年間500店以上を食べ歩く飲食店プロデューサーの食日記

仕事柄、日本中を飛び回っていて、その出張先での外食を日記にしています
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東京メトロ銀座線日本橋駅:『吉野鮨本店』    リーズナブルでありながらも伝統の味がいただける老舗寿司店

2015-11-04 19:56:17 | 関東
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日本橋高島屋
その裏通りに、1879年創業という老舗寿司店がありまして、高級ネタの代名詞ともいえる"トロ"とは、こちらのお店から生まれた名称であるとのこと
二代目が店主を務める頃、どうしても赤身が仕入れられない時期があって、脂が多いことから捨てられることが多かった腹身の部分をお客さまに出したところそれがおいしいと評判になって…
とろっとした食感から"トロ"と命名されたのだとか



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日本橋のすし屋、しかもそれが老舗店となると、その敷居の高さが気になるところでありまして…
こちらのお店も、存在感がある4枚引き戸に尻込みしてしまいそうな雰囲気がありますし、店頭にはメニュー版などが出されることがないために躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか


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そんな暖簾を潜ってお店に入りますと、カウンターの中にいる4人の職人さんが元気な声で迎えてくださいます
決して緊張感をあおるようなものではなく、優しそうな笑顔にホッとするような…
寿司屋は大将の目の前に座るのが通だとも言われているようですが、残念ながらその席には先客がいらっしゃいましたので、ワタシはカウンターの端をいただきます
ってか、ワタシ的には全体が見渡せるこの席が特等席だったりするんですけどね


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お昼時ってこともあって「お決まり」をいただくことにします
まず最初に出されたのは、赤身や中トロを含む9貫の握りと、1/2本ほどの細巻でして、その握りには煮切醤油が塗られていることでツヤツヤとした見た目がとっても美味しそうなモノ
創業期から変わらない、江戸っ子に愛される伝統が受け継がれているのですね
お店の方も小皿を出してくださいますし、卓上にはお醤油が置かれてはいますがそれを使わずともおいしくいただけますよ
さて、そんなお寿司のシャリはひと粒ひと粒がしっかりとしたちょっと硬めなもの それがお口に入るとパラットほどけるほどの見事な握り加減
さらには砂糖を使うことなくお酢とお塩だけで調味された甘みが光ります


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続いて、卵焼きと煮穴子が提供されて〆
この玉子がとっても個性的で…
一見和菓子かと思えるような姿にびっくりしますが、これがこちらの名物でもありまして、伊達巻のようにエビや白身魚のすり身を混ぜ合わせたという味わいはぜひ一度味わっていただきたいものですね
そして穴子はとってもふっくらとしていて、お口の中でとろけてしまうのではと思うほどに柔らかく…
煮詰めの甘みとともにおいしくいただけます



多くの寿司屋がカウンター中心なのは、そもそも寿司屋は屋台からスタートしたためにその名残であるとのこと
大衆が気軽に屋台で楽しんでいたお寿司だからこそリーズナブルに提供することにこだわるのだという姿勢にも惚れ惚れしますね



【吉野鮨本店】
東京都中央区日本橋3-8-11 政吉ビル1F
03-3274-3001