報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“魔女エレーナの日常” 「あっぱれジャパン」

2019-03-19 18:57:09 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月12日20:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル1Fフロント]

 エレーナ:「3名様で御予約の日蓮正宗報恩坊様ですね。お待ちしておりました。それでは4Fの和室を御用意させて頂きましたので、ごゆっくりどうぞ」
 カイドウ:「よろしく」
 いおなずん:「あと1人は誰だい?」

 雲羽:「カントクがカメオ出演w」
 多摩:「やめなさい」

 宿泊客達がエレベーターに乗り込むと同時にオーナー登場。

 オーナー:「エレーナ、カバーありがとう」
 エレーナ:「いえいえ。後で残業代支給してもらえれば」
 オーナー:「もちろんだとも。追加契約分は払うから」

 エレーナは契約社員か?

 エレーナ:「本日御予約のお客様方は、全てチェックインしました」
 オーナー:「了解。あとは上がっていいよ」
 エレーナ:「はい。お疲れさまでした」

 4階まで上がって行ったエレベーターが3階に下りて止まり、少ししてから1階に降りて来た。

 鈴木:「やあ、エレーナ。待っていたよ。早いとこ食べに行こう」
 エレーナ:「本当に絶妙なタイミングで降りて来るね」
 鈴木:「愛の力は稲生先輩より強いのダ」
 オーナー:「ハックション!」

 鈴木がクサい台詞を言ったせいか、オーナーがくしゃみをした。
 と、その時、フロントの電話が鳴る。
 どうやら内線電話のようだった。

 エレーナ:「はい、フロントでございます」
 いおなずん:「上の階から女性のすすり泣く声が聞こえて来るんだけど、これ塔婆供養した方がいいパターン?」
 エレーナ:「は?」

 エレーナは咄嗟に宿泊者名簿を見た。
 報恩坊の面々の部屋の真上には、マルファ組が宿泊している。

 エレーナ:「と、当ホテルにおいて怪奇現象の類は一切ございません」
 鈴木:「ウソだぁ。この前、キミの後輩に寝込みを襲われたぞ?『せせ、先輩にセクハラしたヤツは殺すぅぅぅぅ!!』なんて酔っ払った勢いで!」
 クロ:「ニャーッ!!」
 鈴木:「うわっ!何するんだよ!?俺も日蓮正宗の信徒だぞ!?」

 エレーナにとって都合の悪いことを言い出した鈴木の口を塞がんと、飛び掛かる使い魔の黒猫クロ。

 オーナー:「鈴木様、うちのスタッフにセクハラされるのは困ります」
 鈴木:「も、もちろんプライベートの話ですよ。ちょっとしたスキンシップですって」

 オーナーは5階の廊下を映した防犯カメラの映像を見た。

 オーナー:「エレーナ。505号室の前に誰かいるぞ?」
 エレーナ:「えっ!?」
 鈴木:「やはり女の幽霊の怪奇現象……」
 エレーナ:「あれはシンシア!何やってるんだ!」

 エレーナは急いでエレベーターに乗り込んだ。

 鈴木:「あっ、俺も行こ!」
 オーナー:「鈴木様、あれはエレーナの仲間です。命の保証はしかねますよ?」
 鈴木:「何で俺だけホラーパターンなんだよ!?」

 エレベーターで5階に上がったエレーナ。

 エレーナ:「こらっ、シンシア!何やってるんだ!下の階から苦情来てるぞ!?」
 シンシア:「部屋に入れない……グスングスン……」
 エレーナ:「は?何かやらかしたの?」
 シンシア:「先生がいないのよぉ……シクシク……」
 エレーナ:「私はずっとフロントにいたけど、マルファ先生は……っと。大魔道師をヒヨッコの私達が監視しようったって無理か。それにしてもだよ。それにしても、弟子を置いて行くなんて、自由人もいい所だな。分かった。一応、スペアキーがあるから、それで部屋の鍵は開けるよ」

 と、そこへエレベーターホールにある内線電話が鳴った。

 エレーナ:「何だ?多分、私宛てか。とにかく、フロントまで一緒に来て」
 シンシア:「うん……」

 小さなホテルなのでエレベーターは1機だけしか無い。
 それでも一応、エレベーターホールと言う。
 エレーナは内線電話を取った。

 エレーナ:「はい、もしもし?」
 鈴木:「あー、鈴木だけど。5階が危険地帯で直接行くのはタブーなら、電話ならいいってことだよな?」
 エレーナ:「本来はそれもオススメできないよ?で、なに?」
 鈴木:「オーナーがさっき電話を取ったんだけど、マルファ……何とかって人から」
 エレーナ:「マルファ先生か!で、なに?何か緊急でも?」
 鈴木:「ああ、そうらしいな。赤ランプだの青ランプだの、色々点滅して大変らしい」
 エレーナ:「何だ?警察沙汰?それとも消防沙汰かな?」
 鈴木:「取りあえず、伝言だけしてくれってことだから伝言するよ。『確変が止まらない。どうしよう?』」
 エレーナ:「パチンコしてんのか!大魔道師のくせに!」
 鈴木:「『面白そうなジャパニーズ・カジノを見つけたんで、寄ってみたら、黄色いビキニを着たシンシアを明るくしたようなキャラクターが出て来るマシンがあって、試しにやってみたらタコさんとかカニさんとかが出て来て、いつの間にか大当たりしていた』」
 エレーナ:「“海物語”じゃん!黄色いビキニを着てるのはマリンちゃんだろ!?……あー、確かにシンシアだわ」
 シンシア:「?」
 エレーナ:「誤解されるから、そのポニテは今はやめとけ!」
 シンシア:「???」
 鈴木:「『代打ちにエレーナ来てくれる?』だそうだ。御指名だぞ?」
 エレーナ:「知らねーよ!誰が行くか!」

 雲羽:「じゃ、俺行こう。俺行こう」
 多摩:「撮影中!」

 エレーナはシンシアを伴って1階に降りた。

 エレーナ:「大魔道師の風上にも置けない!」
 オーナー:「取りあえず“島唄”がラウンド曲として使われる機種だから、沖縄関係だと思うね」
 エレーナ:「オーナーまで何ですか!」
 オーナー:「マルファ様から電話を受けた時、聞こえて来たんだよ」
 シンシア:「私の気を紛らわす為にマカオのカジノに連れて行ってくれたの。そしたら、東アジア魔道団と『流血の惨』に……」
 エレーナ:「マカオのカジノも、あいつらの拠点みたいなものだってよ。よくそんな所行ったな!」
 シンシア:「マルファ先生、カジノが大好きだから……」
 エレーナ:「カジノで稼ぐタイプの大魔道師か……。何かヤだな……」
 鈴木:「あの、それより夕飯……」
 エレーナ:「そうだったな。シンシア、どうする?この男が飯を奢ってくれる約束なんだけど、乗ってみるかい?」
 シンシア:「お、男……!?」
 エレーナ:「美人魔道師2人に飯をご馳走できて功徳だぞ、鈴木!?」
 鈴木:「そ、それもそうだ」
 エレーナ:「あれだろ?稲生氏とマリアンナがどうして上手く行ってるのかの秘密を探りたいんだろ?もしかしたら、こいつも何かヒントになるかもしれないぞ?」
 シンシア:「な、なるほど……」
 鈴木:「え?何の話?」
 エレーナ:「いいから!こいつ、寿司奢ってくれるらしいぞ?それでいいな?」
 シンシア:「Sushi...エビ……カニ……タコ……タコ!」
 エレーナ:「お前もタコが好きなのか???」
 鈴木:「だから何の話だよ?」

 両手に花の鈴木。
 何気に稲生よりもリア充な鈴木なのだった。

 鈴木:(顕正会辞めて良かった……!)
コメント (3)
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“魔女エレーナの日常” 「エレーナ、ボケ役なのにツッコミ」

2019-03-19 10:10:47 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月12日17:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル1Fフロント]

 エレーナ:「いらっしゃいませ」
 マルファ:「やあ、エレーナちゃん!こんにちは!」
 エレーナ:「マルファ先生!」

 一期生のグランドマスターの1人、マルファがぶらりとワンスターホテルに入って来た。
 ウェーブの掛かった金髪を束ねて、右肩の前に出しており、花粉症対策の眼鏡のようなデザインのそれを掛けている。
 イリーナが奔放であるならば、こちらは完全なる自由人といった評判のマルファが何しに来た?

 マルファ:「たこ焼き2つもらえる?たこ抜きで」
 エレーナ:「それ、たこ焼きって言いませんよ!?あの、森下駅前の交差点の所に“銀だこ”がありますけどね。ここ、ホテルなんで」
 マルファ:「部屋1つ空いてるかな?ベッド抜きで」
 エレーナ:「漫喫行けばいいじゃないですか!あとは個室ビデオとか!」
 マルファ:「エレーナちゃん、ナイスツッコミ 本編じゃボケ役なのにねぇ……」
 エレーナ:「ボケとツッコミ、両方できて一流の芸人……じゃなくて魔道師です!もう、仕事中なんですから邪魔するなら帰ってください」
 マルファ:「宿泊予約を入れてるのに帰れと?」
 エレーナ:「予約されてるんですか!?いや、それならいいんですけどね!……え?あれ?マルファ先生のお名前で御予約……」
 マルファ:「1年先で予約してるよw」
 エレーナ:「今日じゃねーのかよ!じゃ、何しに来られたんですか?まあ、部屋なら空いてますから、今日なら御予約無しでも大丈夫ですけどね?」
 マルファ:「私の名前での予約なら1年先だけど、今日の予約なら弟子の名前で予約してるよ」
 エレーナ:「弟子!?」

 そこへバタバタと入って来る魔女1人。

 シンシア:「お待たせしました、先生!足速いですね!」

 息せき切って走って来るシンシア。

 マルファ:「そりゃもう。地面を滑るようにして歩いて来たからね。もう皆、見るわ見るわ」
 エレーナ:(本当に滑りながら歩いて来たんじゃ、そりゃ目立つな……)

 もはや突っ込むのをやめたエレーナ。

 エレーナ:「なに、シンシア?マルファ先生の所へ移籍したの?」
 シンシア:「やっと謹慎が解かれて……」
 エレーナ:「だからジルコニアとかウェンディとかとつるむのはやめとけって言ったんだよ」

 マリアをイジメた廉で破門処分を食らった極悪魔女が2人いた。
 エレーナがその集団を空爆したシーンがあるが、ついでにマリアまで巻き込んだ廉でエレーナも始末書を書いている。

 シンシア:「私の名前でツイン1つ予約できてる?」
 エレーナ:「ああ、シンシアだったのか。えーと……ツインBの部屋だね。毎度あり」
 マルファ:「やっぱりタコさんが出て来るシューティングゲーム……」
 エレーナ:「“ツインビー”じゃないです!しかも違うし!」

 “パロディウス”ね。

 マルファ:「タコは地球を救う」
 エレーナ:「やかましいわ!……えーと、それでは今日から一泊のご利用で、料金が……」
 マルファ:「大きいお金しか無いんだけどいい?」
 エレーナ:「あ、大丈夫です。お釣り出します」
 マルファ:「はい」

 マルファはローブの中から純金インゴッドを取り出した。

 エレーナ:「大き過ぎるな!どう見てもデカ過ぎるぞ、おい!」
 マルファ:「ファフニールの洞窟からガメて来たレア物w」
 エレーナ:「それ呪い掛かってるじゃないですか!なに他の組の弟子をトラップに掛けようとしてるんですか!現金で払ってくださいよ!現金で!日本円ですよ!?」
 マルファ:「注文の多い料理店ね」
 エレーナ:「ホテルです!ネコはうちのクロしかいませんから!」
 マルファ:「それじゃ、2万ウォンでw」
 エレーナ:「円だっつっんだろ、コラ!」

 金の為ならグランドマスター相手でも怖じないエレーナだった。

 エレーナ:「あー、疲れた……」

 ようやく宿泊料金を徴収し、部屋の鍵を渡したエレーナ。
 エレベーターで上がって行くのを確認したエレーナは、フロントの机に突っ伏した。

 エレーナ:「同じ魔道師相手は疲れるよ……。まだ人間相手の方が楽でいい……」

 と、またエントランスの自動ドアが開いた。
 パッと顔を上げるエレーナ。

 エレーナ:「いらっしゃいませ」
 鈴木:「やあ、エレーナ」
 エレーナ:「何だ、あんたか」
 鈴木:「おっ、宿泊客を『あんた』呼ばわりするとは、さすが殿様経営だな」
 エレーナ:「常連になってくれるのは嬉しいけど、目的がねぇ……」
 鈴木:「いいじゃないか。今日はオーナーが外出先から帰って来るまでの繋ぎ役だろ?つまり、事実上の短時間バイトだな。終わったら一緒に飯でも食いに行こうよ。俺が奢るから」
 エレーナ:「まあ、そういうことなら付き合ってやってもいいかな」
 鈴木:「ホワイトデーのプレゼントも何がいいか相談しないとな」
 エレーナ:「ホワイトデー?ああ、もうそんな時期か」

 エレーナはカレンダーを見た。

 エレーナ:「てか私、バレンタインデーに何もあげてないよ?」
 鈴木:「いいんだよ。その代わり、プレゼントは俺が決めてやる」
 エレーナ:「稲生氏にもこれくらいの積極性があったらねぇ……」
 鈴木:「稲生先輩が何だって?今夜は羽田空港のホテルに泊まるんだろ?」
 エレーナ:「何で知ってんのよ?」
 鈴木:「日蓮正宗のネットワーク、ナメんなよ」
 エレーナ:「顕正会時代のスキルだろ、どうせ。……えーと、シングルBの部屋だね。今日は皆して高い部屋に泊まってくれて助かるよ」
 鈴木:「ベッドのサイズがシングルかセミダブルかの違いだろう?」
 エレーナ:「あと、部屋の空調が自由に設定できるかどうかの違いもあるよ」
 鈴木:「変なところで差つけてるな」

 鈴木は宿泊料金を支払った。

 エレーナ:「人間は素直に払ってくれるから楽だねぇ」
 鈴木:「何だい?このホテルは人外も泊まるのかい?」
 エレーナ:「金払いと宿泊約款を守ってくれたら、ドラゴンでも宿泊させるよ」
 鈴木:「で、今日ドラゴンの宿泊予定は?」
 エレーナ:「入ってないw」
 鈴木:「だろうな。オーナーが帰って来るのは?」
 エレーナ:「20時くらいだね」
 鈴木:「意外と遅いな。まあ、いいか。今度は寿司でも奢るよ」
 エレーナ:「おお〜!さすがスーさん、太っ腹〜!」
 鈴木:「『あんた』から『スーさん』かよw」
 エレーナ:「それに飲み代もプラスしてくれる?」
 鈴木:「もち」
 エレーナ:「今夜の予定、採用!……因みに、因みにだよ?ホワイトデーは何をプレゼントしてくれるの?」
 鈴木:「下着上下
 エレーナ:「このヤロー」
 鈴木:「魔女らしく、今度は黒いのでどうだ?」
 エレーナ:「魔女じゃなくて魔道師だし。それに、魔道師が全員黒い服や下着を着ていると思うなよ?」
 鈴木:「エレーナは?黒いスカートに黒いベスト、ホウキに乗る時は黒い帽子……」
 エレーナ:「あれはたまたま」
 鈴木:「じゃ、今はいてる下着の色は?」
 エレーナ:「この前あんたからもらった青……って、コラ!」
 鈴木:「着用頂き、ありがとうございます」
 エレーナ:「やかましいわ!ほら、鍵あげるから、さっさと3階に行って!ああ、あと5階は違う意味で危険だから……」

 エレーナがエレベーターの方を見ると、シンシアが呆然と立ち尽くしていた。

 エレーナ:「ん?何だ?」
 シンシア:「え、エレーナが……!エレーナが男と親し気に話してるぅ!?先生ぇぇぇぇっ!エレーナがぁぁぁぁぁぁ!!」

 シンシアは慌てて非常階段を駆け登って行った。

 鈴木:「エレーナと似た格好をしているということは、お知り合い?」
 エレーナ:「あのバカ!5階には絶対行くなよ!?絶対危険だから!」
 鈴木:「あ、ああ」

 鈴木は呆気に取られながらエレベーターに乗り込んだ。

 鈴木:(何か知らんが、確かに禍々しさを感じた。なるほど。あれが本物の魔女か……。エレーナやマリアさんとは違うなぁ……)
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