「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「小菊と貝塚伊吹」

2006-12-11 23:42:40 | 和歌

 カイズカイブキ(貝塚伊吹)の生垣の下に、色とりどりの小菊が咲いていた。

 手入れも良く行き届いて見事な出来栄えだ。色の配列も工まず、形を懸崖に整えるのでもなく、ごく無造作に在るがままの姿に育てて、カイズカイブキの生垣とのバランスも絶妙である。

 カイズカイブキは生垣としてごくポピュラーだが、何処のお宅も手入れが頻繁には出来ないので、毎年少しづつ生垣の厚さが増して、気がつくと大幅に道路にせり出すことになる。
息が詰まるようなノッペリした緑の壁は、切り詰めれば無残な肋骨を晒すので、手がつけられない状態になるのが通例だ。このお宅のカイズカイブキの生垣は、際立って爽やかだ。
枝ごとに棚作りにしているので、息詰まる閉塞感がない。ただ残念なのは、棚作りの間が空きすぎてしまったことだ。想像ではあるが閉塞感に堪えられず、剪定の方針を変え、仕立て直したタイミングが、大きく成長した後だったのかも知れない。

 植木と言わず子育てと言わず、実にも、タイミングの大切さを訓えられるが、その後に添えて植えられた小菊に、誠に爽やかな主の「心の在りよう」を、見せて頂いた。






             彩りも姿も工まず控えめに 
  
             群れ咲く小菊の心栄えかな 



             乱れ飛ぶ貝塚伊吹の枝ごとの

             棚のつくりに憶いを観るかな 



             つらつらに思えばこの世は難きかな
 
             植木も人も時節を得るとは