「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「おしろいばな」

2012-10-06 12:23:01 | 和歌

 道路の脇などに咲く「おしろいばな」だが、「うつろ庵」の周辺の住宅地でも、最近はよく見かけるようになった。市街化が進み、空き地や菜園などが急激に減少した結果、住宅地の道路脇など、僅かな土地にも逞しく進出して来たのだろうか。

 田舎生まれの虚庵居士の子供の頃は、身近な花で、女の子たちは「おけしょうごっこ」に夢中だった。

 かなり長い期間に亘って咲き続けるので、花と共に黒い小さな実も、ふんだんに採れた。子供達は、黒い実を石ころで潰して、中の純白な粉を「おしろい」代わりに、「おけしょうごっこ」をして遊んだのだ。
最近の子供達に、そんな原始的なお遊びが流行らないのは、ゲームや遊具などが、ふんだんに溢れる昨今では当然かもしれない。

 それにしても、最近の「おしろいばな」の華やかさには、目を瞠る。
一頃までは、濃いピンクの「白粉花」と、純白の「夕化粧」だけっだったが、色とりどりの花があちこちに咲き乱れている。「うつろ庵」のごく近くでも、こんな「おしろいばな」が咲いていた。

 最近の子供達は「おけしょうごっこ」遊びをしないので、「おしろいばな」が自らお化粧したのかもしれない。

 


          おみな児はほっぺを白く化粧して

          母さま真似るや 「あーらおほほ」と          


          黒き実を石ころで割り「おしろい」を

          採るはおの子の役割でした


          夕暮れにさよなら告げつつ一輪の

          おしろいばなを口にくわえぬ


          花の名に遠き昔ぞ偲ばるる

          お化粧ごっこで遊んだあの日を                    


          夕暮れは私の刻よと予め

          おしろいばなは化粧をととのえ


          しろたえの花はおぼろに浮き出でて

          仄かに揺れる夕化粧かな