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ベトナム戦争 民衆にとっての戦場

2011年06月07日 09時56分25秒 | 政治関連・評論・歴史・外交

吉澤 南氏の著書。

吉澤氏は1943年東京生まれ、71年東京都立大学大学院修士課程修了、茨城大学人文学部教授などを歴任、2001年逝去された。

ベトナム戦争とは一体どんな戦争だつたのか? アメリカでベトナム戦争経験や兵役拒否など話題にされるが、全く無知のことなので本を読んでみることにした。本書は色々な人(アメリカ人、日本人)の文書資料や吉澤氏のベトナムの友人を通したベトナム人へのインタビュー等を参考に書かれてをり、ベトナム戦争全体を知るのに良いと思ふ。

読みながら、再三思つたのは

「アメリカッて、ベトナムに何をしたくて戦争したのか?」

といふ疑問である。抗仏戦争からなぜかアメリカが出てきて、フランス兵が撤退したあとに宣戦布告もせずに攻撃したやうであるが、アメリカは何が欲しかつたのか? ベトナムに何をしたかつたのか?

全然わからない。

抗仏戦争は、1954年締結されたジュネーブ協定によりベトナムの主権と独立を承認した上で

1)フランス軍とベトミン軍との停戦、 2)両軍の引き離しのための臨時的な軍事境界線としての北緯17度線の設定、 3)ならびに停戦時に南ベトナムにいるベトミン軍の北ベトナムへの集結、北ベトナムにいるフランス軍の南ベトナムへの集結・全フランス軍の撤退、 4)2年後の1956年におけるベトナム全土にわたる普通選挙の実施、 5)選挙結果を尊重した民族の再統一・17度線の撤廃

を定めてゐた。ところがフランスが撤退してアメリカが入つてくると 4)の普通選挙の実施が南ベトナム政府から拒否されその結果 5)も葬りさられて北緯17度線だけが残つた。(P207-208)

アメリカは南ベトナム政府を「傀儡」政府のやうにしてゐたのかと思ひつつ、キューバのバチスタ政権の時と同ぢやうなことをしてゐたのかなと思つた。

キューバの場合はアメリカに利権を生み出すバチスタ政権を支持し、キューバ人のための利益と権利を主張し戦つたカストロやゲバラの革命の前にバチスタが逃亡した。その報復とも言ふべき経済封鎖や攻撃をキューバに始めて今にゐたる。

ベトナムの場合も、南ベトナム政府を通じて何らかの利権を得やうとしたのだと推測するが、一体何をしたかつたのか、イマイチわからない。 もふ少し色々な資料を読み進めればはつきりするかもしれない。

アメリカ人の中でもベトナム戦争に対して疑問を持ち、ニューヨークタイムスなどが暴露記事連載キヤンペエンを行なつたことから考えると、疑問が解けるか不明である・・・

表紙の写真で、枯葉剤による被害を受けたマングローブの林の写真がある。アメリカはベトナム戦争において「無差別爆撃(ジェノサイド)」と「自然環境破壊(エコサイド)」を行なつたが、キューバに対しても同様のことをしてゐる。キューバの幼稚園やデパートへの爆撃、特産品である葉巻畑への病原菌撒布攻撃などである。

アメリカは戦争をすると、大統領の支持率が上昇する。「正義」を振りかざしてゐるが、アメリカのいふ「正義」は「アメリカのためになること」だけであり、世界に共通するための行為とは違ふやうである。

国益も大事なのかもしれないが、色々な国が世界にある以上お互いの利権を尊重しつつ正義を主張することが大事だと思ふ。

アメリカがテロ攻撃を受けるのは、それが出来てゐないからだと思ふ・・・・・・ そんなアメリカに「日米同盟」の名の下に軍事施設とカネを提供してゐる日本の現況は変はるべきことだと思ふ・・・・・・ 



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