「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「雪の名残り」

2014-02-18 00:36:33 | 和歌

 週末の大雪は、各地に大被害を残した。

 関東甲信越の山間部では、降雪以来いまだに動きが取れない車両の行列が、新聞やTVで報道されているが、車に閉じ込められた皆さんの苦難は如何ほどであろうか。

 東京湾側の横須賀の平地では、先週の降雪は朝方には殆ど消えたが、今回の大雪は翌日午後になっても、道路の日陰部分は融雪せずに残った。

 「うつろ庵」の庭の雪は、植木鉢に積もった雪もあっという間に溶けたが、昼過ぎにカメラを取
り出したころには、花カンランの葉の間の幽かな名残りだけになっていた。



 積雪の量は僅かであったが、冷たい雪の温度には厳しいものがある。花カンランの葉はごく薄いので、積雪と同じ温度まで低下したまま、略一日は経過した筈だ。人間の手足であれば間違いなしに凍傷になったであろうが、花カンランの葉には凍傷の気配も見当たらなかった。

 それどころか、繊細な葉は花かと見紛うばかりで、冬の陽光に見事に応えていた。自然の生命力と逞しさには愕くばかりだ。翻って人間どもは、恵まれた生活環境に慣らされて、肉体的にも精神的にも虚弱になっていないか、改めて反省したいものだ。




           先週に続く大雪 記録では

           百二十年の大記録とかや


           新聞やテレビの画像は雪に埋まる

           数十キロの車の列なり


           降雪から幾昼夜経ん車中には

           飲み物食べ物 皆無ならむに


           吾が庵に降りにし雪のあとおえば

           花カンランに幽かな名残ぞ


           積雪は僅かなれども薄き葉は

           冷厳の雪に耐えにけるかも


           冬の陽を浴びて応えるカンランの

           薄葉の心根 花かと見紛ふ


           ぬるま湯の我が身の環境 見返せば

           虚弱ならずや 身をも心も