報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「金庫開けツアー」 2

2022-10-15 12:01:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月11日11:30.天候:晴 福島県福島県飯坂町 日本アンブレラ専用保養施設“雨傘園”1F]

 今日は山の日である。
 その通り、私達は山の中にいる。
 いや、厳密に言えば山というよりは丘に近い場所かもしれない。
 しかし、『丘の日』は無いのだからしょうがない。
 ……まあ、何年か経ったら『丘の日』もできそうな気もするが。
 それはそれとして……。

 愛原:「うわっ、出たーっ!」

 ガサガサという音。
 廊下の向こうから現れたのは、体長数メートルのゴキブリ。

 高橋:「お任せを!」

 高橋はマグナムを構えると、大型拳銃たるマグナム44をゴキブリの化け物に放った。
 ゴキブリと行ったら素早い動きをするというイメージがあるが、この化け物はそこまで素早いというわけではなかった。
 まあ、普通の人間が歩いて来るくらいの動きかな。
 なので、高橋のマグナムを簡単に避けることはできず、ゴキブリは2~3発ほど被弾すると、体を仰向けにして死んだ。

 高橋:「ざっとこんなもんです」
 愛原:「さすがだな!」

 因みに私もショットガンを持っているのだが、今はまだ使っていない。
 尚、リサは第1形態に戻っていた。

 愛原:「ゴキブリは1匹いたら、30匹いるって言われてるからな。他にもいるかもしれん。気をつけて行こう」
 高橋:「はい!」

 このゴキブリの大きさは尋常ではない。
 恐らくだが、Tウィルスに感染して巨大化したのではないだろうか。
 アメリカのラクーンシティにも、このような巨大ゴキブリはいたというし。
 霧生市にも恐らくいたと思うが、霧生電鉄のトンネル内においては、巨大化した蜘蛛に勝てず、捕食されて全滅したものと思われる。
 ここでは、蜘蛛を食べて巨大化したのだろうか?
 確かに、ここには蜘蛛の巣1つ無い。
 それよりも……。

 愛原:「あのゴキブリ、どこでTウィルスに感染した?」
 高橋:「ですよね」

 リサは壁の臭いとかを嗅いでいた。

 リサ:「あっちこっちから、ウィルスの臭いがする。だから、たまたまなんじゃない?」
 愛原:「あっちこっちに、Tウィルスが付着してるのかよ。危ねーな」

 私達は抗体を持っているからいいようなものの……。

 愛原:「あった。113号室」
 高橋:「では早速、鍵を……!」
 愛原:「うん」

 私は金庫から持って来た鍵を差した。
 大きな鍵は、この部屋のドアの鍵だと思うが、小さな鍵は何に使うのだろう?

 愛原:「あれ!?」

 鍵は開いたのだが、何故かドアが開かない。
 しかし、鍵が掛かってて開かない感覚ではなく、内側が何かに引っ掛かって開かないという感じだった。

 高橋:「ちょっとすいません!」

 高橋がバトンタッチ。
 高橋が思いっ切り引くと、僅かにドアが開いた。

 リサ:「あっ、内側からチェーンがされてる!」
 愛原:「なにっ!?」

 何故か客室のドアは、内側からドアチェーンが掛けられていた。
 これでは、ドアが素直に空いても入れないではないか。

 愛原:「ちょっと待ってろ。こんなこともあろうかと……」

 私はこれまでのバイオハザード事件から、必要な物が何かを割り出し、なるべく持参するようにしている。
 チェーンカッターもその1つだった。
 他にも、バール(のようなもの)も持って来ている。
 いずれも、警察に見つかったら職質レベルだし、場合によっては軽犯罪法違反でしょっ引かれるかもしれない。
 今回にあっては、善場主任が間に入ってもらえば、警察は退散してくれるだろうが。

 愛原:「うりゃっ!」

 私はチェーンカッターで、ドアチェーンを切った。

 愛原:「よし、これで開く……ぞ?」

 ドアの隙間から、わきわきと現れる何かの……足?
 そこから現れたのは、直径1メートルほどの蜘蛛が4~5匹だった。

 愛原:「うわっ、また出た!!」

 その蜘蛛の種類は分からない。
 だが、先ほどのゴキブリよりは素早いことから、ハエトリグモが巨大化したものだろうか。

 愛原:「撃てっ!撃てっ!」
 高橋:「だ、ダメです!的がさっきのGより小さく、動きが素早いんで当たりません!」

 こういう時、私のショットガンの方が役に立つ。
 リサも長く鋭い爪で、飛び掛かって来る蜘蛛を引き裂いたりした。

 愛原:「リロードリロード!」

 弾が無くなると、私は予備の弾を装填する。

 高橋:「うらっ!!」

 高橋は弾が当たらないので、手持ちの特殊警戒棒で蜘蛛を殴りつけるくらいしかできない。
 そして、どうにか私のショットガンとリサの爪攻撃で蜘蛛の集団を退治した。

 愛原:「これ、中ボスかな?大ボスかな?」
 高橋:「でも先生、その割にはドロップアイテムがありませんよ?」

 敵が落とすアイテムのこと。
 特に、中ボス戦においては、その先へ進む為の鍵を持っていることが多いので重要である。

 愛原:「ゲームじゃないんだから……」

 私はドアを開けた。
 どうやら、さっきの蜘蛛達がドアを押さえていたのかもしれない。
 今度は、すんなりと開いた。

 愛原:「こ、これは……」

 客室内は蜘蛛の巣だらけだった。
 それも、ただの蜘蛛の巣ではない。
 細い髪の毛とか繊維が雑に集合している感じである。
 場所によっては、藁が積み上がっているような感じになっていた。
 これは蜘蛛が変化するに当たって、吐き出す糸の質も変わったということだ。
 そして、この部屋には大ボスが待ち受けていた。

 愛原:「またいた!!」

 さっきのは子グモだったのか?
 親グモが待ち受けていた。
 大きさは2トントラックくらい。

 高橋:「今度は俺に任せてください!」

 高橋はマグナムを構えた。
 そして、動きの遅い親グモに集中砲火を浴びせた。
 一応、私もショットガンで援護するが、先ほどの子グモよりも動きは鈍く、図体もデカい(的が大きい)ということもあり、親グモは大した攻撃を私達にすることなく、そのままひっくり返って絶命した。

 愛原:「これでもういないだろうな?」
 高橋:「多分……」
 愛原:「金庫はどこだ!?」
 リサ:「あそこ!」

 リサが指さした所には、金庫があった。
 しかし、太い蜘蛛の糸が天井から床まで伸びている。

 高橋:「ここは俺が!」

 高橋はサバイバルナイフを取り出すと、それで蜘蛛の糸を切った。
 特に、そこまで粘ついているものではないようだ。

 愛原:「金庫は……鍵式か」

 しかし、これも私の記憶にあるような金庫とは違うように見えた。
 これはただの、貴重品ボックスとしての金庫である。
 案の定、キーホルダーに付いていた小さな鍵で開いた。

 愛原:「これは……!」

 一体、何が入っていただろうか?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「金庫... | トップ | “私立探偵 愛原学” 「金庫... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事