「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「うつろ庵の万両」

2015-01-04 12:55:46 | 和歌

  「うつろ庵の万両」が大紫つつじの後ろで、赤い実を沢山付けて誇らしげだ。

 

 万両の普通の姿は足元がスッキリ伸びて、トップの緑葉の下側に赤い実を付けるのが定番だが、「うつろ庵の万両」はフラワーベルトの大紫つつじの後ろに自生したので、伸び立った足元が大紫に隠れて、カッコ良さが半減。誠にお気の毒だ。

 若い女性たちが、装いやファッションに繊細な気配りをする事情がよく分かる。
お化粧や、装いによってその女性が醸す雰囲気やイメージは、全く別物に変身するが、万両にはそんな自由は許されない。ましてや、小鳥の置き土産から芽生え、自生した万両にとっては、育つ場所も環境も替え難いことを思えば、そんな制約の中で精一杯に赤い実を付けた万両を、褒め称えずには居れない。

 大紫つつじの枝が、万両を隠すかの様にハビコッテいたが、万両が少しでも表立つように剪定した虚庵居士の思ひに、赤い実をつけて精一杯に応えて呉れた。

 万両の赤い実に寿ぎを頂いた、「うつろ庵」のお正月であった。


           大紫つつじの後ろにひっそりと

           万両のぞき梅雨明けにけり


           万両を隠す気配のつつじ葉に

           少しは気遣いせよとたしなめ


           前面が開けて万両嬉しげに

           白き花穂を咲かす夏かな


           緑なる小さき実珠が輝けば

           くれない色を夢見る爺かな


           正月を寿ぐ心か万両の

           くれない色に輝く実珠は