ええっと、ですね。
ホメオパシー問題について、とっても簡単に書きます。
自分のTwitterのタイムラインじゃ、当たり前のように流れているので、つい、みんな知っていると思っていたんですが、考えてみたら、このブログを観てくださる方は、別に疫学に興味がある人(きっとホメオパシー問題についても知っている)ばかりじゃなく、むしろ、PTA関連だったり、生き物関連だったり、作品情報だったりに興味を持っている人も多いわけですよね。
そういうわけで。
で、ホメオパシーは、いわゆる代替療法です。
プラセボ以上の効果はないという疫学証拠があり、つまりは、効かないって分かっています。
でも、人間が元来持っている治癒力を引き出すという触れ込みからか、自然派なかんじの人達にウケがよくて、この前の非実在青少年条例で主要なアクター(アクトレス)だった、「バースコーディネーター」の大葉ななこ氏など、「今や21世紀育児の3種の神器のひとつ」とまで持ち上げております。
でも、実際は効かない。
プラセボ以上の効果がないということは、逆に害もないということで、別に目くじらたてることないじゃん、という考えもあり得るのですが、ホメオパシーの場合、それを信じるあまり、本来通常医療を受けるべきときに、通常医療から遠ざかるような仕組みが内蔵されているのが困りものなんです。
たとえば、好転反応という概念。
効かないレメディ(ホメオパシーのクスリですが、薬事法的にはクスリではないです。でも、クスリのように投与されます)を摂取して、症状が悪化しても、それは治癒力が高まって悪いものを排除している証拠だから、むしろよいことだ、捉えるわけですよ。
これが、ほうっておいても「自然な治癒力」で快癒する風邪くらいならともかく、がんだったりすると、目も当てられないわけで……。
実際に、命にかかわる重たい病気なのに、ホメオパシーにたよるあまり、さんざん苦しんだあげく(好転反応ですからね)、亡くなる方というのはいるようです。その際、ホメオパス(施術者)からあたかもマインドコントロールされるかのような形で、通常期医療を拒否する場合もあるようなのです。
今回ホメオパシー問題が一気に吹き出したのは、昨年、山口県の助産院で、新生児に当然投与すべきビタミンKをあたえず、レメディで代用した結果、乳児がビタミンK欠乏性出血症で亡くなったのがきっかけです。この場合、親の同意もなく、助産師がそのような処置をとったわけですが、親自身がホメオパシーの信奉者だったりすると、子どもが通常の医療を受けるべき時に受けられず、いわゆる医療ネグレクトの状態になることもありそうです。
以上、簡単な問題提起というか、「こいういことがいまあるよ」という話。知っている人は知っているけれど、まだ知らなかったという人が、たまたまここを通った時のために書いておきました。
というわけで、深入りせずに、あとはリンクを張ります。
今回がんばっている朝日新聞の記事。入門編ということで。
http://www.asahi.com/health/feature/homeopathy.html
そして、メインの記者、長野剛氏によるブログ。
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/kNKQFuNbTK
さらに、悪性リンパ腫なのに通常医療を受けずに亡くなった女性についての経緯。ホメオパスと女性とのメールやりとりを読んでいるとクラクラしてきます。強烈に切なくも哀しくなります。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/mackboxy/Health/summary.pdf
ひるがえって「ホメオパシー側」ですが、関連諸団体が、朝日新聞などの報道に対して反論を試みています。いずれも、自らに非がないことや、前述の「内蔵された問題性」から論点をずらすのに必死になっているように読めます。少なくともぼくには。
http://www.jphma.org/
http://www.nihon-homeopathy.net/
http://www.homoeopathy.co.jp/index.html
特に最後のサイトにあるこちらの記事など、
http://jphma.org/About_homoe/jphmh_answer_20100817.html
記者とのファクスのやりとりをすべて公開した上で、質問への回答はやはり論点ずらし系の対応。あるいは最初から立脚点があまりに違うので、議論が成立しない、てなかんじです。
「日本国民がホメオパシーの恩恵に与る機会を失わせるような記事が世に出るとしたら、それは大変残念」とまで書かれていますが、ぼくはその恩恵はいりません。
むしろ、今もすでに起きている害をなんとかしてほしいです。
とりいそぎ、書きました。
みなさんの参考までに。
やはり、参考書はこれですかね。
ホメオパシー問題について、とっても簡単に書きます。
自分のTwitterのタイムラインじゃ、当たり前のように流れているので、つい、みんな知っていると思っていたんですが、考えてみたら、このブログを観てくださる方は、別に疫学に興味がある人(きっとホメオパシー問題についても知っている)ばかりじゃなく、むしろ、PTA関連だったり、生き物関連だったり、作品情報だったりに興味を持っている人も多いわけですよね。
そういうわけで。
で、ホメオパシーは、いわゆる代替療法です。
プラセボ以上の効果はないという疫学証拠があり、つまりは、効かないって分かっています。
でも、人間が元来持っている治癒力を引き出すという触れ込みからか、自然派なかんじの人達にウケがよくて、この前の非実在青少年条例で主要なアクター(アクトレス)だった、「バースコーディネーター」の大葉ななこ氏など、「今や21世紀育児の3種の神器のひとつ」とまで持ち上げております。
でも、実際は効かない。
プラセボ以上の効果がないということは、逆に害もないということで、別に目くじらたてることないじゃん、という考えもあり得るのですが、ホメオパシーの場合、それを信じるあまり、本来通常医療を受けるべきときに、通常医療から遠ざかるような仕組みが内蔵されているのが困りものなんです。
たとえば、好転反応という概念。
効かないレメディ(ホメオパシーのクスリですが、薬事法的にはクスリではないです。でも、クスリのように投与されます)を摂取して、症状が悪化しても、それは治癒力が高まって悪いものを排除している証拠だから、むしろよいことだ、捉えるわけですよ。
これが、ほうっておいても「自然な治癒力」で快癒する風邪くらいならともかく、がんだったりすると、目も当てられないわけで……。
実際に、命にかかわる重たい病気なのに、ホメオパシーにたよるあまり、さんざん苦しんだあげく(好転反応ですからね)、亡くなる方というのはいるようです。その際、ホメオパス(施術者)からあたかもマインドコントロールされるかのような形で、通常期医療を拒否する場合もあるようなのです。
今回ホメオパシー問題が一気に吹き出したのは、昨年、山口県の助産院で、新生児に当然投与すべきビタミンKをあたえず、レメディで代用した結果、乳児がビタミンK欠乏性出血症で亡くなったのがきっかけです。この場合、親の同意もなく、助産師がそのような処置をとったわけですが、親自身がホメオパシーの信奉者だったりすると、子どもが通常の医療を受けるべき時に受けられず、いわゆる医療ネグレクトの状態になることもありそうです。
以上、簡単な問題提起というか、「こいういことがいまあるよ」という話。知っている人は知っているけれど、まだ知らなかったという人が、たまたまここを通った時のために書いておきました。
というわけで、深入りせずに、あとはリンクを張ります。
今回がんばっている朝日新聞の記事。入門編ということで。
http://www.asahi.com/health/feature/homeopathy.html
そして、メインの記者、長野剛氏によるブログ。
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/kNKQFuNbTK
さらに、悪性リンパ腫なのに通常医療を受けずに亡くなった女性についての経緯。ホメオパスと女性とのメールやりとりを読んでいるとクラクラしてきます。強烈に切なくも哀しくなります。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/mackboxy/Health/summary.pdf
ひるがえって「ホメオパシー側」ですが、関連諸団体が、朝日新聞などの報道に対して反論を試みています。いずれも、自らに非がないことや、前述の「内蔵された問題性」から論点をずらすのに必死になっているように読めます。少なくともぼくには。
http://www.jphma.org/
http://www.nihon-homeopathy.net/
http://www.homoeopathy.co.jp/index.html
特に最後のサイトにあるこちらの記事など、
http://jphma.org/About_homoe/jphmh_answer_20100817.html
記者とのファクスのやりとりをすべて公開した上で、質問への回答はやはり論点ずらし系の対応。あるいは最初から立脚点があまりに違うので、議論が成立しない、てなかんじです。
「日本国民がホメオパシーの恩恵に与る機会を失わせるような記事が世に出るとしたら、それは大変残念」とまで書かれていますが、ぼくはその恩恵はいりません。
むしろ、今もすでに起きている害をなんとかしてほしいです。
とりいそぎ、書きました。
みなさんの参考までに。
やはり、参考書はこれですかね。
代替医療のトリック 価格:¥ 2,520(税込) 発売日:2010-01 |
「余計な物を捨て去れば」「本来の在り方に戻るべく身体が反応し」正しく健やかな状態に戻るという確信。
性善説の亜種ですかね。
こんなものは効かない。それは外に居るからわかるのです。
中に居る人にはどうすれば通じるのかは自分にはわかりません。
本人が信じて受けたならまだしも、親の介護に使用したとか、子供の治療に使ったとかいうケースはどうしたら救えるのでしょうね?
ライフスペースのミイラ事件も親の介護ではありませんでしたか?
はてなブックマーク
http://b.hatena.ne.jp/
はてなブックマーク > はてなウェブ検索 > ホメオパシー の検索結果
http://b.hatena.ne.jp/search?sort=score&or=&q=%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%91%E3%82%B7%E3%83%BC
まして、自分自身の意志を明示出来ない幼い命の場合。
医療だけでなく、他にも沢山あるんでしょうね。似たような事は。
・・色々と考えてしまいました。
亀さん、いつも勉強させていただきます。
コトを単純化できたのは、ほかのあちこちで、レメディの作り方の解説とか、充分にリソースが揃っているので、わざわざごちゃごちゃと書かずに済んだからです。
はてぶは、みなさんご利用ください。
t-nanaseさん、今、通常医療と言われているもので、歯が立たない病気なんてありすぎるくらいありますし、今の目からは過った医療というのも過去にはたくさんありました。これからもあるでしょう。そもそも、医療は死を食い止めることはできません。ホメオパシーの問題は、現実に「なんにでも効く」みたいに言ってしまう人がわりと普通にいることと、非常にクリティカルなタイミングで、標準的な治療から遠ざかるようなに誘導されちゃうことだと思います。
つまるところ、通常医療が万能ではないことなんてあたりまえなんです。
でも、少なくとも、薬や治療法が効くか効かないか、みずから評価する方法を持っている。それは、今サイエンスの根幹にある統計学・疫学的な方法で因果関係を推論するというのと同じ方法です。
その方法でみたとき、もしも、ホメオパシーに薬効があったり、別の利用価値があるなら、通常医療に組み込まれることだってありうるわけです。
でも、効果なしという評価が定着しています。ホメオパシー関係者が、ホメオパシーが効くと科学的に証明されつつある、という言論を張るのは、タバコ会社が喫煙を擁護する論文を、研究のつまみ食いなどの手法で紹介し情報を混乱させてきたのと似ています。
・単価がちと高い。
・販売talkで、「がんきく」とか言われている可能性がある
みたいなことにひっかかりを覚えました。
重症化する病気で、この健康食品ゆえに、通常医療から遠ざかる人がいるなら、問題だろうなと思います。
むかし、磁力水だかなんだか分からないけれど、強力な磁場のなかをくぐらせた水が健康にいいとかいうのを真に受けて何十万円もする機械を買おうとしいたのを止めたんですよね。
「そんなもん、ぼくが作ってやる」っていって、ネットで強い磁石を買って、水道の配管の途中にくっつけて、ほら、これでどうだ!って。
1000円で済みました。安上がり。