「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「藤袴・ふじばかま」

2015-10-25 13:08:22 | 和歌

 最近では殆ど見かけなくなった「藤袴・ふじばかま」との、久方ぶりのご対面だ。
秋の七草(萩・尾花・葛花・撫子・女郎花・藤袴・朝貌/桔梗)の中でも、ことさらに数が減ったのは、何故だろうか。万葉の時代からの日本古来の野花だが、自然環境が変わった証しかもしれない。準絶滅危惧種に指定されているようだ。


                        撮影とご提供 片岡勝子様

 序でながら、山上憶良の秋の七草の歌は余りにも有名だが、最後の「朝貌の花」には諸説がある様で興味深い。古くは桔梗をこの様に詠んだとするのが、有力な説の様ではあるが・・・。

 また藤袴は、漢方の生薬としても様々な薬効があることから、永く利用されて来た。生草には殆ど香りがないが、乾燥させた生薬は芳香を放つから不思議だ。虚庵居士の故郷ではガーゼの袋に入れて、お風呂に浮かべて愉しんだが、そんな子供の頃が懐かしい。
 

           懐かしき藤袴かな群花の

           咲きそむ秋となりにけるかも


           野に出でて秋の七草数えむと

           指折り歩めど片手を越えずも           


           殊更に藤袴の花この頃は

           野にも山にも見かけぬは何故?


           藤袴に田舎の秋をぞ偲ぶかな

           土手の草むら尾花も揺れて


           香り立つ干し藤袴の小袋と

           湯舟に浸かった昔を偲びぬ