つめたいあめ

昨日から冷たい雨が降り続いている。
今夜は雪になるらしい。


それは突然だった。
聞いてみると本人にも突然だったようだ。

なぎぃが仕事を辞めると言い出した。
言われた夫はなぎぃの説明を聞いても理解できないので、聞くのをやめたと言った。

昨日の朝までは、夫となぎぃの関係はうまくいっていると思っていた。
なぎぃも夫も話が出来るようになった、仕事の行き帰りに話すのが楽しいと言っていた。
落ち着いた状況がこのまましばらくは続くと思っていた。

それは、夫も、なぎぃもそう思っていたようだ。

昨日の朝、眠れなかった様子のなぎぃが朝食の食卓に着いた。
８時出発で、夫の掃除の仕事に同行する日だった。
様子がおかしい。
固まって食事が喉を通らない様子。
30分たっても半分も食べてないので、無理して食べなくていいと言ったら、部屋に戻って布団に潜り込んだ。

夫はあきらめて一人で仕事に出かけていった。

夕方、仕事から戻った夫に、仕事を辞めるとなぎぃが告げた。


分からない。
何があったのか。
そのまま眠れそうになかったので、なぎぃの部屋のドアをそっとノックした。
話せるかと聞くと、話せると言う。

仕事への不安。
将来への不安。
夫への不満。
…

考えが堂々巡りで結論は出ない。
心が疲れて、気持ちが前に向かなくなっている。
それはなぎぃが何度も繰り返す堂々巡り。

焙煎の仕事だけは、なぎぃのコーヒーを気に入って買いに来てくれる人がいるから続けると。

少し、心を休める時間が必要なのだろう。
夫も掃除の仕事から外れることは納得してくれた。

できれば、一人暮らしをさせてやりたい。
収入もないのに、一人暮らしをさせるなんて甘いと夫に言われそうだが、しばらく夫となぎぃを離した方がいいような気がする。