最近はキーボードやタッチパネルばかりで、ペンを握る機会が随分減った。
なので、たまにペンを持つと、頭の中の書きたいスピードに、実際のペン先のスピードが追いつかず、
そのリズムの不整合さ加減がイヤになったりする。
キーボードの操作感の違うPCに変わった今もよく似た感じ。
指先が覚えているいつもの位置に、いつものキーボードがなかったりする。
私は「半角スペース」を入れたいときに、「Shift+スペース」で入力していたのだが、どうも東芝のキーボードではそれが使えないみたいだし。
テンキーにある「Enter」と同じ縦長長の「+」キーも邪魔だし、[backspace」や「Delete」キーもよく打ち間違える。
というわけで、思ったようにキー操作で言葉を並べ立てていくことができなくて、少しイライラしていたら、
この静謐な動画を教えていただいた。
音声はないが、書家の筆使いや息使いが感じられるような動画です。
湧き出るインスピレーション、瞬間的な閃めき、を一気に文字に込めるかのようなスピード感をイメージしていたのだが、違っている。
柿沼氏の筆使いは、ときに筆を止め、次の展開を考え、筆の行く方向を探るような間合いを持ちながら先へ進んでいく。
丁寧な間合い、次の展開を探るようにして、場と対峙する姿勢、
これはキーボード使いをはやる気持ちを抑える効果があるばかりか、
会話や、佇まい、ゴルフのリズムに至るまで相通ずる何かがあるのではないか。
堪えるようなタメのワンステップを入れることができるかどうかで、
一本調子になることを防ぎ、さまざまな分岐点をこしらえ、深みや多様な可能性が生まれる。
大げさに言うと、そのゲームの流れを支える自在なタイミングの拍こそ、自分に欠けているものではないのか、と思えてきた。
書家 柿沼康二 臨書 李キョウ雑詠残巻 伝嵯峨天皇(2009年)
動画だらけになってしまいますが、書にも、音楽と同じような息使いを感じました。
音を探るように鍵盤を弾くピアニストにも似た魅力を感じます。(エレーヌ グリモー~ 憑依のピアニスト)
出来上がった作品を観るだけでは前景化してこない、生き活きと運動する感性。
書道家矢部澄翔・百花
音楽と人間と宇宙~世界の共鳴を科学する~ | |
エレナ・マネス | |
ヤマハミュージックメディア |
以前ちょこっと触れながら、ブログに起こせていない本。
耳が聴こえない、パーカッション奏者、デイム エルヴィン グレニー。
彼女は、身体で振動を感じる―低い音は下半身で、高い音は上半身で―ことが、演奏の鍵になっている、と 言います。
"人はたいてい音を聴くことと振動を感じることを区別する傾向にある"、とも指摘しています。
Dame Evelyn Glennie & City Chamber Orch of HK perform Vivaldi's Concerto in C major RV 443, Mov 2
振動の違い、すなわち、振動の大きさや周波数、位相・タイミングのずれや違いみたいなものを感じることができるか、
まずはそこに注意を向けることができるかどうか、なのだと思います。
ゲームを変える自在なタイミングの拍をとる、ことができるようになるために。
( ↓ ) これです。あなた、内的リズムと外的リズムの同調を無視して叩きに行くからだめなのよ。
(Choice2012秋号より)
書道に始まり、音楽からゴルフに至るまで、テンコ盛りになってしまいましたが、
テーマは、振動の同調とリズムについてです。
内的リズムと外的リズムを同調させること、
そして、リズムの違いやずれに気づき、適切に修正できること、そのようなテーマはジャンルを超えるからです。
( ↓ ) 周期(周波数)が異なる時計の二つの振り子は、一緒に置かれるとやがて同じ周期で動くようになる。
ロウソクの火の揺らぎや蛍の発する光まで自然界の至るところでこの同期現象は見られる。(同期現象について)
流体力学などで説明されることもあるが、
二つの物体(人間)が同じ周波数で運動するようになる「引き込み」とも呼ばれるこの不思議な現象は、ややもするとオカルト的に採り上げられる。
しかし、生命の生まれる場の不思議にも通じるものがあって興味深い。
(場を考える ~ 意識や生命の見える化に成功した。 )
ハード サイエンスがすべてではないと思う。
おもしろい。ばらばらの周期で音を立てていたメトロノームたちの音がやがて揃い始める。
メトロノーム同期 (32個)
あれがなかったら、今週は書くのやめとこかな、気持ちのらないし、って思ってましたから。
ありがとうございます、少しリセットできたような気がします。
メトロノームも面白いですね!