報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「リサの臨時休校日」

2023-11-06 20:18:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月25日13時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を営んでいる。
 東京中央学園上野高校で異変が起きたことは、昼のニュースで知った。
 何でも、校内で食中毒事件が起きたらしい。
 報道によれば、1年生の女子生徒20名弱に症状が現れ、救急車で病院に運ばれたとのこと。
 上空からマスコミのヘリが学校を映していたが、緊急車両の中にBSAAの車がいたので、リサが何かやらかしたのかと頭を抱えた。
 そして、午後になってようやく……。

 リサ「ただいまぁ……。お腹空いたァ……」

 と、疲労感と空腹感マックスでリサが帰って来た。

 善場「失礼します。愛原所長」

 NPO法人デイライト東京事務所の善場優菜主任と共に!

 愛原「善場主任!これはどうも、いらっしゃいませ!高橋、すぐにお茶の御用意を!」
 高橋「は、はい!」
 善場「お構いなく。それより、昼食抜きの状態であるリサに、何か食べさせてあげてください」
 愛原「高橋、リサにマック買って来てやれ」
 高橋「う、うっス!」
 リサ「わたし、ビッグマックのLセットがいい」
 愛原「だ、そうだ」
 高橋「わ、分かりました」
 愛原「急いで頼むぞ」

 私は財布の中から1000円札を高橋に渡した。
 高橋はそれを受け取ると、ジャンパーを羽織り、それをポケットの中に入れた。
 そして、階段を駆け下りて行った。

 愛原「パール!」
 パール「こちらへ、どうぞ」

 パールは善場主任とリサを、応接コーナーへ案内した。
 2人はそこに座り、私は善場主任の向かいに座った。

 善場「まず、ニュースは御覧になりましたか?」
 愛原「は、はい。何でも、リサの学校で食中毒事件とか……。まさか、リサが何かしましたか?」
 リサ「先生まで!わたしは白だよ!パンツは黒だけど!」

 リサはそう言って立ちあがると、スカートをまくってみせた。

 

 愛原「お前、もしかしてブルマ穿き忘れて学校行ったのか?」
 リサ「体育が無い日で良かったよ」
 善場「リサ。フザけてる場合ではありませんよ?」
 リサ「はーい……」

 リサは小さくなって、また善場主任の隣に座り直した。

 愛原「本人は潔白を訴えているようですが……」
 善場「ええ。調査の結果、リサは関与していないことが分かりました」
 愛原「おおっ!」
 リサ「ほらぁ!言ったでしょ!」
 善場「もし犯人なら、リサを帰しはしません。むしろ、愛原所長に来て頂くことになります」
 愛原「そ、それもそうですね。では、何が原因だったのでしょうか?」
 善場「昨夜遅くまで、被害者達は実力テストが終わったことの打ち上げと、友人の誕生日パーティーを行っていたそうです。どうやらその時に飲食した食事の中に、食中毒の原因となる物が入っていたようですね」
 リサ「リンが言ってた通りだった」
 善場「ただ、一気に20人近くの女子生徒達が激しい下痢と嘔吐の症状に見舞われた為、校内が汚染されました。よって今日は、臨時休校です。今頃は清掃業者が校内に入り、清掃と消毒を行っているところでしょう」
 リサ「うんうん」
 愛原「そうでしたか。それは何とも気の毒な……」
 善場「驚くべきことは、そのパーティーに『魔王軍』のメンバーも参加していたそうですが、彼女達も同じ物を飲食していたにも関わらず、全くの症状が無いどころか、原因菌も検出されませんでした。むしろ、リサの寄生虫の卵などが検出されたくらいで……」
 リサ「食中毒菌を、わたしの寄生虫がバクバク食べたみたい。行儀悪いけど、おかげで助かったね」
 愛原「お前なぁ……」
 善場「問題は、リサが無断で日本式プラーガを体内で飼育していた上、それを校内の生徒達に植え付けていたことです」
 リサ「まあまあ。おかげで、そういう人達は助かったんだからいいじゃないですか」
 善場「お黙りなさい!あなたは、ガナードやマジニを造るつもりですか!」
 リサ「わたしは学校からイジメを無くそうとしてるだけだよぉ~」

 日本式と頭に付けられているのは、かつてスペインの片田舎で起きたバイオハザード事件で使用された寄生虫プラーガとは、性質は似ているものの、本質は全く異なるからである。
 リサのような大元を『支配種』とし、そこから卵や幼虫を寄生された物を『ガナード』という被支配種にするというもの。

 リサ「わたしが『魔王軍』にしたのは、全員がそういうわけじゃないけど、絶対イジメっ子やイジメられっ子になりそうなコ達ばかり。それをわたしが寄生虫でもって、被害が出ないようにしてるだけ。だからうちの学校、わたしがいる間はイジメが無いはずだよ。……まあ、寄生虫が入っていない人達ではイジメがあるかもしれないけど」

 愛原「オマエなぁ……」
 リサ「『花子さん』と約束したんだ。あの学校からイジメを無くすって」
 愛原「ブルマの復活もか?」
 リサ「あ、それは先生の為。先生、それが好きでしょう?」
 愛原「実行ありがとさんよ!」
 善場「コホン。まあ、そういう性癖はリサとの間だけでどうぞ。話を本題に戻します」
 愛原「あ、すいません」
 善場「リサが卒業と同時に、日本式プラーガは薬殺処分とします。20年前のスペインの事件の時は、寄生虫が成虫化した場合はもう手遅れという扱いでしたが、今はガナード化しても人間に戻せる特効薬がありますので」
 リサ「科学の進歩も凄いねぇ」
 愛原「オマエが言うな」

 しばらくして、高橋がリサの昼食を買って来た。

 高橋「お待たせしましたー」
 愛原「ありがとう。お釣りは駄賃にやるよ」
 高橋「あざっス!」
 リサ「あざっス!」
 愛原「リサ、向こうの給湯室で食え」
 リサ「はーい」

 リサは高橋からマクドナルドの袋を受け取ると、再びパンツが見えるほどスカートをひらりと靡かせ、勢い良く席を立った。
 そして、給湯室へ走って行った。

 愛原「あいつのスカートも短いな……」
 高橋「先生の為らしいっス」
 善場「……愛原所長がそれだけ上手くリサを制御している、と解釈することにしましょう」
 愛原「お、恐れ入ります」
 善場「食中毒菌を食べてしまうほどの寄生虫を、今後そういったことに役立てられないかという意見があるのもまた事実なのです。春休みの藤野またはその事前検査では、そのことについても調査対象に追加されると思います」
 愛原「分かりました」
 善場「最後に、今週の歯科検査のことについて、打ち合わせをさせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
 愛原「全然大丈夫です」

 リサのヤツ、学校で色々なことをやっているようだが、少なくとも悪さだけはしていないようでホッとした。

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