１２月 ８日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　湯豆腐



　　　　　　　　　　湯豆腐の踊り疲れて崩れけり　　　　　　　　丹羽康碩


　　　　　　　　　　湯豆腐や壁に志功の天女の絵　　　　　　　　伊藤旅遊


　　　　　　　　　　湯どうふの半丁で足る一人の夜　　　　　　　松島のり子


　　　　　　　　　　湯豆腐や湯気の向かうの愚痴を聴き　　　　　上田博子


　　　　　　　　　　湯豆腐や父に酌する里帰り　　　　　　　　　谷口悦子


　　　　　　　　　　湯豆腐を崩すばかりや酔ひの箸　　　　　　　ころころ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　湯豆腐やいのちのはてのうすあかり　　　　　久保田万太郎


　　　　　　　　　　湯豆腐の崩れぬはなく深酔す　　　　　　　　福永耕二


　　　　　　　　　　湯豆腐にめがねくもらす別れかな　　　　　　木村里風子


　　　　　　　　　　湯豆腐の掬ふに合はす息のあり　　　　　　　稲畑汀子


　　　　　　　　　　湯豆腐やつやつや光る女の手　　　　　　　　村山古郷


　　　　　　　　　　湯豆腐や若狭へ抜ける京の雨　　　　　　　　角川春樹



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



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