは充電はしていないが、シンディよりはバッテリーの消費が少ないとのこと。
妹機のシンディより軽量化し、何より、新ボディが平賀の持つ最新技術で造られたからだろう。
[同日09:34.JR新富士駅 上記メンバー]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、新富士です。新富士を出ますと、次は静岡です〕
〔「ポイント通過の為、列車が大きく揺れることがあります。お立ちのお客様、十分ご注意ください。お出口は、左側です」〕
途中、通過線のある駅では、必ずと言って良いほど、後続の“のぞみ”や“ひかり”に抜かれる。
この駅でもそうだ。
特に新富士駅は線形が良い為、ダイヤ通りなら通過列車は最高速度で通過するという。
ドアが開くと、“こだま”しか停車しない駅の割には、意外と多くの乗客が降りて行った。
ホームに降りて階段に向かうまでの間、通過列車が轟音を立てて“こだま”の横を通過していった。
駅からは、富士山がよく見える。
目的地によれば、もっとよく見えると思われる。
駅前からタクシーに乗り込む。
「富士宮市……までね」
敷島が住所を言うと、運転手はナビにその住所を打ち込んだ。
隣町であるものの、土地勘は無いらしい。
[同日10:20.静岡県富士宮市郊外 上記メンバー]
駅前を出てから、タクシーはひたすら北上した。
この時点では、富士山は右手に見える。
国道139号線を走っていたわけだが、富士宮市内に入ってしばらく走り、何やら看板に朝霧高原の文字が見えるようになると、今度は国道から外れて県道に入る。
「朝霧高原にもライブができる会場があるんですよ。今度の『ボカロ・フェス』はそこでやりたいな」
と敷島が言うと、隣に座る平賀が、
「もう少し交通至便な所の方がいいんじゃないですか?」
と、反論した。
ボーカロイドの整備役として呼ばれることが多いだけに、けして他人事ではないと思っているようだ。
ナビの地図によると、国道369号線を西に向かっているようだ。
地図にも出てきたが、実際に敷島達の眼前に大きな三門が見えてきた。
「ん?何か、大きなお寺が……?」
「大石寺ですよ」
敷島の言葉に、運転手が答えた。
「そう、ですか。まあ、富士山が近いからですね」
この時は、まだ山岳信仰の類なのだろう程度にしか思っていなかった敷島達だった。
「この辺りですよ」
カーナビも目的地周辺だということで、案内を終了した。
「じゃあ、この辺でいいです」
「よろしいですか」
敷島達がタクシーを降りた場所は、『大石寺入口』バス停の横。
実際の大石寺の周辺は長閑な場所だが、この辺りはそこそこ住宅もある。
「よし、ちょっと探してみよう」
とは言いつつも、東京やさいたま市の住宅街を探すわけではない。
目的の吉塚家はすぐに見つかった。
「なるほど。ここから、仙台まで来たのか。確かに大変だな」
敷島はおぼろげながら、南里の告別式の際に参列した吉塚広美との会話を思い出していた。
確か、『半日掛けてやってきたかいがあった』みたいな内容だ。
「敷島さん、早く行きましょう」
「そうですね」
敷島は門扉の横のインターホンを押した。
〔「レピーター、点灯です!」〕
ホームに、かつて“のぞみ”号で使われていた車内チャイムが、発車メロディとして鳴り響く。
〔18番線、“こだま”639号、名古屋行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、安全柵の内側までお下がりください〕
〔「乗降よし!ITVよし!18番線、ドアが閉まります!」〕
ドアが閉まって、敷島達を乗せた列車が走り出した。
“のぞみ”や“ひかり”は先頭車でも満席に近い状態で発車していったが、“こだま”はガラガラだった。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、“こだま”号、名古屋行きです。終点、名古屋までの各駅に止まります。次は、品川です〕
敷島は東京駅で買った朝食の駅弁を食べていた。
テーブルを使う関係で、あえて座席は向い合せにしていない。
自由席に座っているのは、ミク達と違い、何の確証も無い旅だから贅沢はできないからである。
平賀達も“はやぶさ”は全車指定だから指定席で来たものの、普通車で来たとのこと。
シンディは通路側ながら、コンセントを通して充電している。
元々が軍事用として開発されたマルチタイプは、どうしても維持費が高くなりがちで、バッテリーの充電による電気代もその1つである。
その為、敷島エージェンシーではあえて深夜電力の契約をしていて、ロイド達の充電は(予備バッテリーも含めて)専ら夜に行っている。
で、合法的にタダで充電できる所も活用すると。
エミリーは充電はしていないが、シンディよりはバッテリーの消費が少ないとのこと。
妹機のシンディより軽量化し、何より、新ボディが平賀の持つ最新技術で造られたからだろう。
[同日09:34.JR新富士駅 上記メンバー]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、新富士です。新富士を出ますと、次は静岡です〕
〔「ポイント通過の為、列車が大きく揺れることがあります。お立ちのお客様、十分ご注意ください。お出口は、左側です」〕
途中、通過線のある駅では、必ずと言って良いほど、後続の“のぞみ”や“ひかり”に抜かれる。
この駅でもそうだ。
特に新富士駅は線形が良い為、ダイヤ通りなら通過列車は最高速度で通過するという。
ドアが開くと、“こだま”しか停車しない駅の割には、意外と多くの乗客が降りて行った。
ホームに降りて階段に向かうまでの間、通過列車が轟音を立てて“こだま”の横を通過していった。
駅からは、富士山がよく見える。
目的地によれば、もっとよく見えると思われる。
駅前からタクシーに乗り込む。
「富士宮市……までね」
敷島が住所を言うと、運転手はナビにその住所を打ち込んだ。
隣町であるものの、土地勘は無いらしい。
[同日10:20.静岡県富士宮市郊外 上記メンバー]
駅前を出てから、タクシーはひたすら北上した。
この時点では、富士山は右手に見える。
国道139号線を走っていたわけだが、富士宮市内に入ってしばらく走り、何やら看板に朝霧高原の文字が見えるようになると、今度は国道から外れて県道に入る。
「朝霧高原にもライブができる会場があるんですよ。今度の『ボカロ・フェス』はそこでやりたいな」
と敷島が言うと、隣に座る平賀が、
「もう少し交通至便な所の方がいいんじゃないですか?」
と、反論した。
ボーカロイドの整備役として呼ばれることが多いだけに、けして他人事ではないと思っているようだ。
ナビの地図によると、国道369号線を西に向かっているようだ。
地図にも出てきたが、実際に敷島達の眼前に大きな三門が見えてきた。
「ん?何か、大きなお寺が……?」
「大石寺ですよ」
敷島の言葉に、運転手が答えた。
「そう、ですか。まあ、富士山が近いからですね」
この時は、まだ山岳信仰の類なのだろう程度にしか思っていなかった敷島達だった。
「この辺りですよ」
カーナビも目的地周辺だということで、案内を終了した。
「じゃあ、この辺でいいです」
「よろしいですか」
敷島達がタクシーを降りた場所は、『大石寺入口』バス停の横。
実際の大石寺の周辺は長閑な場所だが、この辺りはそこそこ住宅もある。
「よし、ちょっと探してみよう」
とは言いつつも、東京やさいたま市の住宅街を探すわけではない。
目的の吉塚家はすぐに見つかった。
「なるほど。ここから、仙台まで来たのか。確かに大変だな」
敷島はおぼろげながら、南里の告別式の際に参列した吉塚広美との会話を思い出していた。
確か、『半日掛けてやってきたかいがあった』みたいな内容だ。
「敷島さん、早く行きましょう」
「そうですね」
敷島は門扉の横のインターホンを押した。
前にも書いたと思いますが、駅前の谷商店の自動販売機で売られているアクエリアスをホームでああうめぇな!といいながら飲んでみたいものです(^O^)
私はやはり、パチンコガンダム駅に思いを馳せながら、コーラをイッキ飲みするのがオススメです。
少なくとも白丸駅の場合は「ホームに飛ばせ!」としか言えねぇな!