報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「愛原の孤独な戦い」 当日

2023-09-05 16:04:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月11日06時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 朝はいつもの時間に朝食を取った。

 愛原「高橋は車で行くんだよな?」
 高橋「そうです。ついでに、パールを乗せて行きます」
 愛原「そうか。それなら、リサも乗せてやったら?」
 高橋「靖国通り経由で行くつもりなんで、上野は遠回りっスよ?」
 愛原「じゃあ、秋葉原駅はどうだ?それだけでも、リサにとっては楽になるが……」

 朝ラッシュの都営地下鉄新宿線も、なかなかの混みようだ。
 だが、秋葉原から上野駅まではそんなに混んでいないという。
 オフィス街のある神田から南へ通勤する客が多いので、外回りは混んでいるが……。
 池袋、新宿方面への通勤客が乗ってくるのは上野、日暮里、田端などである。

 高橋「まあ、アキバ駅なら何とか……」
 リサ「おおっ!ありがとう!」
 高橋「先生の御命令だから特別乗せてやるが、帰りは電車で帰れよ?」
 リサ「分かってるよ。それはメイドさんも同じでしょ?」
 パール「私は……何も無ければ、明日の午前中に退院です」

 パールはチラッと高橋を見た。

 高橋「先生……」
 愛原「あー、分かった分かった。パールへの迎えを許可する」
 高橋「あざーっす!」

[同日09時00分 天候:晴 愛原学探偵事務所2階]

 朝食を終え、片付けた後で、私を除く3人のメンバーは出発の準備をした。
 1階のガレージに止めていたライトバンに乗り込む。
 私が電動シャッターを開けて、車を出させてやった。
 そして、車が出たらシャッターを閉める。
 来客が車で来るというアポがあれば、シャッターは開けたままにしておくが、今日はそういうのは無いので。
 その後でエレベーターに乗り込み、2階に戻った。

 ガリガリガリ……。

 愛原「?」

 エレベーターが2階に到着し、片開きの2枚ドアが開く。
 その時、ドアの鴨居部分からガリガリという音がした。
 ドアが開いた時、何かを巻き込むような音だ。
 調子が悪いのか?
 ドアはちゃんと開いたが……。
 エレベーターを降りて、またドアが閉まる。
 この時は、特にガリガリという音はしなかったが……。

 愛原「んん?」

 特にボタンを押したわけでもないし、挟んでもいないのに、エレベーターのドアがまた開いた。
 そして閉まる時、またガリガリという音がした。
 もう1度ボタンを押してドアを開ける。
 しかし、ドアをよく見たが、何が挟まっているとか、そういうのは見当たらなかった。
 旧型の機種であり、そのせいかもしれない。
 一応、定期点検は業者によって行われている。
 今月中にも、行われる予定だ。
 その時、業者に言っておくか。
 私は自分のデスクに座ると、PCメールのチェックをした。
 今日、依頼者が何人か来る予定になっていたのだが、ピンポイントでTウィルスが流出したということもあり、キャンセルや延期の連絡が入っていた。
 他にも直接電話で……。

 愛原「……ああ、さようでございますか。……まだ、滅菌完了のお知らせも無いことですし、致し方無いことだと思います。ですので、どうかお気になさらず……。ええ、またの御依頼、お待ち申し上げます」

 小口の仕事ばかりであるが、それらが全部と言って良いほどキャンセルになるのだから、損害だ。
 これって、警察に請求していいのかな?
 因みに今朝のテレビの情報番組では、バイオハザード発生地の墨田区では、避難命令は出ていなかった。
 外出の自粛を勧告する、という程度であった。
 で、やっぱりゴキブリホイホイは使わないと方がいいという。
 それよりも、如何にゴキブリを侵入させないかが大事みたいなことを言っていた。
 まあ、リサが帰ってくるまで、何事も無いことを祈ろう。
 今日は学校が午後まであるから、帰りは15時台から16時台になるとのことだ。

[同日13時00分 天候:晴 愛原学探偵事務所2階]

 昼はパールや高橋が作ってくれた弁当を食べた。
 彼らに気を使わせない為にも、昼は外に買いに行ったりしているのだが、今日は外出自粛勧告が出ているので。
 事務所内の給湯室で弁当の空き容器を洗い、それをシンクの横に置いた時だった。

 愛原「うおっ!?」

 ついにゴキブリと遭遇してしまった!
 天井のダクトから侵入してきやがった!
 しかも、ある程度の大きさ。
 私の掌くらいの大きさだ。

 愛原「これでも食らえ!」

 私は同じく給湯室内にあった殺虫剤を手に取ると、それをゴキブリに噴射してやった。
 ゴキブリは悶え苦しみながらも、ダクトの中に逃げ込んでしまった。

 愛原「逃がすか!」

 私はダメ押しで、更にダクト内に殺虫剤を噴射してやった。
 これで果たして、ゴキブリを倒せたかは不明だ。
 だがもう、ここには現れないことを信じて、私は殺虫剤を元あった場所に戻したのだった。
 一応、この事はリサ達にも伝えておこうと思った。
 グループLINEで、報告する。
 高橋は私を称賛し、リサは不安だからなるべく早く帰ると言った。
 まあ、侵入したのは、私が遭遇したあの一匹とは限らないかもしれない。
 こんな時、仲間がいると心強い。
 今度からは、ダクトにも注意しないといけないな。

[同日15時00分 天候:晴 愛原家3階]

 リサ達がお土産を買ってくるというので、私はお茶の在庫を確認することにした。
 コーヒーなら先日買っておいたので心配無いはずだが、和菓子に合うお茶があったかどうか……。
 それと、事務所の方に融通しておきたい。
 だが……。

 愛原「ん?」

 エレベーターに乗り込んで3階に向かう時、上からガッシャーンという音がした。
 何か金属製の物が外れて落ちるような音だった。
 そんなもの、あったっけ?

 愛原「こ、これは……!」

 エレベーターが3階に着いた時、天井のダクトの金網が外れていた。
 こんなものが外れるなんて、珍しい。
 下に誰もいなくて良かった。
 だが、拾い上げると、どうやら自然に外れたのではなく、無理やり外されたのだと分かった。
 一体、誰がこんなことを……?

 ラージローチ「…………」
 愛原「……!……!」(;゚Д゚)

 ダイニングには、ゾウガメほどの大きさのゴキブリが一匹……!!
 な、何か目が合ってしまった。

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