[10月9日16:15.天候:曇 栃木県南部某所]
シンディはフランケンを新幹線の外に連れ出すと、そこで格闘した。
しかしフランケンとて、最新技術を持って製造されていたロボット。
パワーもマルチタイプ並みに設定されているせいか、シンディが簡単に押しているということは無かった。
シンディ:「でやぁーっ!!」
これが近接戦の得意なエミリーなら、組み付けば倒せたかもしれない。
だが、そこまで得意ではない(どちらかというと、遠くから狙撃するのが得意)シンディには不利な所もあった。
そこで彼女は超小型ジェットエンジンを吹かして、フランケンを空高くへ舞い上げた。
“鉄腕アトム”のアトムはスイスイ空を飛んでいるが(それでも飛び立った当初はコントロールがおぼつかない描写もあった)、実際には飛行時間はとても短く、航続距離も短いという、非常に使い勝手の悪い代物になっていた。
また、どうしても重量がある為に、自重を軽くできないという欠点もあった。
もし相手が図体がデカくなく、素早さがウリのロイドだったら、シンディは負けていたかもしれない。
いかにも未来的な超小型ジェットエンジンであるが、実際は足枷のようなものだったのである。
しかし今はそのエンジンを最大限に活用し、フランケンを上空へ舞い上げると、今度は地面に叩き付けた。
フランケンが荒れ地に叩き付けられたのを確認したシンディは、その近くへ着陸する。
シンディ:「ん?!」
フランケンが落ちた地面には大きな穴が開いていたが、そこに鉄屑と化したフランケンの姿は無かった。
むしろ足跡が続いている。
シンディ:「驚いたね。本当に私達(マルチタイプ)並みに頑丈なんだ。そこだけはマネしたんだね」
と、そこへ、敷島から無線通信が入った。
敷島:「シンディ、ヤツの足跡を追え!取り逃がしたKR団のメンバーも、きっとフランケンの行動を制御していたわけだから、合流するはずだ!」
シンディ:「了解!」
シンディはフランケンの物と思われる足跡を追った。
それは小高い丘の上に続いていて、その上には廃屋のような建物があった。
シンディ:「あの中にいるのか……」
シンディはまだ燃料が残っていることを確認すると、再びジェットエンジンを起動させて、丘の上の廃屋へと飛んだ。
元は何かの監視小屋だったと思われる廃屋の中には、案の定、フランケンとヤスがいた。
ヤス:「オイラのフランケンがーっ!壊れちまったよーっ!!」
ヤスは稼働を停止したフランケンの体を前に、orzの体勢になって大泣きしていた。
そこへシンディが入って来る。
シンディは右手をマシンガンに変形させていた。
その銃口をヤスに向ける。
シンディ:「そのまま動くな!」
ヤス:「ヒイッ!?」
シンディ:「あんたがKR団のメンバー?」
ヤス:「け、KR団!?何だそりゃ!?俺、KR団なんかじゃねぇよォ!」
シンディ:「…………」
ヤスの慌てた否定ぶりを、シンディはスキャンしてみた。
つまり、ウソ発見器である。
マルチタイプには、そんなものまで搭載されているのだ。
ヤス:「本当だって!俺は確かに金庫破りとか宝石ドロとかはやったけど、KR団の団員じゃねぇよォ!信じてくれよォ!」
シンディ:「……どうやら本当のようね。でもそのフランケンはあなたのなんでしょう?」
ヤス:「お、俺は世話を頼まれただけだよォ!何もかもボスが悪いんだよォ!」
シンディ:「あんたのボスがKR団のメンバーかもしれないね。分かったわ」
ヤス:「な、なあ!俺はサツにでも何でも行くから、フランケンを直してくれよォ!こいつ、意外にいいヤツなんだよ!」
シンディ:「命令はちゃんと聞いていたってわけか。どうせこいつのメモリーだの行動履歴だのは警察に洗いざらい調べられるだろうから、動ける程度にまでは修理されるさ」
シンディはそう言って、今度はアリスにフランケン発見の報告を行った。
シンディ:「……はい、シンディです。フランケンを発見しました。場所は私のGPSを参照願います。現在、稼働停止中。私との戦いにより、バッテリーや駆動部等が大きく損傷したのが原因と思われます。……はい。ここにはKR団のメンバーはおりませんで、恐らくはその下請けギャング団のメンバーかと思われます」
小さな犯罪者集団に力を与える代わりに、そこから報酬を上納させる方式をKR団は取っていた。
栃木県南部が場所である為、埼玉県にも近い。
DCJはわざわざヘリコプターを飛ばしてくれて、アリスやその他技術者を派遣してきた。
シンディ:「マスター!」
アリス:「フランケンはどこ!?」
シンディ:「こっちです!」
シンディが案内すると、アリスらDCJの技術者達はフランケンの姿を確認した。
アリス:「なるほど。確かに、フランケン・シュタインの怪物みたいなヤツね」
技術者A:「駆動部の修理は最低限に。再び暴れ出さないようにな」
技術者B:「……了解」
DCJの技術者達がフランケンの修理に取り掛かっている間、ヤスは固唾を飲んでその様子を見ていた。
だが、そこでふと気づく。
ヤス:「そうだ、ボス!」
シンディ:「ん?」
ヤス:「フランケンが失敗したら、ボス達が駆け付けてくることになってるんだ!すっかり忘れてた!」
シンディ:「すると何だい?それってつまり、フランケンが損傷でもしたら、そういう信号が出るってことなのかい?」
ヤス:「よ、よくは知らねぇけど……」
アリス:「いや、本当みたい。何か、変な信号が出てる」
技術者A:「早く切るんだ!その話が本当なら、KR団が駆け付けてくるぞ!」
だが、遅かったようだ。
ドカドカと銃器を装備したギャング団が、シンディ達に銃口を向けた。
ボス:「フランケンがしくじったそうじゃねぇか、あー?この責任、ちゃんと取るんだろうなぁ?え?ヤスよ」
ヤス:「お、親分……勘弁してくだせぇ……!」
ボス:「それと、オメェか?俺達の仕事を邪魔してくれたターミネーチャンとやらは……」
シンディ:「ええ、そうよ。あなたがKR団の生き残りね?」
ボス:「あいにくと違う。俺達は単なる金集め主義のグループに過ぎねぇ。だが、KR団のことは知ってるぜ。フランケンをくれたヤツが正にそうなんだろう」
ヤス:「お、親分!?俺とフランケンは偶然出会ったんじゃねぇで?」
ボス:「偶然出会った形にしておけば、後腐れも無ェだろうなんて意味不明なことを言っていた。だが、どうやら本当のようだ。悪いがオメェらは生かしちゃおけねぇ。やれっ!」
ボスを除くギャング団がシンディ達に発砲する。
シンディ:「くっ!」
シンディはアリス達の防御を優先した。
シンディの体に銃弾が何発も当たり、人間なら絶対に死んだだろうが、彼女には全く効いていない。
シンディはマシンガンの実弾をわざと捨てると、今度は模擬弾を装填した。
それでギャング団に発砲する。
シンディ:「!!!」
模擬弾なので殺傷能力は無いが、まさか本当に発砲してくるとは思わなかった上、実弾を撃って来たと勘違いしたギャング団達は怯んだ。
その隙にシンディが彼らの動きを封じるべく、スタンガンの如く左手から放つ電流で気絶させたりした。
たが、そんなことしているうちに……。
アリス:「し、シンディ……!」
シンディ:「マスター!?」
シンディの攻撃を掻い潜ったボスが、アリスの頭に銃口を向けていた。
ボス:「意味が分かるか?美人ロボットさんよ」
シンディ:「くっ……!」
ボス:「ご主人様を助けたくば、ここから出て舌を噛め。できなかったら、ご主人様の頭は潰れたトマトになるだろう。10数える!」
舌を噛み切るということは、マルチタイプに搭載された自爆装置の起動を意味する。
いきなり形勢逆転のピンチに陥ったシンディ達だった。
シンディはフランケンを新幹線の外に連れ出すと、そこで格闘した。
しかしフランケンとて、最新技術を持って製造されていたロボット。
パワーもマルチタイプ並みに設定されているせいか、シンディが簡単に押しているということは無かった。
シンディ:「でやぁーっ!!」
これが近接戦の得意なエミリーなら、組み付けば倒せたかもしれない。
だが、そこまで得意ではない(どちらかというと、遠くから狙撃するのが得意)シンディには不利な所もあった。
そこで彼女は超小型ジェットエンジンを吹かして、フランケンを空高くへ舞い上げた。
“鉄腕アトム”のアトムはスイスイ空を飛んでいるが(それでも飛び立った当初はコントロールがおぼつかない描写もあった)、実際には飛行時間はとても短く、航続距離も短いという、非常に使い勝手の悪い代物になっていた。
また、どうしても重量がある為に、自重を軽くできないという欠点もあった。
もし相手が図体がデカくなく、素早さがウリのロイドだったら、シンディは負けていたかもしれない。
いかにも未来的な超小型ジェットエンジンであるが、実際は足枷のようなものだったのである。
しかし今はそのエンジンを最大限に活用し、フランケンを上空へ舞い上げると、今度は地面に叩き付けた。
フランケンが荒れ地に叩き付けられたのを確認したシンディは、その近くへ着陸する。
シンディ:「ん?!」
フランケンが落ちた地面には大きな穴が開いていたが、そこに鉄屑と化したフランケンの姿は無かった。
むしろ足跡が続いている。
シンディ:「驚いたね。本当に私達(マルチタイプ)並みに頑丈なんだ。そこだけはマネしたんだね」
と、そこへ、敷島から無線通信が入った。
敷島:「シンディ、ヤツの足跡を追え!取り逃がしたKR団のメンバーも、きっとフランケンの行動を制御していたわけだから、合流するはずだ!」
シンディ:「了解!」
シンディはフランケンの物と思われる足跡を追った。
それは小高い丘の上に続いていて、その上には廃屋のような建物があった。
シンディ:「あの中にいるのか……」
シンディはまだ燃料が残っていることを確認すると、再びジェットエンジンを起動させて、丘の上の廃屋へと飛んだ。
元は何かの監視小屋だったと思われる廃屋の中には、案の定、フランケンとヤスがいた。
ヤス:「オイラのフランケンがーっ!壊れちまったよーっ!!」
ヤスは稼働を停止したフランケンの体を前に、orzの体勢になって大泣きしていた。
そこへシンディが入って来る。
シンディは右手をマシンガンに変形させていた。
その銃口をヤスに向ける。
シンディ:「そのまま動くな!」
ヤス:「ヒイッ!?」
シンディ:「あんたがKR団のメンバー?」
ヤス:「け、KR団!?何だそりゃ!?俺、KR団なんかじゃねぇよォ!」
シンディ:「…………」
ヤスの慌てた否定ぶりを、シンディはスキャンしてみた。
つまり、ウソ発見器である。
マルチタイプには、そんなものまで搭載されているのだ。
ヤス:「本当だって!俺は確かに金庫破りとか宝石ドロとかはやったけど、KR団の団員じゃねぇよォ!信じてくれよォ!」
シンディ:「……どうやら本当のようね。でもそのフランケンはあなたのなんでしょう?」
ヤス:「お、俺は世話を頼まれただけだよォ!何もかもボスが悪いんだよォ!」
シンディ:「あんたのボスがKR団のメンバーかもしれないね。分かったわ」
ヤス:「な、なあ!俺はサツにでも何でも行くから、フランケンを直してくれよォ!こいつ、意外にいいヤツなんだよ!」
シンディ:「命令はちゃんと聞いていたってわけか。どうせこいつのメモリーだの行動履歴だのは警察に洗いざらい調べられるだろうから、動ける程度にまでは修理されるさ」
シンディはそう言って、今度はアリスにフランケン発見の報告を行った。
シンディ:「……はい、シンディです。フランケンを発見しました。場所は私のGPSを参照願います。現在、稼働停止中。私との戦いにより、バッテリーや駆動部等が大きく損傷したのが原因と思われます。……はい。ここにはKR団のメンバーはおりませんで、恐らくはその下請けギャング団のメンバーかと思われます」
小さな犯罪者集団に力を与える代わりに、そこから報酬を上納させる方式をKR団は取っていた。
栃木県南部が場所である為、埼玉県にも近い。
DCJはわざわざヘリコプターを飛ばしてくれて、アリスやその他技術者を派遣してきた。
シンディ:「マスター!」
アリス:「フランケンはどこ!?」
シンディ:「こっちです!」
シンディが案内すると、アリスらDCJの技術者達はフランケンの姿を確認した。
アリス:「なるほど。確かに、フランケン・シュタインの怪物みたいなヤツね」
技術者A:「駆動部の修理は最低限に。再び暴れ出さないようにな」
技術者B:「……了解」
DCJの技術者達がフランケンの修理に取り掛かっている間、ヤスは固唾を飲んでその様子を見ていた。
だが、そこでふと気づく。
ヤス:「そうだ、ボス!」
シンディ:「ん?」
ヤス:「フランケンが失敗したら、ボス達が駆け付けてくることになってるんだ!すっかり忘れてた!」
シンディ:「すると何だい?それってつまり、フランケンが損傷でもしたら、そういう信号が出るってことなのかい?」
ヤス:「よ、よくは知らねぇけど……」
アリス:「いや、本当みたい。何か、変な信号が出てる」
技術者A:「早く切るんだ!その話が本当なら、KR団が駆け付けてくるぞ!」
だが、遅かったようだ。
ドカドカと銃器を装備したギャング団が、シンディ達に銃口を向けた。
ボス:「フランケンがしくじったそうじゃねぇか、あー?この責任、ちゃんと取るんだろうなぁ?え?ヤスよ」
ヤス:「お、親分……勘弁してくだせぇ……!」
ボス:「それと、オメェか?俺達の仕事を邪魔してくれたターミネーチャンとやらは……」
シンディ:「ええ、そうよ。あなたがKR団の生き残りね?」
ボス:「あいにくと違う。俺達は単なる金集め主義のグループに過ぎねぇ。だが、KR団のことは知ってるぜ。フランケンをくれたヤツが正にそうなんだろう」
ヤス:「お、親分!?俺とフランケンは偶然出会ったんじゃねぇで?」
ボス:「偶然出会った形にしておけば、後腐れも無ェだろうなんて意味不明なことを言っていた。だが、どうやら本当のようだ。悪いがオメェらは生かしちゃおけねぇ。やれっ!」
ボスを除くギャング団がシンディ達に発砲する。
シンディ:「くっ!」
シンディはアリス達の防御を優先した。
シンディの体に銃弾が何発も当たり、人間なら絶対に死んだだろうが、彼女には全く効いていない。
シンディはマシンガンの実弾をわざと捨てると、今度は模擬弾を装填した。
それでギャング団に発砲する。
シンディ:「!!!」
模擬弾なので殺傷能力は無いが、まさか本当に発砲してくるとは思わなかった上、実弾を撃って来たと勘違いしたギャング団達は怯んだ。
その隙にシンディが彼らの動きを封じるべく、スタンガンの如く左手から放つ電流で気絶させたりした。
たが、そんなことしているうちに……。
アリス:「し、シンディ……!」
シンディ:「マスター!?」
シンディの攻撃を掻い潜ったボスが、アリスの頭に銃口を向けていた。
ボス:「意味が分かるか?美人ロボットさんよ」
シンディ:「くっ……!」
ボス:「ご主人様を助けたくば、ここから出て舌を噛め。できなかったら、ご主人様の頭は潰れたトマトになるだろう。10数える!」
舌を噛み切るということは、マルチタイプに搭載された自爆装置の起動を意味する。
いきなり形勢逆転のピンチに陥ったシンディ達だった。
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