「うつろ庵」のブルーベリーの紅葉が、目を愉しませてくれて久しい。
灌木と言う程もない、未だ背丈も高々七十センチ程の幼木であるが、葉が色付き初めた初秋から真冬の睦月に至るまで、数か月に亘ってじじ・ばばを愉しませて呉れている。
こんな背丈の小さな灌木だが、夏には小粒の実を付けて、孫達や虚庵夫人を愉しませてくれた。カメラに写っていない三株ほどが枝を絡めているが、ごく細い枝をかき分けて、葉に隠れる実を摘み取る孫の仕草も、微笑ましい姿だった。小指の先ほどの小ぶりの実だが、滋味溢れる味が子供には堪らないようだ。孫が小さな手に摘み取った中から、一粒二粒をじじ・ばばの口へ入れて呉れるのは、果実ブルーべりーの味覚を越えた味わいがある。
幼木ではあるが、孫にもじじ・ばばにもそんな愉しみを施し、更には紅葉の楽しみをもたらして呉れるのだから堪らない。庭先にブルーベリーを植えた虚庵夫人は、甚くご満悦である。
凍てつける庭に一際あかねさし
ブルーベリーの 小葉 耀きにけり
陽を受けて輝く木の葉は気高くも
透ける模様に息を呑むかな
小葉の縁の痛むはあわれせめて陽に
暖をとれよと手を揉む今朝かな
眼を寄せれば透ける木の葉の黄金なる
細かき網目に捕われぬるかも
幾たびか悦び受けにし朋なれば
散り急くなかれ せめて暫しを