子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

授乳中の薬

2008-04-20 22:58:21 | 雑記
授乳中のお母さんが風邪などで病院を受診した時、「授乳中は薬は飲めません」と言われたり「薬を処方しますのでその間は授乳を止めてください」などと言われることが多いのではないかと思います。
お母さん達も授乳中は薬は飲めないと思い込んでいて、具合が悪くても病院に行かず我慢していることもあるのではないかと思います。

日本の薬の添付文書(薬の説明書)を見ても、多くの場合「薬剤が母乳中に移行するので投与を中止または避けること」といった記載がされています。

一方、米国小児科学会の勧告では、抗がん剤や免疫抑制剤などの一部の薬剤を除けばほとんどの薬剤は授乳が可能としています。

「薬剤が母乳に移行する」ことと「母乳に移行した薬剤が子どもに悪影響を及ぼす」ことは別々に考える必要があります。

薬は母乳に移行しますが、移行量は多くの場合ごくわずかで、子どもに影響を及ぼすことはほとんどないと考えられています。
元々子どもにも使用する様な薬剤であればなおさら問題はないと考えられるし、風邪など短期の使用であれば特に配慮の必要もないと考えらます。

日本の薬の添付文書の記載にしろ医師の指示にしろ「母乳を続けることの大切さ」を考えれば出来るだけ授乳を中断することがないようにする配慮が欠けているように思います。

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4 コメント

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母乳を続けることの大切さ (Y)
2008-04-20 23:32:13
とは、どんなことなのでしょうか?本当の意味がわからず、漠然と母乳はよいものだと考えいますが…
先日風邪を引き、問診表に授乳中でも飲める薬を処方してほしいと書き、診察を受け、処方箋を薬局に持っていくと、この薬は授乳中の方には禁止されていると言われ、体調が悪い中、再度処方箋を出しなおしてもらいまいた。その時、医師からは「お母さんが気になるなら…」と、言われましたが、私は問題がないなら、飲んで早く治したかったのですが、医師と薬剤師とで、意見がわかれたので、どうしていいかわからず、困りました。
また、子供が貧血で治療中、粉ミルクは栄養満点だけど母乳の子はだいたい貧血になると言われ、母乳が悪いような言われ方をしました。私自身もサプリや食物から鉄分をとり、少しでもよくなるようにと努力しているのに、ショックを受けました。ならば、粉ミルクにした方がいいのかとたずねると、そうではなくて…と、腑に落ちない回答でした。そこで、母乳を続けることの大切さを話してくれる医師だったらな…と思ってしまいました。
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母乳の大切さ (kodomo-i)
2008-04-21 12:43:03
母乳は栄養面や感染症に対する防御面などで優れ、また哺乳と通じた母子相互作用(情緒面の安定など)が見直されています(人工栄養でも母子相互作用は十分に期待できます)。
哺乳類として、母乳は乳児期の子どもに対する単一で完全な食物で、他の動物を見ても明白なことだと思います。
粉ミルクは母乳に近いものが理想として開発されていますが、残念ながらいろいろな意味で母乳には及びません。
乳児期の貧血に関しては、離乳期などに離乳に進み具合などによっては鉄分の不足から一時期貧血を認めることは少なくないのですが、そのことだけで粉ミルクが優れているとはいえません。
世界的にも、できるだけ母乳を続けることの大切さが見直されてきています。ただ、粉ミルクを完全に否定するものではなく、個々の状況に応じて無理なく使い分けることが大切だと思います。
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母乳への関心のなさ? ()
2008-06-06 23:32:33
先日風邪を引き、受診した際に授乳中でも飲める薬をお願いしたところ「母乳をあげ続けると赤ちゃんに風邪がうつる」「授乳を続けるなら薬はあげられない」と言われ、渋々言われるがままの投薬を受けました。(タリビッド・アスベリン・ホモクロミン・ロキソニン・ビソルボン・ホクナリンテープ)
しかしやはり断乳したくなかったのでその薬は飲まず、翌日違う医師に相談したところ「授乳中でも飲める、大丈夫なんていう薬はない」と同じようなことを言われ、結局泣く泣く断乳しました。

今まで聞いたことがないのですが本当に母乳から赤ちゃんに風邪がうつるのでしょうか?
続けて2人の医師に母乳を否定され、なんだか附に落ちません・・・
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Re:母乳への関心のなさ? (kodomo-i)
2008-06-07 03:45:10
通常の風邪が母乳からうつることはありません。
ただ、いっしょに生活していれば母乳とは関係なく風邪がうつってしまうことはあるので、マスクの着用や手洗いなど気をつける必要はあると思います。

また風邪に対する薬であれば、「薬剤の添付文書」の記載を気にする事をなければ、実質的に問題なく授乳中でも投薬可能な薬はあります。
残念ながら、医師個々の知識があるかないか、母乳育児に対する意識の程度などにより対応されることになっているのが現状ではないでしょうか。

百歩譲って授乳時の薬の内服に問題があるのであれば、「授乳を中断するぐらいなら、この程度の風邪なら薬を飲まなくても治ると思うからお母さん頑張って下さい」とか「今のお母さんの状態にはこの薬が必要だから、残念だけど薬を飲む間だけ授乳は止めて下さい」といった説明の仕方があると思います。
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