翌朝は、早くから、
社のある近くの丘に母と登る。
苔むした急な階段が500段もあるような場所。
母は、頂上まで行きたいようだったが、
あまりに危なそうだったので、ワタシが止めて、途中まで。
しかし、
松の木の間から見える、広くまっすぐな水平線の、
その眺めのなんと素晴らしきかな。
晴れていれば富士も見えるという。
宿の付近から、
半島先端近くを縦走できる歩道もあるらしく、
山歩きが趣味の母は、
「また、今度来ようかね」とつぶやいていたが・・・・
宿を後にして向かったのは、堂ヶ島。
船で洞穴を周ったあと、、
今度は、その上を歩いて周る。
上り下りの多い急な階段。
ワタシの後ろから、ハーハー。
母の苦しそうな息使いが聞こえる。
小さい体で、20kgのリュックを背負って、
何十年と山歩きを続けていた母とは思えず、
驚きと、
そして、切なさがぐっとこみ上げる。
2年半前、
我が家の目の前の小野子山から、
中岳、十二ヶ岳と1200m級を縦走したときは、
2人分の弁当を背負った母、
手ぶらのワタシの先を、サッサカ、ズンズン登っていたのに・・・・
年々衰える自分の力の無さは、
気の強い母にとって、どんなに腹立たしいものか。
背筋をピンと伸ばし、おしゃれにも気を使い、
外見はそう変わっていないとはいえ、
もう傘寿。
確実に弱っている足腰は、
転んで骨折でもしたら、それこそ寝たっきりに。
山に行くのも、もうそろそろやめてほしいと思う反面、
これこそが、彼女の代名詞、
出来るものなら、長く長く続けてほしいと願うワタシがいる。
::::
堂ヶ島から、
また2時間近くバスに揺られ、修善寺へ。
花の咲き乱れる虹の郷を歩いた後、
修善寺温泉、新井旅館へ。
今回の旅行、妹の企画は、
全て、ココから始まったらしい。
1872年創業の老舗の旅館。
2500坪の敷地に、
明治、大正、そして、戦前までに建てられた15棟の建物は、
今では、国の文化財に登録されている。
横山大観、川端龍子、芥川龍之介、幸田露伴、正岡子規等、
多くの名だたる画人、文人もお気に入りだったという、
趣のある建物はもちろんのこと、
岩盤の上に立つその姿と、
桂川からひいた水の景色、
樹齢800年のケヤキを中心とした庭園の織りなす風情は、
筆舌しがたく、
ただただ、ため息。
ワタシたちは、
そのひとつ、木造2階建て、数寄屋造りの「花の棟」に宿泊。
緑の紅葉が抱え込む、目の前の桂川の流れ。
その上をスーッと舞うカワセミ。
その向こう岸には、
優しくかつ雅な竹林が、なにか舞台のようにある。
どこかでは、カジカの鳴く声。
部屋にある足湯につかりながら、
いつまでもいつまでも飽きずに眺め、聴き入っていた。
妹の目算通り、
超一級の佇まい、もてなしは、
まさに、上質のくつろぎであった。
つづく・・・・
社のある近くの丘に母と登る。
苔むした急な階段が500段もあるような場所。
母は、頂上まで行きたいようだったが、
あまりに危なそうだったので、ワタシが止めて、途中まで。
しかし、
松の木の間から見える、広くまっすぐな水平線の、
その眺めのなんと素晴らしきかな。
晴れていれば富士も見えるという。
宿の付近から、
半島先端近くを縦走できる歩道もあるらしく、
山歩きが趣味の母は、
「また、今度来ようかね」とつぶやいていたが・・・・
宿を後にして向かったのは、堂ヶ島。
船で洞穴を周ったあと、、
今度は、その上を歩いて周る。
上り下りの多い急な階段。
ワタシの後ろから、ハーハー。
母の苦しそうな息使いが聞こえる。
小さい体で、20kgのリュックを背負って、
何十年と山歩きを続けていた母とは思えず、
驚きと、
そして、切なさがぐっとこみ上げる。
2年半前、
我が家の目の前の小野子山から、
中岳、十二ヶ岳と1200m級を縦走したときは、
2人分の弁当を背負った母、
手ぶらのワタシの先を、サッサカ、ズンズン登っていたのに・・・・
年々衰える自分の力の無さは、
気の強い母にとって、どんなに腹立たしいものか。
背筋をピンと伸ばし、おしゃれにも気を使い、
外見はそう変わっていないとはいえ、
もう傘寿。
確実に弱っている足腰は、
転んで骨折でもしたら、それこそ寝たっきりに。
山に行くのも、もうそろそろやめてほしいと思う反面、
これこそが、彼女の代名詞、
出来るものなら、長く長く続けてほしいと願うワタシがいる。
::::
堂ヶ島から、
また2時間近くバスに揺られ、修善寺へ。
花の咲き乱れる虹の郷を歩いた後、
修善寺温泉、新井旅館へ。
今回の旅行、妹の企画は、
全て、ココから始まったらしい。
1872年創業の老舗の旅館。
2500坪の敷地に、
明治、大正、そして、戦前までに建てられた15棟の建物は、
今では、国の文化財に登録されている。
横山大観、川端龍子、芥川龍之介、幸田露伴、正岡子規等、
多くの名だたる画人、文人もお気に入りだったという、
趣のある建物はもちろんのこと、
岩盤の上に立つその姿と、
桂川からひいた水の景色、
樹齢800年のケヤキを中心とした庭園の織りなす風情は、
筆舌しがたく、
ただただ、ため息。
ワタシたちは、
そのひとつ、木造2階建て、数寄屋造りの「花の棟」に宿泊。
緑の紅葉が抱え込む、目の前の桂川の流れ。
その上をスーッと舞うカワセミ。
その向こう岸には、
優しくかつ雅な竹林が、なにか舞台のようにある。
どこかでは、カジカの鳴く声。
部屋にある足湯につかりながら、
いつまでもいつまでも飽きずに眺め、聴き入っていた。
妹の目算通り、
超一級の佇まい、もてなしは、
まさに、上質のくつろぎであった。
つづく・・・・