報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「事態収拾」

2022-01-13 20:00:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日23:30.天候:晴 栃木県那須塩原市某所 ホテル天長園]

 ホテルの上空に、BSAA極東支部日本地区本部のヘリが数機飛来する。
 それだけでなく、地上からは同じ部隊の装甲車等が続々と駐車場に集結した。
 宿泊客の安眠などお構いなしである。

 ヘリパイロット:「αチームからHQ!スペード1上空に到着!」
 HQ:「了解。スペード1の状況を報告されたし!」
 ヘリパイロット:「現在、目視できる限りにおいては、館内外共に混乱の発生等の確認はできず。……あれは!?」
 HQ:「どうした?」
 ヘリパイロット:「αチームよりHQ!スペード1、ホテル屋上にてリサ・トレヴァー『2番』を発見!……えー、現在……第0形態の状態のもよう……」
 HQ:「第0形態!?バカな!『2番』はいきなり第3形態に変化し、暴走の可能性ありとの報告のはずだ!」
 ヘリパイロット:「しかし、上空から確認する限り、明らかに姿形は人間同然、つまり第0形態の姿で間違いない!」
 HQ:「どういうことだ?暴走したわけではないのか?」
 ヘリパイロット:「あっ!しかも、白旗を振っている!」
 HQ:「白旗!?交戦の意思は無いということか!?」
 ヘリパイロット:「報告と明らかに違う!HQ!指示を!」
 HQ:「了解!確認を行う!ヘリ部隊は上空にて待機せよ!地上部隊においても、車両内で待機!」
 ヘリパイロット:「了解!」

 なかなか隊員が降下してこないことに首を傾げるリサ。

 リサ:「うーん……警戒されてるかなぁ……?いきなり撃ってこないところを見ると、わたしが実は暴走していなかったってことは分かってくれたみたいだけど……」

 因みに白旗は天長会の聖堂にあったのを借りて来た。
 と、そこへリサのスマホが鳴る。
 取り出して見ると、善場からだった。

 リサ:「もしもし?」
 善場:「リサ!?これはどういうことなの!?説明しなさい!」
 リサ:「怒らないで、善場さん。むしろ怒りたいのはわたしの方なんだから」
 善場:「はあ?あなたがいきなり第3形態に変化したっていうから、こっちは暴走したのかと思うじゃない!」
 リサ:「愛原先生が襲われた。襲ったヤツに対抗する為、仕方なかったの」
 善場:「愛原所長が襲われた!?」
 リサ:「恐らく兄ちゃんも」
 善場:「高橋助手も!?……今、屋上にいるらしいね?話を聞くから、1階まで下りていらっしゃい」
 リサ:「分かった」
 善場:「ホテルの中は、どういう状況なの?」
 リサ:「混乱してる。別にバイオハザードが発生したからじゃなく、いきなりBSAAが来たから」
 善場:「バイオハザードは発生していないのね?」
 リサ:「それは大丈夫。ゾンビもガナードもウーズもウロボロスもいない」
 善場:「分かったわ。それなら、すぐ1階に下りて来て」
 リサ:「分かった」

 リサは電話を切ると、階段室に戻った。

 HQ:「HQから全隊員に連絡!デイライトより報告が入った!どうやら、リサ・トレヴァー『2番』は暴走していないもよう!」
 ヘリパイロット:「何だって!?ガセか!?」
 HQ:「その代わり、ホテル内部でBOWによる傷害事件が発生したもよう!リサ・トレヴァー『2番』がその状況を知っているとのことで、これよりデイライトの担当者が調査に入る!全隊員はしばらく待機せよ!」
 ヘリパイロット:「このホテル、『2番』以外にもBOWがいたのか?」
 隊員A:「何でも、過去に、BSAAの別の部署が調査に入ったくらいだからな」
 隊員B:「リサ・トレヴァー『2番』は暴走していなくても、他のBOWが暴走したのであれば、まだ俺達の出番はあるわけだ」

 リサはエレベーターで1階に下りた。

 宿泊客A:「どうなってるんだ!?いきなり外に軍隊が来たぞ!?何が起きてるんだ!?」
 宿泊客B:「うるさくて寝られやしねぇよ!」
 宿泊客C:「避難しなくていいのか!?」
 竹下マネージャー:「申し訳ございません!ただいま、緊急事態が発生しまして……!お客様方の避難は必要ございませんので、どうか事態の収拾までお部屋で待機されてください!」

 ロビーとフロントは、いきなりの事態発生に混乱が起きていた。
 リサはそんな混乱を尻目に、エントランスから外に出る。
 もちろん、持っていた白旗は忘れない。
 リサが外に出て白旗を振ると、装甲車から眩しいライトが照らされた。

 善場:「リサ、こっちに!」

 善場が手招きする。
 しかし、その周りでは殺気立ったBSAA隊員が銃を構えていた。

 リサ:「善場さん」

 すぐに装甲車の中に入る。

 善場:「一体、何があったの!?」
 リサ:「実は……」

 リサは愛原達に起きた状況を説明した。

 善場:「……なるほど。そういうことだったのね。でも、いきなりの第3形態変化はやり過ぎよ」
 リサ:「……ゴメンなさい」

 善場はそれ以上は言わず、すぐに自分のスマホを取り出して、リサの説明をBSAA地区本部に伝えた。

 HQ:「HQより全隊員へ通達!暴走したBOWは、リサ・トレヴァー『2番』ではない!我々が捕獲するべきBOWは他にいる!その捕獲が今回の任務である!」

 リサ達が乗っている装甲車以外の車から、BSAA隊員達がホテル内部へ突入して行く。
 ヘリ部隊からも、ロープを使って屋上から突入して行った。
 ますます館内の混乱には、拍車が掛かるだろう。

 善場:「衛生部隊の派遣を願います!報告によると、BOWによる負傷者は2名。うち1名は重傷・感染の恐れあり!」

 善場は電話を切ると、微笑を浮かべた。

 善場:「上野凛さんからも話を聞きたいね」
 リサ:「分かった」
 善場:「あなたの話が本当なら、あなたは愛原所長を助けたことになる。それは称賛に値します」
 リサ:「善場さん……!」

 リサの顔がパッと明るくなった。

 善場:「悪いけど、このホテルは引き払うことにはなるけどね」
 リサ:「……だよね」

 日付が変わった後、白いヘリコプターが飛来した。
 BSAAの衛生部隊であり、愛原を搬送する為に駆け付けたものだ。
 救護室に行って、愛原と高橋の状態を確認した衛生部隊だったが、高橋にあっては搬送の必要なしと判断された。
 愛原にあっては搬送の必要ありとされ、直近の災害拠点病院に搬送されることとなった。

 リサ:「凛のお母さんは死刑?」
 善場:「もしも愛原所長が死亡したり、重大な後遺症が残るようなことになったら、殺処分することになる。いい、リサ?暴走するということは、そういうことなの。あなたは人間に戻らない限り、日本国憲法で保障されている基本的人権は無いのだから」
 リサ:「……分かった」

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “愛原リサの日常” 「捕食さ... | トップ | “大魔道師の弟子” 「帰省中... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事