報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「雪降る東京都」

2023-09-17 21:30:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月15日17時35分 天候:雪 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線1701T電車最後尾車内]

 私達は秋葉原に向かう為、最寄りの地下鉄に向かった。
 夜から雪という当初の予報を裏切り、夕方の今の時点で雪が降り始めていた。
 夕方といっても、夏場ならまだまだ明るいこの時間、既に真っ暗なのだが。
 平日なら夕方のラッシュが始まっている時間だが、日曜日の今日はそうでもない。

 愛原「何か、雪が強くなってきたな?こりゃ冗談抜きで積もるか?」
 高橋「山の方は、微妙に積もって来てるみたいっスよ?」
 愛原「マジか」

 そんな雪を避けるようにして、私達はようやく菊川駅の構内に入った。

 愛原「霧生市も山奥の町だから、冬は相当雪が積もっただろ?」
 リサ「……と、思うんだけど、わたし達、なかなか研究所の外を見る機会は無かったらね……」
 愛原「あ……悪い」

 霧生市のバイオハザードが冬でなかったことが幸いした。
 もしも冬場なら、大雪の中、ゾンビと戦っていたかもしれない。

 リサ「いいよいいよ」

 駅構内をホームに向かって進む。
 多分、駅構内は暖房とかも入っているものと思われるが……。

 パール「うー……駅の中も寒い……」
 愛原「雪風が無い分、地上よりはマシさ。さすがに電車の中は暖房が入ってるだろう」

 改札口はそれぞれ手持ちのICカードで通過する。
 リサがいるので、電車は先頭車か最後尾に乗らないといけない。
 取りあえず、最後尾に乗ることにした。

 愛原「お?何か風が強く吹いてる。リサ、スカート気をつけろ」
 リサ「了解」

 因みにパールはスラックスなので、問題無い。
 今日のリサは、黒いミニのプリーツスカートを穿いている。
 多くの地下鉄駅は電車の到着時には、トンネルから強い風が吹いてくるものだが、何故か菊川駅は、その風が更に強いように思われる。
 階段を下りて、ホームの後ろに方に向かって歩いた。

〔まもなく1番線に、京王線直通、各駅停車、橋本行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 電車がトンネルの向こうから、勢いよく飛び出て来る。
 京王線を神奈川県まで走る電車だが、車両は都営の物だった。
 千葉県まで行ったり、神奈川県まで行ったりと、東京都の財産も忙しい。

〔1番線の電車は、京王線直通、各駅停車、橋本行きです。きくかわ~、菊川~〕

 京王線の笹塚駅までは各駅停車だが、そこから先の京王線内では区間急行となる。
 その為か、LEDの行先表示の種別には『区間急行』と書かれている。
 しかし、地下鉄線内は各駅停車の為、ここでも『各駅停車』と案内される。

 

 電車に乗り込み、私は空いている席に座った。
 ちょこんとリサも、私の隣に座る。
 都営車両も初期のバージョンは座席が硬いが、中期以降の車両は座席が軟らかくなっている。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車は短い発車メロディが鳴った後、すぐにドアが閉まった。
 最後尾に乗っているので、乗務員室に乗務している車掌のドアスイッチの操作音や発車合図のブザー音も聞こえる。
 尚、都営地下鉄の車掌は電車が走り出しても、乗務員室のドアを開けたまま出発監視をしている。
 JR東日本ではこんなやり方はしないが、ワンマン化前の札幌市地下鉄も車掌は同じようなことをしていた。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 ホーム半ばまで来たところで、車掌が乗務員室の扉をバタンと閉める。

 愛原「思ったけど、レイチェル、待ち合わせ場所、分かってるかな?」

 一応、JR秋葉原駅の昭和通り口の改札口と接する、日比谷線の出口で待っていればいいと伝えてある。
 確か、3番出口じゃなかったかな。
 中目黒駅からだと、前の車両に乗れば良い。
 それもリサを通して伝えてある。

[同日17時42分 天候:雪 千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→同区神田佐久間町 東京メトロ秋葉原駅]

 

〔1番線の電車は、京王線直通、各駅停車、橋本行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 電車は無事に岩本町駅に到着した。
 副駅名に『秋葉原』とあるように、秋葉原へは徒歩圏内である。
 秋葉原駅への乗り換えも、JRやつくばエクスプレスより、日比谷線が最も近い。
 エスカレーターに乗って、地上へ向かう。
 この岩本町駅も、ホームはかなり深い所にある。
 フロアマップ上は地下3階ということになっているが、ビルのフロアに換算すれば地下7階くらいの深さではないだろうか。
 尚、地上に出るエスカレーターは途中までしかない(地上に向かうエレベーターは、別に存在する)。

 愛原「うーん……。やっぱりここも雪か……」

 昭和通りの出口に出た私は、相変わらずの降雪にボヤいた。
 まだ、積もるといった感じではないが、しかし霙でもない。
 れっきとした雪だ。

 高橋「積もる前に、急ぎましょう」

 高橋はジャンパーのフードを被った。
 リサもまた、パーカーのフードを被っている。
 パールだけは、何も被っていなかった。

 愛原「そうだな」

 昭和通りを北に向かう。
 神田川に架かる和泉橋を渡れば、秋葉原駅はすぐそこである。
 雪に濡れないよう、私達は橋を渡ってすぐ所にある日比谷線の5番出口から一旦、駅の構内に入った。
 それから駅構内を3番出口に向かって進む。
 こうすることで、雪に濡れなくていいし、信号待ちもしなくていい。
 途中、地味に赤信号の長い書泉前の交差点がある為。
 まさか、レイチェルも私達が地下鉄の中から登場するとは思わなかったのだろう。

 愛原「やあ、レイチェル」
 レイチェル「Oh!」

 雪に当たらないよう、JR秋葉原駅の屋根の下で私達を待っていたが、昭和通りではなく、日比谷線の秋葉原駅から登場した私達を見て目を丸くしたのだった。

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