報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「球技大会終了」

2018-12-06 12:21:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日15:00.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 私達が裏で調査をしている間、リサの試合はどんどん勝ち進み、ついには……。

 司会:「優勝は1年3組となりました。大変おめでとうございました。私、司会のケンショーブラック……もとい、アデランス八島と申します」

 リサのクラスが優勝したようである。
 やはりリサ1人で勝てる試合だったか。
 バレーボールはチームプレイのはずなのだが。
 実際に優勝旗を受け取るのは、クラス委員長のようである。
 BGMはお決まりの“見よ、勇者は帰る”(作曲:ユダス・マカベウス)が流れるが、これが何と高校の吹奏楽部の生演奏だというのだから大掛かりだ。
 もっとも、明日は高校で文化祭が行われるとのことで、このまま楽器類は置いて行くのであろう。

 愛原:「高橋、ちゃんとリサの勇姿を写真に収めておけよ」
 高橋:「先生、俺の勇姿は!?」
 愛原:「いらん!」
 高橋:「ええーっ!」

 司会:「それでは優勝した1年3組の中で、もっとも活躍したとされる愛原リサさんに現在の気持ちを聞いてみたいと思います。愛原さん、お願いします」
 リサ:「! サイトー……さんや皆のフォローがあったから、私も頑張れました。ありがとう、サイトー」
 斉藤絵恋:「リサさーん!」

 斉藤さん、リサに抱きついて来た。

 司会:「素晴らしい友情、そして団結です。これらを糧に、より一層の広宣流布に邁進……もとい、来年の大会も頑張ろうではありませんか。それでは最後に、校歌『広宣流布の大行進』を合唱致しましょう」

 ん?何だって?

 司会:「タクト!ケンショーブルーこと、佐藤公一隊長!」
 サトー:「ああっ!?ついにケンショーレンジャー、“私立探偵 愛原学”シリーズにも進出だぜっ、あぁっ!?“広宣流布の大行進”、合唱致します!じゃ、頼んます!」

 な、なな、な……!?

 ダン!ドン!ダン!
 パッパラ〜♪パパパパ〜♪パッパラ〜♪パパパパ〜♪

 愛原:「お、おい、何かおかしいぞ!?」
 高橋:「え?これ、校歌じゃないんですか?」
 愛原:「違うだろ!?」

 すると、やっとキャットウォークからマシンガンの銃声が飛んで来た。
 何だかよく知らないが、美人で長身のスナイパーの姉ちゃん達がおフザけ野郎共に発砲している。

 司会:「わ、わわ、私はフザけてなどおりませ……!」

 ビシィッ!

 司会:「ぎゃっ……!」

 ついにアデランス八島総務にも被弾した。
 やっぱそうだよなぁ……。

[同日16:00.天候:晴 東京都台東区上野]

 斉藤秀樹:「全く。いつの間にかカルト教団が侵入していたとは……。この学園のセキュリティも、もっと強化させないとイカンですな」
 愛原:「全くですね」
 執事:「旦那様、顕正会なる団体は高校生から入信可能とのことで、このことが何か関係していると思われます」
 斉藤秀樹:「カルト教団がバイオテロに関わることも多々あったそうです。例えばオウム真理教は、たまたまサリンだのVXガスだったりしましたが、これがウィルスであったとしてもおかしくはなかったわけです」

 さしものオウムも、ゾンビウィルスまで造る技術は無かったわけだ。
 しかし、その技術を持つ組織がテロ組織に与えて、テロ活動を支援したということは昔あった。

 愛原:「今度からは、そういう新興宗教にも気を付けなければなりませんね」

 私達が学校の外で待っていると、リサと斉藤絵恋さんが出て来た。

 リサ:「お待たせー」

 2人は体操服から制服に着替えていた。
 試合中は動き回るのでジャージではなく、Tシャツ型の体操服に下はショートパンツである。
 私の時代はブルマーであったのだが、もはやそういう時代ではないということか。
 もっとも、この学校のショートパンツも、見方を変えれば、昔のがショーツ型だとすれば、ボクサー型と言えなくもない。

 斉藤秀樹:「タクシーを呼んでおきましたから、帰りはどうぞそれで」
 愛原:「そんな……申し訳ないですよ」
 斉藤秀樹:「私達も知らなかったとはいえ、バイオテロに間接的ながら協力してしまった身。今度はバイオテロと戦う側ですよ。愛原さんはいわば、同志です」

 斉藤社長は私にタクシーチケットを渡して来た。
 やってきたのは黒塗りアルファードのタクシー。
 なるほど、これならリサや斉藤絵恋さんも含めて4人になっても窮屈ではないな。
 多分これが、斉藤社長の役員車のドライバーの派遣元であり、お抱え運転手の新庄さんがいた会社でもあるのだろう。
 私達は早速車に乗り込んだ。

 愛原:「先に斉藤絵恋さんを送ってからだな」
 高橋:「はい。……どこですか?」
 斉藤絵恋:「墨田区……」

 斉藤絵恋さんも中学校には徒歩で通学している身である。
 だから、私のマンションとそんなに離れているというわけでもない。
 リサも徒歩通学だからね。
 タクシーの運転手はナビに斉藤さんのマンションの住所と、私の家の住所を打ち込んだ。
 そして、タクシーが出発する。

 リサ:「……ここ!ここでサイトーの捨て身の防衛!」
 斉藤絵恋:「思わず咄嗟に動いちゃったのよ」

 試合の模様は斉藤社長に付いて来た、斉藤家の執事さんが動画撮影していた。
 データをコピーしてもらって、それを観ている。

 リサ:「お兄ちゃん達も観てよ!?よく見て無かったんでしょ!?」
 高橋:「オマエなぁ……」
 愛原:「ああ、そうだな。家に帰ってから見るよ。家のテレビで観た方が大画面でいいだろう」
 斉藤絵恋:「じゃあリサさん、これ貸してあげる」

 斉藤絵恋さんは動画が記録されているメモリーをリサに渡した。

 リサ:「いいの?」
 愛原:「もし何なら、コピーさせてもらってもいいですか?」
 斉藤絵恋:「どうぞどうぞ」
 愛原:「ありがとう」

 それにしても……今は潰れてしまったとはいえ、日本アンブレラはどうして研究員を学校に派遣したりしたのだろうか?
 何かのカムフラージュ?
 倉庫を改造してまで秘密の研究室なんか作って、何を作っていたのやら……。
 まさか教員として派遣された者が、学校で変な研究をしているとは思うまいというカムフラージュだったのかなぁ?

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