テッポウユリ

例年、お盆も過ぎれば朝夕は少し涼しくなる。
今年は期待通りにはいかないようだ。

庭のあちこちでテッポウユリが咲いている。
ユリは6月ごろ咲くような気がして調べてみると、6月から8月とあるのでギリセーフ。
しかしこの炎天下にユリは似合わないような気がする。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　


連日の猛暑で、熱中症で亡くなる人が増えてコロナどころではない。
エアコンを付けずに亡くなる方も多いと聞くが、少し痴呆が出始めた母を介護している友人が言うには、エアコンを付けっぱなすと喉が痛くなるし、消すタイミングや窓を開けて扇風機に切り替えることが年寄りにはできないから、一人暮らしの年寄りがエアコンを付けないのも分かるという。

高齢化社会に向かう日本では年寄りの一人暮らしはますます増えるだろう。
私もその友人も親と一緒に生活をしているから親たちはいいが、自分たちの老後に思いをはせると惨憺たる気持ちになる。

彼女の唯一の趣味は乗り鉄。
一か月に一回はどこかに出かけて新しい路線を開拓していた。
今は母親がショートステイに行っても、コロナでどこにも出かけられない。
「いつまで待てば出かけられるようになるのか分からないからストレスがたまる一方だ」と嘆いていた。
お盆前にショートステイ先で「お盆に東京や大阪から親族が帰省される方はショートステイはご遠慮ください」と言われたらしい。
そう言われれば、子や孫の帰省をやめてもらった家族も多いだろう。
コロナが人間関係をゆがめている。

コロナに感染したことで退学した高校生や、コロナが流行る前にイギリスに留学していた娘を帰国させた後２週間外出させなかったのに、その後外出すると周囲からイギリスから帰ってきたと白い目で見られ、娘が実家を離れた後も、「あの人は娘をイギリスに留学させていた」とまるで悪いことをしたように陰でささやかれているとか。
何の落ち度もなかった人たちが互いに疑心暗鬼で傷つけあっている。

「今後経済の落ち込みは簡単には回復しない。弱い立場の人たちだけが苦しむのではなく、助け合う社会にならなければならない」と、ある経済学者が言っていた。
そういう社会をつくるような政治が必要だと思う。