税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

代理5(代理人の権限濫用と民法93条)

2008-08-19 08:23:05 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は代理の第5回目で、代理人の権限濫用について調べてみました。
例えば、本人Aが代理人Bに、自己の土地の売却を依頼し、代理人Bはその土地をCに売却した。代理人Bはその売却代金を自己の借金の返済に充てるため横領しようと思っていた。
このような場合、代理制度としては、代理の3要素、つまり
(1)代理権の存在
(2)顕名(本人に効果を帰属させるという表示、本人の利益をはかる必要はない。)
(3)代理行為(代理人と相手方との契約)
が備わっていいるので、たとえ代理人が、自己または第三者の利益をはかることを目的としていても、その効果は直接本人に帰属し、本人Aは相手方Cに土地を引き渡さなければならないはずです。代理人Bに土地売却代金を持ち逃げされて本人Aは大損です。

しかし、判例はこのような場合、次のように本人と相手方との利益考量をはかっています。
「代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知り又は知りうべき時であった場合に限り、民法93条但書の規定を類推適用して、本人はその行為ついての責に任じないとするのが相当である。」
つまり、相手方が悪意又は過失があった場合には代理行為は無効とするということです。

この権限濫用は、表見代理の「権限を超えた」場合とは区別しなければいけません。権限を超えた代理行為は「無権代理」ですが、権限濫用は「有権代理」です。

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