「うつろ庵の福寿草」が、「雨水」に咲いた。
大雪に見舞われた直後ではあるが、二十四節季での「雨水」は二月十九日だった。
古人は真冬から春までの三か月間の季節変化を、「冬至・小寒・大寒・立春・雨水・啓蟄・春分」と略半月毎に区分した。冬と春の中間「立春」を過ぎて半月ほどすれば、「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となる」と云い、この時節から寒さも峠を越えると古人は云い、やがて「啓蟄」を経て「春」を迎えるとのメッセージを暦に託した。
「うつろ庵の福寿草」は古来の暦を身を以て示し、早春の到来を告げて呉れた。
陽を受けて福寿草は花開き、陽が陰れば花を閉じて、その応答は極めて敏感だ。 陽光の恵みに素直に応じ、一方では身を護る心得は、「雨水」とはいえ自然の厳しい変化への対応を、見事に身に付けていて感服だ。
この様な自然の教訓にもっと早く気付き、人生やビジネスに活かしていたら、虚庵居士は別の人生を歩んでいたことだろうが ・ ・ ・ 。
庭先に綻ぶ黄花の三つ四つ
ずんぐりむっくり福寿草かな
立春を経にし雨水のあしたには
大雪なれども 福寿草咲く
大雪の直後に見れば福寿草の
小葉は莟の襟巻ならんや
冬の陽を享けて咲くかな福寿草は
いまだ厳しき雨水の朝に