[9月13日15:30.天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
校庭から叫び声が聞こえる。
そして、風に乗って血の匂いも。
リサ:「うウ……!」
リサは血の匂いを辿って、現場に走った。
リサ:「ウあっ!?」
現場に着くと、そこには血だまりができていた。
そして、その中央にはうつ伏せになっている女子生徒が……。
体をあらぬ方向に捻じ曲げて、ピクピクと動いている。
うつ伏せになっているので顔は分からないが、匂いからして、リサには心当たりがあった。
リサ:「会長……!」
リサには、生徒会長の城ヶ崎だと分かった。
それでも、血などの匂いがリサのBOW(生物兵器)、人食い鬼としての本能を誘う。
リサ:「ウウウ……!」
栗原蓮華:「おい!」
だが、そんなリサの肩を後ろから掴む者がいた。
蓮華:「それ以上、近づくな。もしアンタが、あの血肉にむしゃぶりついた時点で、私はアンタを人食い鬼として斬らなくちゃいけなくなる」
リサ:「う……!」
リサは無言で何度も頷くと、すぐにその場から離れた。
教師A:「離れろ!全員、散れ!教室に戻れ!」
教師B:「救急車、誰か呼んだ!?」
リサは人混みの外に出た。
すると、そこには数人、恐らく瞬間を目撃したであろう、女子生徒が座り込んでいた。
そして、その中に1人、『魔王軍』のメンバーがいた。
リサ:「おい、ちょっと。何があった?」
メンバー:「ま、魔王様……。と、突然、屋上から、人が飛び下りて来て……」
リサ:「屋上から飛び降り!?」
メンバー:「き、きっと自殺です……」
リサ:「自殺……屋上……飛び下り……!」
その3つのワードから、リサはある物を連想した。
そして、目にも留らぬ速さで、その場から消えた。
さすがは大ボスクラスの特級BOW。
蓮華:「! あいつ、どこ行った!?」
義足が人混みに引っ掛かってしまい、抜け出すのに苦労して、後からやってきた蓮華は、リサを見失ってしまった。
リサ:(遺書だ!あいつ、遺書なんか残してやがったら……!)
リサは校舎の反対側に回ると、両手から触手を出して、それで一気に外壁を昇った。
生体フックショットとでも言うのか。
幸い屋上には、まだ誰も来ていなかった。
そして、城ヶ崎が飛び下りたと思われる場所には靴が揃えて置かれており、その上に遺書が置かれていた。
リサはすぐにそれを拾い上げて、中身を読んだ。
リサ:「あのクソ女……!!」
遺書にはリサが一番怪しいこと、あんな恥をかかされたからにはもう生きて行けぬこと、そして、自分の命と引き換えに、ブルマ禁止を校則に盛り込んでほしいことが書かれていた。
リサ:「フザけるな!」
リサは遺書をグシャグシャに丸めると、それを口の中に放り込んだ。
教師C:「早く鍵を開けてください!」
警備員:「ちょっと待ってください。向こう側から、何かに押さえつけられています!」
リサがドアを見ると、外側からつっかえ棒がされていた。
どうやら城ヶ崎が、自殺を邪魔されるのを防止する為にそうしたらしい。
リサ:「さようなら」
リサは丸めた遺書を飲み込むと、屋上から人けの無い裏庭に飛び下りた。
因みに、高さは4階建て校舎の屋上。
オリジナルのリサ・トレヴァーが、もっと高所から飛び下りても死ななかったのだ。
そのGウィルスを受け継ぐ日本版リサ・トレヴァーが、この程度で死ぬはずがなかった。
物の見事に、地面に着地する。
リサ:(先生の為に、あそこまでやったんだ!ここで邪魔されてなるものか!)
リサは急いで校舎の中に入り、自分の教室に戻った。
坂上:「愛原、遅いぞ!どこへ行ってた!?」
臨時のホームルームが行われており、リサは遅刻である。
リサ:「こ、ゴメンナサイ!トイレに行ってて……」
坂上:「そういう時は、誰かに言ってから行け!」
リサ:「すいません……」
坂上:「分かったら早く席に座れ」
リサ:「はい」
リサが席に着くと、担任の坂上が話し始めた。
坂上:「……というわけで、皆も知っての通り、先ほど事故が発生しました。今、救急車や警察のパトカーが来ていますが、皆は変な野次馬根性出さずに、真っ直ぐ帰ってください」
リサ:(今のところは事故扱いか……)
遺書はリサが隠蔽した。
さすがに靴までは隠せなかったし、そもそも隠す必要があるのかも分からなかったので、そのままにしておいた。
遺書は隠蔽したが、揃えられた靴の状態からして、警察は自殺と判断するだろう。
当然、学校関係者にも聞き込みを開始するだろう。
リサ:(あー……わたしの所にも来るかな?)
だが、証拠は無い。
リサの寄生虫は、体の外に出た時点で死滅する。
リサの正体について知る者は、この学園ではごく一部の者だけ。
それも、リサの寄生虫について更に知る者はもっと限られている。
生徒会には知られていないので、リサの所に捜査の手が来ることは考えられない。
新聞部員:「あー、すいません。新聞部の者ですが、ちょっとお話よろしいですか?」
帰り際、リサの所に新聞部員が来た。
リサ:「なに?」
新聞部員:「『ブルマ復活賛成派』の代表として、『ブルマ復活反対派』の代表である会長が亡くなりました。それについて、何か一言お願いできますか?」
リサ:「気の毒だと思うけど、死んだらそこで負け。もしも本当にわたしの計画を阻止したければ、生きてわたしに立ち向かって来て欲しかったね」
新聞部員:「なるほど。さすがは、霧生市のバイオハザードを生き延びられただけのことはあります」
リサは表向き、霧生市のバイオハザードに巻き込まれ、そこで家族を失い、愛原の所に引き取られたということになっている。
新聞部員:「愛原さんは、会長の自殺の原因は何だと思われますか?」
リサ:「さあ……。遺書が……おっと!」
新聞部員:「ん?遺書が何ですか?」
リサ:「わたしにはよく分からないけど、自殺だったとしたら、遺書か何かあれば、そこに書いてあるかもね」
新聞部員:「なるほど」
リサ:(思いっ切り遺書に書いてあった。わたしのせいだって)
リサはリサで冷や汗をかいてきた。
リサ:(まさか、ここで死ぬとは……!)
リサは完全に立入禁止になっている教育資料館(旧校舎)を見て思った。
リサ:(“トイレの花子さん”がまだいたら、怒られそうだな……。でもまあ、しょうがない)
当然こんな状況になっては、美術部で絵のモデルができるわけもなく、リサはこのまま帰るしかなかったのである。
校庭から叫び声が聞こえる。
そして、風に乗って血の匂いも。
リサ:「うウ……!」
リサは血の匂いを辿って、現場に走った。
リサ:「ウあっ!?」
現場に着くと、そこには血だまりができていた。
そして、その中央にはうつ伏せになっている女子生徒が……。
体をあらぬ方向に捻じ曲げて、ピクピクと動いている。
うつ伏せになっているので顔は分からないが、匂いからして、リサには心当たりがあった。
リサ:「会長……!」
リサには、生徒会長の城ヶ崎だと分かった。
それでも、血などの匂いがリサのBOW(生物兵器)、人食い鬼としての本能を誘う。
リサ:「ウウウ……!」
栗原蓮華:「おい!」
だが、そんなリサの肩を後ろから掴む者がいた。
蓮華:「それ以上、近づくな。もしアンタが、あの血肉にむしゃぶりついた時点で、私はアンタを人食い鬼として斬らなくちゃいけなくなる」
リサ:「う……!」
リサは無言で何度も頷くと、すぐにその場から離れた。
教師A:「離れろ!全員、散れ!教室に戻れ!」
教師B:「救急車、誰か呼んだ!?」
リサは人混みの外に出た。
すると、そこには数人、恐らく瞬間を目撃したであろう、女子生徒が座り込んでいた。
そして、その中に1人、『魔王軍』のメンバーがいた。
リサ:「おい、ちょっと。何があった?」
メンバー:「ま、魔王様……。と、突然、屋上から、人が飛び下りて来て……」
リサ:「屋上から飛び降り!?」
メンバー:「き、きっと自殺です……」
リサ:「自殺……屋上……飛び下り……!」
その3つのワードから、リサはある物を連想した。
そして、目にも留らぬ速さで、その場から消えた。
さすがは大ボスクラスの特級BOW。
蓮華:「! あいつ、どこ行った!?」
義足が人混みに引っ掛かってしまい、抜け出すのに苦労して、後からやってきた蓮華は、リサを見失ってしまった。
リサ:(遺書だ!あいつ、遺書なんか残してやがったら……!)
リサは校舎の反対側に回ると、両手から触手を出して、それで一気に外壁を昇った。
生体フックショットとでも言うのか。
幸い屋上には、まだ誰も来ていなかった。
そして、城ヶ崎が飛び下りたと思われる場所には靴が揃えて置かれており、その上に遺書が置かれていた。
リサはすぐにそれを拾い上げて、中身を読んだ。
リサ:「あのクソ女……!!」
遺書にはリサが一番怪しいこと、あんな恥をかかされたからにはもう生きて行けぬこと、そして、自分の命と引き換えに、ブルマ禁止を校則に盛り込んでほしいことが書かれていた。
リサ:「フザけるな!」
リサは遺書をグシャグシャに丸めると、それを口の中に放り込んだ。
教師C:「早く鍵を開けてください!」
警備員:「ちょっと待ってください。向こう側から、何かに押さえつけられています!」
リサがドアを見ると、外側からつっかえ棒がされていた。
どうやら城ヶ崎が、自殺を邪魔されるのを防止する為にそうしたらしい。
リサ:「さようなら」
リサは丸めた遺書を飲み込むと、屋上から人けの無い裏庭に飛び下りた。
因みに、高さは4階建て校舎の屋上。
オリジナルのリサ・トレヴァーが、もっと高所から飛び下りても死ななかったのだ。
そのGウィルスを受け継ぐ日本版リサ・トレヴァーが、この程度で死ぬはずがなかった。
物の見事に、地面に着地する。
リサ:(先生の為に、あそこまでやったんだ!ここで邪魔されてなるものか!)
リサは急いで校舎の中に入り、自分の教室に戻った。
坂上:「愛原、遅いぞ!どこへ行ってた!?」
臨時のホームルームが行われており、リサは遅刻である。
リサ:「こ、ゴメンナサイ!トイレに行ってて……」
坂上:「そういう時は、誰かに言ってから行け!」
リサ:「すいません……」
坂上:「分かったら早く席に座れ」
リサ:「はい」
リサが席に着くと、担任の坂上が話し始めた。
坂上:「……というわけで、皆も知っての通り、先ほど事故が発生しました。今、救急車や警察のパトカーが来ていますが、皆は変な野次馬根性出さずに、真っ直ぐ帰ってください」
リサ:(今のところは事故扱いか……)
遺書はリサが隠蔽した。
さすがに靴までは隠せなかったし、そもそも隠す必要があるのかも分からなかったので、そのままにしておいた。
遺書は隠蔽したが、揃えられた靴の状態からして、警察は自殺と判断するだろう。
当然、学校関係者にも聞き込みを開始するだろう。
リサ:(あー……わたしの所にも来るかな?)
だが、証拠は無い。
リサの寄生虫は、体の外に出た時点で死滅する。
リサの正体について知る者は、この学園ではごく一部の者だけ。
それも、リサの寄生虫について更に知る者はもっと限られている。
生徒会には知られていないので、リサの所に捜査の手が来ることは考えられない。
新聞部員:「あー、すいません。新聞部の者ですが、ちょっとお話よろしいですか?」
帰り際、リサの所に新聞部員が来た。
リサ:「なに?」
新聞部員:「『ブルマ復活賛成派』の代表として、『ブルマ復活反対派』の代表である会長が亡くなりました。それについて、何か一言お願いできますか?」
リサ:「気の毒だと思うけど、死んだらそこで負け。もしも本当にわたしの計画を阻止したければ、生きてわたしに立ち向かって来て欲しかったね」
新聞部員:「なるほど。さすがは、霧生市のバイオハザードを生き延びられただけのことはあります」
リサは表向き、霧生市のバイオハザードに巻き込まれ、そこで家族を失い、愛原の所に引き取られたということになっている。
新聞部員:「愛原さんは、会長の自殺の原因は何だと思われますか?」
リサ:「さあ……。遺書が……おっと!」
新聞部員:「ん?遺書が何ですか?」
リサ:「わたしにはよく分からないけど、自殺だったとしたら、遺書か何かあれば、そこに書いてあるかもね」
新聞部員:「なるほど」
リサ:(思いっ切り遺書に書いてあった。わたしのせいだって)
リサはリサで冷や汗をかいてきた。
リサ:(まさか、ここで死ぬとは……!)
リサは完全に立入禁止になっている教育資料館(旧校舎)を見て思った。
リサ:(“トイレの花子さん”がまだいたら、怒られそうだな……。でもまあ、しょうがない)
当然こんな状況になっては、美術部で絵のモデルができるわけもなく、リサはこのまま帰るしかなかったのである。
鬼夜叉状態のリサが、愛原の【ぴー】を欲しがる理由ってこれか!