「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「台風とゴーヤ」

2012-10-04 00:02:10 | 和歌

 台風17号は日本列島を縦断して、千島列島へ去っていった。 被害を受けられた方々には、心からのお見舞いを申し上げたい。

 「うつろ庵」では家屋や人災などは無かったが、庭のゴーヤだけが被害を受けた。篠竹を無造作に添えただけのゴーヤの蔓は、無残にも薙ぎ倒された。

 実は、ゴーヤの実・苦瓜が三本も生ったので、そろそろカメラに収めておかねばと思っていた矢先だったのだ。 「ゴーヤと花虎の尾」でご紹介した、ごくか細い蔓が
ものの見事に大きな苦瓜を支え、吊るしている姿を記録出来なかったのは、虚庵居士の油断以外の何物でもない。慚愧の思いだ。

 薙ぎ倒された無残な姿をカメラに収めては苦瓜に申し訳ないので、蔓から切り取り、収穫した立派な姿をお目に掛ける。一つは若干小さめだが、虚庵夫人が美味しく料理してくれるに違いない。

 実は、この三本には兄貴分が一本あった。
篠竹に絡んだ蔓だけをみて、「苦瓜は生らないわね」などと虚庵夫人と共にボヤイテいた。 が、花虎の尾に蔓を絡ませ、紫蘭の葉を伝い、ブルーベリの小枝にも絡んでその先に、在ろうことか大きな苦瓜が生っていたのだ。ちょうど食べごろの大きさで、美味しく頂いた。

 それ以来、蔓の先々まで丁寧に観察したのは言うまでもない。 兄貴に続く三本の苦瓜の成長は、老夫妻には子供を育てた昔に還って、楽しみの毎日であった。

 苗を頂戴したご近所の奥様へは、「ゴーヤと花虎の尾」のコピーをお届けしてその後をご報告済であるが、三本の苦瓜の写真を絵葉書に調えて、再度のご報告をせねばなるまい。

 


          台風の時々刻々の情報を

          聴きつつ備えぬ万全を期して


          台風の警報解除の其の後も

          い寝るもあたわず 烈風吹き荒れ 


          列島を縦断したとの報道に

          胸しめつけられぬ 被災を思えば


          颱風の被害少なき庵なれど

          薙ぎ倒されぬ いとしきゴーヤは


          悔しきは いと細き蔓の苦瓜を

          けな気に吊るすを 写さざるとは


          三本の苦瓜せめて爽やかに

          カメラに収めむ 君らを誇れば