川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

水はなんにも知らないよ

2007-05-14 19:50:05 | ひとが書いたもの
水はなんにも知らないよ水はなんにも知らないよ
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2007-02-25

ニセ科学による胡散臭い水ビジネスについての解説書。
何年か前に、「磁気水」(だったかな)の活水装置を買わされそうになった母にプレゼントしようかな。
そもにしても、いい加減な水ビジネスがたくさんあるものだ。
これだけ「水」がもてはやされる背後には、水道水に対する不安・不信があるというのだけれど、その水道水が日本においては、世界的にみて屈指の「安全さ」を誇る皮肉。
そのおかげで、水ビジネスも大きな健康被害を人にもたらさずに済んでいるという話(原水はたいてい水道水だから)。

あとがきに書いてある、「自然界には質的に異なった多くの階層があって、それぞれの階層では固有の法則性がある」という見解、擬似科学にはまる人の多くが理解していない点だと思う。
量子力学の法則を、我々の日常生活での話に持ち込んだりすると、とたんにニセ科学だ。
煩悩の数を、元素の数で説明するのも。

この手の本って、悲しいことにエレガントにはなかなかなれない。
この著書は、非常に冷静に書かれているけれど美しくはない。
当たり前なのだけれど、切ないと思う。
その中で、美しいと思った認識が、あとがきの一文。

もちろん、美しくしようなんて著者はつゆほども思っていないだろうけれど、まとまった文章は「作品」と捉えてしまうぼくは、そこが気になってしまうのでした。この本の評価とは関係ないですね。まるっきり。

「ロケットガール養成講座」が月刊の「文藝春秋」に

2007-05-13 13:12:07 | 自分の書いたもの
R0014271もう先々月のことなのだけれど、ロケットガール養成講座の「打ち上げ」に秋田までいってきました。
その時のことを書いたエッセイが月刊の「文藝春秋」の巻頭エッセイの中に掲載されています。
写真は、花柄ポップな機体と、ロケットガールたち。
R0014261あと、妙に気に入っている写真。娘の撮影。
射点は、能代市で、東北電力の風車群の目の前。
なんか雰囲気あるでしょう!


絵てがみコンテスト!びっくりした!

2007-05-09 16:46:02 | 自分の書いたもの
絵てがみコンテスト入選作品集(京都府教育委員会教育長賞)のサイトに、いきなり、このようなものが……。一番右をクリックしてください。

びっくりした。
書いてくれた人、ありがとう。胸に響きます。
「上の世代の人」に読んでほしいそうなので、ぜひ、「上の世代の人」読んでください。

ひとから教えてもらった京都新聞の 記事はこちら。

そして、一応、リンクをはっておこう。
てのひらの中の宇宙てのひらの中の宇宙
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2006-09



春の思い出

2007-05-09 07:23:10 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
Tushima久しぶりに「南側」で野生での写真が撮影されたツシマヤマネコ。環境省の写真なので、掲載しちゃいますね。
対馬には一度だけいったことがあります。ツシマヤマネコの保護に力を尽くしている山村さんを訪ねて。テレビ局に勤めてはいたけれど、現場ではなかったぼくを、それでも、ていねいに案内してくださったのでした。

すごく懐かしい。
でも、また戻るところだとも感じていて、あの時、いろいろ教えて頂いたことを、書く日がやってくるでしょう。いずれは、ね。
春、でした。たぶん。
サンショウウオがたくさん卵を産んでいて。

山村さんのツシマヤマネコを守る会のサイトをみて、情報をアップデート。

最近は、給餌がかなり成功していてこの十年間くらいで45頭が成獣になったと確認されているようです。



連休読書

2007-05-08 21:31:34 | ひとが書いたもの
沈黙のフライバイ沈黙のフライバイ
価格:¥ 630(税込)
発売日:2007-02
日の名残り日の名残り
価格:¥ 756(税込)
発売日:2001-05

「沈黙のフライバイ」は、同時代に生きる物書きとして、幸せに思える作品。
いつか、競合作品を書きますとも。かなーり、へたれなものであるには違いないにせよ、志においては。

「日の名残り」は、変な言い方だけれど、抱腹絶倒。
「執事」をテーマにできる腕力。それを、まったく異国の読書にしっかりプレゼンテーションしてしまう原文力と、訳出力に乾杯でした。
80年代あたりの耽美派少女漫画で、「執事」に憧憬を抱いたり、メイドカフェの執事さんが大好きな人は、きっと楽しめます。


エキサイティングなPTA史(資料を追記しました)

2007-05-07 09:12:50 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
婦人公論2007年5月22日号(5月7日発売)に、PTA連載第三回が掲載されました。題して「エキサイティングなPTA史」。本当にエキサイティングなんですってば。

ついでなので、仲間内で配布した資料をここに採録しておきます。これと関連することが今回の連載では述べられています。
資料・PTAの歴史!

設立の頃(1947年から数年間)
●1947年に文部省の「父母と先生の会委員会」の設立。背後にはGHQ(連合国軍)
●49年、わずか2年で9割の設立。かなり無理をした発足。以後に禍根を残した?
●設立の目的の二本柱は、「成人教育」(父母・教師が話し合い、学び会う)と、教育環境の整備。つまり、親や教師が話し合い、よりよい保護者・教師になること。また話し合った成果を子どもに還元する、という流れ。
●社会教育関係団体であって、学校の中にありながら学校とは別の団体。(校長はPTAの上司ではなく、一会員、しばしば顧問)。独立した自主団体であることも明記される。
●入退会が自由な任意団体である。
●会社のような縦組織ではなく、すべての会員が役員もふくめて平等な民主組織。役員は「執行部」であって、決定権はない(決定するのは総会)。

ボスPTAの時代(1950~60年代)
●発足より20年間、PTAは学校後援組織だった。資金調達力にたけた地元有力者によるボスPTAの誕生。
●「PTA立小学校」という揶揄。
●まずしい時代の教員支援(給与の一部負担・通勤費の負担)。年間200億円の寄付。
●学校給食はPTAが事実上運営していた(PTAなくして、学校給食なし!)という時代。
●1967年東京都教育長通達によって、学校はPTAからの寄付を受けられなくなった(義務教育に必要なものは公費で負担する原則)。

PTA不要論(1960年代後半より)
●「後援会」としてのPTAが否定されたことで、PTAの存在意義が薄くなる。
●PTAの6つの欠陥(69年に兵庫県教員組合による)
・学級での父母と教師の話し合いが実質的になされていない、
・各段階での連合体が文部省・教育委員会と癒着し、教育行政機関化している、
・地域ボス役員がPTAの後援会的性格を温存させ、力を保っている、
・一部ボスや有力者が人事を含め学校の運営に口出し干渉するほか、進学中心の間違った教育要求をしている、
・地域社会の教育環境作りに立ち上がらない、
・父母の教育への願いを政治に反映させる事ができない

環境浄化運動の時代(1970年代より)
●俗悪番組の告発。「8時だよ全員集合」「スターどっきり秘報告」「見ごろ食べごろ笑いごろ」「ウィークエンダー」「飛べ孫悟空」「噂のチャンネル」「女子プロレス」(1977年)
●「とんがり眼鏡・ざーます口調」でプードルを連れたおばさん。PTAの類型の誕生。藤子不二雄や赤塚不二夫のマンガなど?

PTA本来の意義を問い直す(1980年代以降)
●保護者と教師が学び合うことの意義をふたたび問う運動。団塊の世代が親になることで盛り上がる。高校増設運動など。
●民主的な運営の再確認。世話人制度を採用するところも。
●子どもの権利条約との連動。PTAの活動をそこに位置づけようとする。
●今、PTAについて手に入る論説は、この時にがんばった人たちが書いたものが多い。たぶん今の世代が学ぶべきもの。

21世紀のPTA
●親睦PTA的な活動が90年代より多くなっていた背景。
●安全・安心の時代。子どもの安全をめぐって再結束。しかし、「やりすぎ」は息詰まる世界につながるというジレンマ。
●地域との協同ふたたび。
●PTCAやコミュニテスクールへの動き。




クマムシが見たくて実体顕微鏡を物色する

2007-05-04 20:42:15 | ひとが書いたもの
クマムシ?!―小さな怪物クマムシ?!―小さな怪物
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2006-08

楽をさせて頂いて、惹句をそのまま引用。

乾燥すると樽型に変身!真空、高温、高圧、放射線にも耐え、レンジでチンしても平気。120年間水なしでも生き続ける生物がいる??それは体長1mm以下の微小な生物・クマムシ。不死身伝説の真偽、18世紀からの研究の歴史、試行錯誤で飼育する笑いと苦労の物語など、生物研究のオモシロさ満載。身近なクマムシの観察方法や、ファン必見の図版も多数掲載。


なんかすごいでしょ。
そんなクマムシだけにフォーカスを絞った佳作。おもしろい。図版もすばらしいものがある。
なにより、クマムシ、すごくかわいい!のだ。
さっそく、近所でコケをとってきて水浸しにし、逃げ出してくるクマムシを見つけようとした。

でも、見えないんだなあ。
そこで、実体顕微鏡を物色。
なにか、いいのはないかなあ、と。
結局手軽なのは、ニコンのファーブルや、ファーブルミニなのだけれど、写真を撮ろうとすると、coolpixを買わねばならないんだなあ。その点のみが、嫌な感じ。
写真撮らなきゃいいのか。
なにかいいのないですかね。

NSFP ネイチャースコープファーブルフォトNSFP ネイチャースコープファーブルフォト
価格:¥ 92,400(税込)
発売日:




一気読み(追記あり)

2007-05-01 08:33:45 | ひとが書いたもの
エンディミオンの覚醒〈上〉エンディミオンの覚醒〈上〉
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2002-11
エンディミオンの覚醒〈下〉エンディミオンの覚醒〈下〉
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2002-11

連休前半に一気読み。贅沢贅沢!
またも、著者の東洋趣味炸裂で、第二部の天山のくだりとか、宇宙商人(?)イソザキとか、なかなかよいです。
献辞にでてくるジャック・ヴァンスの名前は、さもありなん。
異郷を描かせたら天下一品だった作家の本歌取りをして、さらに輝かせる。
ぐうの音も出ないほど、素敵なシリーズでした。

あまり多くの言葉をつくしても、仕方ないや。
そう素直に思えてしまうのですね。

でもなあ、シュライクの素性など、結局分かったような分かんなかったようなな部分も残っていて、つい続編を期待しちゃいますな。
もう無理?

いずれにしても……まだ、読んでいない人、あなたは幸運です。

追記あり
何日かたってくると不満がフツフツと……。
きれいに収束していないネタがいくつもあるように思う。
それも、些末ではない、本筋の部分で。

たとえば、シュライク。いや、これにつきる。
「全ての勢力の駒」だったとされるのだけれど、それってあんまりな気がするのだ。
ハイペリオンで聖十字架の実験をしていた時にはコアの駒。
時間の墓標では UIの駒。
エンディミオン以降は、虎と獅子と熊の駒。
なんなんだ……。
これ、いわば、ご都合主義ってやつじゃないでしょうか。
やっぱり、長編一冊かけて説明するべきだよ。
シュライク・サガとして。
あ、単に「先」を読みたいだけですけどね。

追記の追記
要するに、ダン・シモンズって、すごく天然な作家なんですね。
きっと。
それは素敵なこと。