報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「BOWの北紀行」 2

2021-11-30 19:58:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月2日09:00.天候:晴 宮城県仙台市泉区泉中央 レンタカーショップ]

 リサ達は泉中央駅から徒歩数分のレンタカーショップへ向かった。
 地下鉄泉中央駅周辺は、『泉副都心』と呼ばれ、仙台市北部地域の中枢として栄えている。
 愛原達がレンタカーを借りる手続きをしている間、リサは周辺の飲食店に目を輝かせていた。

 リサ:「おー!ホルモン!焼肉!」
 愛原:「この仕事が上手く行ったら、御褒美として焼肉食べ放題にしてやるぞ」
 リサ:「!」

 私の言葉に、リサは突然真顔になる。
 そして、こう言った。

 リサ:「『その言葉、後悔させてみせよう』」
 愛原:「は?」
 高橋:「某ウマ娘みてーなこと言ってんじゃねぇ!」
 愛原:「バカなこと言ってないで、早く行こう。高橋、運転シクヨロ」
 高橋:「了解です」

 高橋は運転席に、愛原は助手席に、リサは愛原の後ろに座った。

 リサ:「しゅっぱつおしんこー!」
 愛原:「クレヨンしんちゃんか!」

 春日部帰りの作者。

 高橋:「よっしゃ!きゅうりの糠漬けーっ!」
 愛原:「オマエもか!」

 こうして、リサ達を乗せたコンパクトカーが走り出した。
 その頃、その周辺の裏通りでは……。

 斉藤絵恋:「パール、早く!リサさん達が出発しちゃうよ!」
 パール:「慌てなくて大丈夫です、御嬢様。マサ達のルートは、おおよそ把握済みです。恐らくマサは将監トンネルを通り、そこから4号線を北上して、東北道に入る公算は大きいです」
 絵恋:「乗り物はどうするのよ!?」
 パール:「まもなく到着します」

 すると、どこからともなく、バイクの爆音が聞こえて来た。

 パール:「来ましたよ」

 そこへやってきたのは、サイドカー付きの大型バイク。
 そしてもう1台、大型バイクがやってきた。

 パール:「遅かったじゃねぇか」

 そして、絵恋に対してとはまるで別人のように口調がガラリと変わった。

 女性A:「悪い悪い。ちょっち寝坊してさ」
 女性B:「約束のバイク、持ってきたよ。……てか何で、サイドカーいるの?」
 パール:「仕事先の御嬢様が乗られるかんな」
 絵恋:「ど、どうも……」

 女性達は被っていたフルフェイスのヘルメットを取った。
 どちらもパールと大して歳の変わらぬ20代であったが、明らかに目つきなどが良くない。
 それはパールも同じであるが……。

 女性A:「へえ!埼玉で大金持ちの家でメイドやってるって本当だったんだ!」
 女性B:「『切り裂きパール』がねぇ……」
 パール:「その御嬢様の命令で、ある男を追ってるんだよ」
 絵恋:「パール、違うでしょ!」
 パール:「あっと!失礼しました!」
 女性A:「こんな大金持ちの御嬢様に、こういうバイクに乗せていいもんなの?」
 パール:「特に乗り物の指定は無かったから。ですよね?御嬢様?」
 絵恋:「ま、まあ、確かにそれは指定してなかったけど……。私、バイクなんて免許持ってないよ?」
 女性A:「何言ってんスか、おじょー様?免許なんて無くても、バイクはちゃんと走れまっせ?」
 女性B:「そうそう。女は度胸!」
 絵恋:「ええっ!?」
 パール:「昔の話ですよ。今は私も、こいつらもちゃんと免許持ってますから、御安心ください」

 そう言ってパールは、自分の免許証を見せた。
 相変わらず顔写真の目つきは悪く、明らかに殺人事件を行っていそうなものだった。
 しかし、確かに免許の区分に『大型自動二輪』とあった。

 女性A:「さすがに大人んなったら、免許取んなきゃダメっしょー」
 絵恋:「でも、私は免許持ってないし……」
 バール:「大丈夫ですよ、御嬢様。お嬢様には、こちらに乗って頂きます」

 パールはサイドカーを指し示した。

 パール:「こちらのサイドカーは、言わば車の助手席のようなものなので、ここに乗る分には免許は要りません」
 絵恋:「そ、そうなんだ。ちょうどオープンカーに乗る感覚かしら?」
 パール:「ま、そんなところです。しかし、オープンカーとは決定的に違う所があります」

 パールはサイドカーの中から、ヘルメットを取り出した。
 パール用のは黒いオープンフェイス型のものだったが、絵恋用は……。

 絵恋:「あら?かわいい」
 パール:「おー、良かった。御嬢様が気に入ってくださった」
 女性A:「いいチョイスだろ?」
 女性B:「これで御嬢様が気に入ってもらえなかったら、どうするんだ?」
 パール:「あ?オメェラ、ガタケ(泉ヶ岳の愛称)まで片道ドライブすっぞ!?」
 女性A:「か、カンベンしてくれよ~」
 女性B:「こんな所で『切り裂きパール』は怖過ぎるって!」
 絵恋:「ピンク色と花模様がいいわね」

 絵恋はそう言って、オープンフェイス型のヘルメットを被った。
 パールは黒いサングラスを掛ける。

 パール:「御嬢様もこれを」
 絵恋:「私はゴーグル?」
 パール:「直接風が当たりますので」
 絵恋:「それもそうか」

 絵恋はゴーグルを着けた。

 パール:「それじゃ、しばらく借りとくぜ」
 女性A:「いいよ。で、これで借金の方は……」
 パール:「分かった。もう少しだけ待ってやる」
 女性A:「あざーっス!」
 女性B:「よっ、大統領!」

 2人の女性は、もう1台のバイクに2人乗りして去って行った。

 絵恋:「お金貸してるの?」
 パール:「まあ、少し……。それでは、早いとこ向かいましょう」

 絵恋はサイドカーに乗り、パールはバイク本体に跨った。
 そして、エンジンを掛けて、一気に吹かす。

 パール:「では、出発します!」
 絵恋:「おおっ!?凄い加速!」
 パール:「一気にマサ達に追い付いてみせます!」
 絵恋:「バレないようにね!」
 パール:「分かってます!」

 この2人も県道22号線(仙台泉線)に出ると、そのまま北上して将監トンネルに突入した。
 このトンネルを出ると、国道4号線との交差点にぶつかり、それを左折して少し走れば、もう東北道の泉インターである。

 絵恋:「待っててねー、リサさん」
 パール:「待ってろよー、マサ」
 絵恋:「ハグしちゃう
 パール:「ぶっ飛ばす

 この時、高橋とリサは一瞬、背筋が寒くなったという。

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