デジカメぶらりぶらり

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石鹸

2013-08-09 06:35:10 | Weblog
世情が荒れた幕末には、流言飛語があれ飛んだ。コレラの流行は、黒船の魔法だといううわさ話も流れた。異人が洗い物をしたら、白い泡がぶくぶくと出た。それが魚の腹に入り、江戸の人たちが食べた。

あの泡こそコレラの魔法の種・・・という噂だ。何のことはない。魔法の正体は石鹸だ。石鹸が一般的ではなかった時代のこと、見たこともないような泡を出す珍奇な品に、人々は肝を潰したらしい。

しかしそれも束の間、瞬く間に国産の石鹸が作れ始めた。が、品質粗悪。輸入品と肩を並べる品が出されたのは、1890(明治23)年。顔も洗える高い品質だから、顔をもじって「花王石鹸」と名付けられた。

美濃出身の創業者・長瀬富郎は、時代を先取りした広告戦略を打ち出し、新聞広告で効用を「皮膚を白く美麗ならしむ」とうたっていた。そんな誇るべき伝統を持つ花王も顔面蒼白だろう。

子会社のカネボウ化粧品を使った人に肌がまだらに白くなる被害が相次ぎ、今年の売上高は百億円も減る見込みらしい。長瀬富郎が石鹸づくりに乗り出したのは、肌を傷める粗悪品が出回っていることに義憤を感じてのことだという。

ここは一つ、創業者のような誠実さで、被害者一人一人の苦しみに向き合ってもらいたい。



正念場

2013-08-07 07:07:43 | Weblog
1万円を新札で百枚積み上げると約1センチ。1億円なら1メートルだが、1兆円になると10キロになって、世界最高峰のエベレストより高くなる。1千兆円となると、東京からロンドンに届く1万キロになる。

重ねずに縦に並べると、地球から太陽を越えてさらに先まで行ってしまう。「もはや1000兆円という借金は返せない金額なのだ」もちろん、バランスシート的には国には巨額の資産があるので実際の負債は圧縮される。

財務省がことさら財政破綻をあおってきたのは、消費税増額を実現したいからだろう。それにしても国が抱える借金は巨額である。円安の影響で輸入製品の価格は上がっている。給与は増えていないので庶民はアベノミクス効果に実感を持てないでいるが、株価や不動産は値上がりしている。

安倍晋三首相のブレーンの経済学者からは、来年4月から予定されている消費税増税に慎重意見が浮上してきた。せっかくの回復ムードを失速させるからだ。一方、国連公約でもある消費税を見送れば「国債暴落」のリスクが高まるという指摘も根強い。

デフレ脱却と消費税増税を両立するのはだれが首相でも困難だろう。安倍首相は「経済状況をしっかりと見極めながら判断する」と慎重だ。弱体化した野党との闘いよりも、最大の正念場になるかもしれない。

金打

2013-08-05 07:17:32 | Weblog
「金打」と書いて、「きんちょう」と読む。口約束ではあるが、破ることはないと誓い合う時、武士であれば刀を、女性であれば鏡を、打ち合わせる。いにしえの風習だ。

もう随分前のことのように思えるが、昨年の11月14日、国会の党首討論で野田佳彦、安倍晋三両氏が衆院解散をめぐって激しく渡り合った。あの時、論戦の刃音がひとしきりした後で、金打の音も響いたと思ったのだが、空耳だったのか。

国会では、野田氏が「定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる・・・この決断をいただくならば・・・解散をしてもいいと思っております。国民の前に約束して下さい」と安倍氏に迫った。

安倍氏は切り返して言った。「来年の通常国会において・・・定数の削減と選挙制度の改正を行っていく・・・今この場で、そのことをしっかりとやっていく、約束しますよ」よし、武士に二言はないな。

では決戦の時・・・と行われた総戦挙の一票の格差をめぐっては、各高裁で違憲判決が相次いだ。にもかかわらず、今国会で成立したのは、既に高裁が判決で「一時しのぎ」と批判している〇増5減の区割り見直し法案だけだった。


富士山学

2013-08-03 07:37:29 | Weblog
山梨県の都留文科大には珍しい講座がある。歴史、自然、信仰など多角的な視点で捉える「富士山学」。担当する渡辺豊博教授は、世界文化遺産への登録が決まる瞬間を見届けるためカンボジアに飛ぶぐらい富士山を愛してやまらない人だ。

バクテリアでし尿を分解するバイオトイレを山小屋に設置する活動などに取り組んできた渡辺教授が先週、日本記者クラブで語った現状は祝賀ムードに冷水をかける内容だった。

登山者の激増で垂れ流されることになるし尿、大量の産業廃棄物が違法投棄されている森林、枯渇する地下水、ひき殺される動物たち、一元管理ができずその場しのぎの縦割りの行政・・・。

諮問機関のイコモスからは富士五湖の開発制限など数多くの課題を突きつけられている。保全状況報告書の提出を求められている2016年までに条件を満たさなければ、登録を抹消される可能性もある。

例年を大きく超える登山者が訪れている富士山で入出料の試験徴収が始まった。
環境保全対策の名目で、静岡県と山梨県が一人当たり千円の協力金を呼びかける。

使途は登山者へのアンケート結果などで決める。登山者激増でさらに傷だらけになることを危惧する渡辺教授は、5合目に上る道路を閉鎖し、ふもとから歩く山に戻したらどうかと提言する。

究極の入山規制だが、実態を知れば極論とは思えなくなる。

給食

2013-08-01 07:59:31 | Weblog
<きゅうしょくの おだかせんせい ほいくえん やめちゃうんだって>。千葉の6歳の子が書いた詩「きゅうしょくのせんせい」は、ほんわかした作品だ。

<けっこんして だんなさまに おいしいの つくってあげるんだって だんなさまが ほいくえん たべにきてくれれば いいのにね>(川崎洋編『子供の詩』文春新書)。

すごくおいしい給食で、みんな残さないよう食べていたに違いない。国連によれば、世界で食品の3分の1が捨てられている。その量は年13億トンで、100兆円相当。

そんな時代だから残さず食べるということは、給食の大きな目標になる。東京都調布市の小学5年の女の子も食物アレルギーを抱えつつ、学級の「給食完食」という目標に協力しょうとしていたという。

その日の献立は不人気で、食べたがる子は少なかった。だからこそ、進んでおかわりをしたらしい。女の子は給食後、激しいアレルギーで命を落とした。昨年末のことだ。

「いつも誰かの役に立つ人でいたいという思いが、このような結果を引き起こす事になろうとは」というご両親の談話が深く胸に染みる。学校側のアレルギー食材の確認不足や薬剤投与の遅れなどが悲劇を招いたとされる。

ことは、調布だけの問題ではない、すべての子に安全安心な給食をー。ご両親の思いが、日本中の学校でかなえられるといい。