「石蕗・つわぶき」の黄色の花が、鮮やかに咲いた。
秋は花が少ない季節だが、石蕗は場所を選り好みせずにどこにでも咲き、かなり長く咲き続けて目を愉しませて呉れる優れものだ。しかも面白いことに、株を植えずとも思いもかけずに自生し、放置しても宿根草として毎年花をつける逞しさには感服だ。
花が終わるのは寒さも厳しくなる初冬だが、タンポポよろしく丸い綿毛を付けるのも愉快だ。綿毛は風に吹かれて気侭に舞って、着地した処で翌春に芽吹くのであろう。種の保存の挙動は、まさにタンポポと同じだ。念のために花図鑑で調べたら、石蕗もタンポポも同じ「きく科」の草花だと判って、納得した。
そんな事情から、「うつろ庵」の庭にも三か所ほど石蕗が腰を据え、鮮やかな花を愉しませて呉れている。偶々カメラを構えていたら、「一文字セセリ」がサッと飛んで来て、ポーズをとった。 思わずシャッターを押した。
一文字セセリは三角翼のジェット機を連想させるが、蝶のお仲間ではあるが飛翔は極めて俊敏だ。狙ってもなかなかカメラに納まって呉れないが、虚庵居士と石蕗が親しそうにしているのを見て、「ワタシも仲間に入れて」 と飛んで来たのかもしれない。
あちこちに石蕗咲くかな鮮やかに
自から生えて律儀に咲くとは
逞しき石蕗なるかな風に舞い
うつろ庵にもその根をおろして
石蕗の自生の花の多ければ
数多の人々気にもせずとは
つわぶきに寄り添い語れば一文字
セセリ飛び来てポーズをとるかな
一文字セセリは妬くや石蕗を
じじ独り占めはずるいと飛び来て
眼の前にサッと飛び来て一文字
セセリは恋ふるや 蜜を吸いつつ